毎年7月の最終土日に、刈谷市にある秋葉社の祭礼「刈谷万燈(まんど)祭」が開催されるとの情報を刈谷ハイウェイオアシスで仕入れていた私たち。前日の「津島天王祭」の朝祭を見終えたその足で速攻、刈谷市に向かい、祭りの開始を待つ事に。
日程の関係で1日目の「新楽(しんがく)」は見られませんでしたが、氏子七町の万燈が秋葉社の境内で舞を奉納する2日目「本楽(ほんがく)」はラストまで見る事が出来ます。まずは刈谷市銀座に鎮座される「秋葉社」への参拝。 御祭神は、神仏習合の火防(ひよけ)・火伏せの神として広く信仰された「秋葉大権現」。
勿論、神社参拝までの道々でも祭り気分を盛り上げてくれる出会いが有り、気分はもうすっかり祭り一色(〃∇〃) 道々に見かけた本物の「刈谷万燈」。近くにいた方にお断りして後ろに立たせてもって記念の一枚。感想は・・こんなに大きいのかぁ~~~!
江戸時代中期から続く夏祭りで、火難防除・町内安全を祈願し、愛知県の無形民俗文化財にも指定されている「刈谷万燈祭」。街中を散策している私たちのすぐ近くで、賑やかなざわめきと華やいだお囃子。急いで賑わいの中心に駆けつけると、「万燈」と呼ばれる張子人形を担いだ一団が見えてきました。
銀座、司町、新栄町、東陽町、広小路の5組の若衆たちが、年毎に粋を凝らして作り上げる「万燈」。 高さ5m、重さ60kの竹と和紙で作られた張子人形「万燈」を、若者が一人で担いで舞うのです。
文字にすると何でもない事のようですが、実際に自分の目で見ると、思わず手に汗を握ります。 重さもそうですが、自分の身長の三倍近い「万燈」を肩に担ぎ上げて舞う・・・立つでも歩くでも無く、舞う!!のです。
もうこの時点で私たちの興奮度はマックス(笑)夕方からの「本楽」への期待は更に膨らみます。
少し早いですが、真近に若衆たちの粋と意地の舞が見られるように、秋葉神社の境内に陣取ります。神事が行われ、境内に水が打たれると、やがて笛とお囃子が近づき「万燈」が入場してきました。 昼間見たものとは随分小さい・・と思ったのも道理、何と子供たちによる「万燈」の舞。
子供らしく微笑ましい舞もありますが、中には思わず「万燈」の担ぎ手を見直す場面も。
それにしても、「万燈」の下から覗く小さな足の何とも頼もしいこと、まさに次の担い手。 「子供万燈」を取り囲む若衆、それを更に取り巻く観衆、中にはきっとこの子達の親族もいる筈。
どんな思いで、舞を演じきる我が子の姿を見ているのか・・そう思っただけで鼻の奥がツ~~ン。もうね、年を取ると涙もろくなるんですよ(笑)
五つの組の「子供万燈」が終るころには、夏の日差しも落ち夕闇が忍び寄り始めました。 続いては若衆たちによる「本楽」。日差しの下でも充分に華やかな「張子の万燈」に灯が入ります。
くるり、くるり・・・ひらり、ひらり・・・、担ぎ手の中には若い女性の姿も。 肩に食い込む60kの重さに歯を食いしばるその顔は、どんな美人女優よりも輝いて美しい。
くるり・・くるりと舞うたびに、夜の気配を濃くしてゆく境内に様々な色が流れてゆきます。 そしてそれを生み出しているのは、本当に一人の若衆の技量、きっとプラス我慢と意地・・その重さに耐え切れなくなった瞬間、別の若衆がすばやく担ぎ手と入れ替わり、舞を続けます。
荒武者が大きく手を広げて魔物を追い、美しい姫武者は黒髪をなびかせて薙刀を振るう。次々と入れ替わる5組の若衆たち。灯りの中に浮かび上がる姫君・武者・魔物たち・・それらが紙で出来た張子であることも、たった一人の力で軽やかに舞い動くことも忘れて・・私たちはただただ、その勇壮さと優美さに見とれ、何度も何度も拍手を送り続けました。
やがて全部の組の舞の奉納が終ると、大通りにすべての「万燈」が勢ぞろいします。 ここでは写真撮影も許可されており、私たちも「万燈」の前で記念の一枚を頂きました。ほんの少しお話もさせて頂きましたが、まさに町方の心意気に支えられた天下の奇祭「万燈祭」。
またいつか機会があればもう一度、このワクワク感と感動を味わいに訪れたい。思い出を文字に起こしていく度ごとに、叶えられなくなった願いばかりが増えてゆきます。
訪問日:2014年7月27日
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