気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

アメリカひとり旅   オハイオ州立大卒業式の編  後編

2016-02-12 00:55:06 | 小さな旅日記

後編の始まり

その小冊子は卒業名簿と参列配置図だった。ありがたい!

 しかし、学部は?・・。College of Educationで隅から隅まで名前を探すことにした。幸い数分で出身地までがでている娘の名前を見つけた。 やった~。 父親の執念は恐ろしいと思った。 家族席は学生席の後部に位置して最上階だ。キョロキョロしてるとエレベーターが目にはいった。 しめたと走り寄ろう足を踏み出したところ・・。突然、昇降の操作をしている係員のおじさんの怒声が飛んできた。

   「Handicap・・」

一瞬、足を止めて考えた。そうか、国情の慣習でここまで徹底とは知らなかった。    身体障碍者専用なのだ。   

 人混みに押され、やっと階段を探しだし上った。指定されたコーナーに撮影ポイントを考えて座った。 最上階の席から見下ろすとグランドの中程にテントが張られ卒業証書は流れ作業で授与されるように思えた。 来賓席の椅子が見え、来賓が座り始めていた。

 娘が座る席の直ぐ近くに私が陣取ったので驚くだろうな~と、ひとりほくそ笑んでいた。上ってきた学生たちが列を組み順番に席を埋め尽くし始めた。

8mmは既にONにしてある。 人混みの中で列を組み10m先に娘が歩いてこちらに来る姿が確認できた。 もちろん、8mmは回している。 傍に行って驚かしてみよう・・・。席に着いた学生らは興奮してるのか全員が立っている。前にでて驚く娘を撮った。

 「どうして、わかったの~・・」と嬉しそうに訝かった声をだした。            誇らし気に「父親の執念だよ~」と答えた。

 アメリカ中部のオハイオ州コロンバスは気温が高くグングンと上がった。       彼女らを見ると屋根のない直射日光の陽ざしは強く、堪らずガウンの裾を開けて風を入れている。黒いガウンの下にはショートパンツあり、ジーパンありと、いかにも現代子だ。  黒いガウン姿が誇らし気に見えた。彼女らは大学を巣立っと語学教師を目指す卵である。

 卒業証書授与の時間がきて呼び出しが掛かり、学生らは列を組み再びグランドに降りて行った。目を片時も娘から離さず8mmで姿を追った。 距離にして300mもある遠いところにいる。いや、もっとあるかな。学生らはグランドに降りると名簿順に一列に並びテントの中央で証書を手渡され、そこを通り抜けてスタジアムの外にでるようだ。

 陸海空軍士官の軍服に身を固めた凛々しい姿も遠望できた。   何だろうかと思った。軍から選抜され派遣されたエリート士官学生にも学士授与があるようだ。        学部区分は四角い帽子に吊り下がってるリボンの色で識別されるのを知る。 

 その時、折角会えた娘とまた、はぐれる心配がでてきたことを知り慌てて階下に降りた。先に降りた娘はスタジアムの出口で待っていた。 

 嬉しそうな満面に笑みを称えた顔の娘に「おめでとう」「よく頑張ったね!」「ひとり寂しさをよく永い間挫けずに耐えたね」誇りに思うよと祝いとねぎらいの言葉をかけた。 

 アメリカらしい明るい卒業式に参列して、米国の自由な風土に憧れ、挑戦した娘の根性に頭が下がる思いがした。

 つい先日の出来事のように思えたが、娘も17歳と14歳の子を持つ母親になっていた。私が歳をとるわけだと述懐して、当時を思い起こしながら筆をとりました。

終わり