昨日は女性の妖怪に絞って紹介しましたが、今回は妖しではあるけれど、自然界に生きる妖怪や、微妙に人間と共存している妖怪たちを紹介してみようと思います。
日本人は古来から自然の中に神を感じ、正しく恐れて敬ってきました。全国各地にある「豊作祈願・収穫感謝」のお祭りが「田の神」に対してのものと言う考え方は多分間違いでは無いと思います。稲穂の中でまったりする「田の神」は「千代むすび酒造」さんの入口においでになります。
ある日、柴刈りの最中に穴を見つけたお爺さん。穴は災いをもたらすもの、塞いでしまおうと、大量の柴を押し込んでいると中から美女の呼び声がして、立派な御殿に連れられ、褒美としてヘソから金を生む奇妙な顔の子供「ひょうとく」を譲り受けます。ここから先は良くある話で、一度に沢山の金を欲しがるお婆さんの欲の為に殺されてしまう子供。悲しむお爺さんの夢枕に立ち、「自分に似せた面を竈の前に架けておけば、家が富み栄える」と伝える「ひょうとく」。やがてその面は 「ひょっとこ」と呼ばれるようになりました。
山登りをした時、頂上に着くと絶対にやっちゃう「ヤッホ~~~」。それに応えるのが「山彦(呼子)」。山間をこだましながら飛び歩く一本足の妖怪で、その声は木に宿る精霊が返す声「木霊(木魂)」ともいわれます。
アイヌの伝承に登場する「コロボックル」。これはアイヌ語で「蕗の下の人」という意味で、一般的にはとても小さい人と連想しがちですが・・・。北海道には2m以上になる品種の「ラワン蕗」なるものが生育しているそうで・・小さい人という認識は捨てたほうが良いかも。
座敷または蔵に住む神と言われる「座敷童子」。家人に悪戯を働く事もあるけど、見た者には幸運が訪れ、家に富をもたらすなどの伝承があります。ただし、座敷童子がいなくなれば家運が傾くと云われているので、扱いは丁重に(笑)。
岩手県遠野地方に伝承される、子供ほどの背丈で頭髪が体全体を被うほど長い姿の「倉ぼっこ」。危害を加えず、人を助ける清く正しく美しい?妖怪(笑)。でも倉ぼっこが倉から離れると家運が徐々に傾くそうなので、くれぐれも粗略に扱ってはいけません。
鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、脚はトラにそれぞれ似ている伝説の幻獣「獏」。室町時代末期、正月に良い初夢を見るために枕の下に宝船の絵を敷く際、悪い夢を見ても獏が食べてくれるようにと、船の帆に「獏」と書く風習も見られたそうです。そんな大昔から悪夢を食べているんですね。
背中まで垂れた頭の毛、人間より大きく猿に似た妖怪で、力があり、驚くほど足が速い「異獣」。むかし越後の山中で、大きな荷物を背負った旅人から昼飯を貰った異獣。明日も飯をやろうと言われた異獣は、軽々と荷物を持ち届け先の近くまで運んでくれたという、結構義理堅い妖怪です。
山の神として恐れられてきた「木の葉天狗」。天狗界では「白狼(はくろう)」とも呼ばれており、老いた狼が天狗になったものとされ、山で作った薪を売ったり登山者の荷物を背負ったりして、他の天狗たちが物を買うための資金を稼いでおり、天狗の中でもその地位はかなり低く、人に似た顔と手足を持ち、くちばし、翼を持っています。
木曽の深い山の中に住んでいる大男「山𤢖(やまわろ)」。エビやカニを捕らえて焼いて食べるのが好きで、体は大きくわらじのサイズはなんと1m。足跡は発見されましたが姿を見た人はいないそうです。
西日本に伝わる山に出る妖怪「山童(やまわろ)」。山中で樵(きこり)の仕事を手伝ってくれることがあり、そんな時に礼として酒やにぎり飯をあげると繰り返し手伝ってくれるとか。ただし、山童に渡す礼の品物は、必ず最初に約束した物を。違う物を渡すと非常に怒るので注意が必要です。
猿と河童の特徴を併せ持つ「川猿(かわざる)」。馬は川猿に会っただけで倒れて死んでしまうと言われ、馬の疫神として恐れられています。子供の姿となって人を化かすこともあり、人間から害を加えられた際の反撃は半端ないです。でも自分を助けてくれた人間の顔は忘れないという律儀な一面も持っています。
丹波の国にあらわれる「算盤小僧」。大木の陰でパチパチ音がするのに、行くと誰も居ない。いわゆる音だけの妖怪なので、出会っても知らん振りして通り過ぎるのが良いかと(^^;)
足音がするのみで人に危害を加えることはない妖怪「ベトベトさん」。暗い夜道に後をついてくるとか、小山を降りてくるときに遭う妖怪ですが、足音を不気味に感じる時には道の片側に寄って、そんな時は「べとべとさん、お先にお越し」と道を譲ると良いそうですよ(*^^*)
夜中に畳をぱたぱたと叩いているような音を立てる「畳叩き」。特に害はありませんが安眠妨害と言う意味では厄介な妖怪かもしれません(笑)
「竹切狸(たけきりだぬき)」は、京都府亀岡市に伝わる狸の妖怪。山の竹藪の中に棲んで竹を切る音を立てて人を化かす古狸。夜になると竹薮から「チョン、チョン」と竹の小枝を払う音が聞こえ、さらに「キィキィ」と根元を切る音がし、最後には「ザザッ」と竹が地面に倒れる音。でも夜が明けてから竹薮に行っても、竹が切られた痕跡はないのです。
宮城県に伝わる手に提灯を持った少年の姿の妖怪「提灯小僧(ちょうちんこぞう)」。雨の夜道を歩いていると、後ろからこの提灯小僧が現れて人を追い越し、やがて立ち止まって後ろを振り返り、その人の方をじっと見つめる。追い越された人が不審に思いつつ提灯小僧の前を通り過ぎて歩き続けると、また提灯小僧はその人を追い越し、立ち止まる。この行為を繰り返すのみで、特に人間に危害を加えることはなく、繰り返しの挙句には消え去ってしまうのです。
「龍神」は海の神であり水の神ともいわれます。龍が啼くと雷雲が起こり嵐を呼ぶといわれており、昔からひどい旱魃の折には人々は龍神に雨乞いをしました。
主に中国地方に出没する村の守護神「大元神(おおもとがみ)」。御神木に「蛇藁(蛇に似せたしめ縄)」を巻き重ねた状態で祀り、信仰の対象としてきました。
『ゲゲゲの鬼太郎』をサポートする名脇役として登場する『子泣き爺』。正義の妖怪として一躍有名な存在となりましたが、柳田國男の著書では、本来は老人の姿ですが、夜道で赤ん坊のような産声をあげると紹介されています。
戦争で2人の息子を亡くし死期の迫った老婆。薬を飲み過ぎた母から生まれた体が不自由な赤子。排気ガスで弱った体のまま、飼い主に捨てられた猫。その猫にたかっていたシラミ・・・それらが期を同じくして臨終を迎えようとした時、彼らの「生きたい」という気持ちがつながり「コケカキイキイ」という、次元のまったく異なる生物が誕生しました。自然を蘇らせ、公害をなくし、貧する者を助け、人々の不満を食べる神のような妖怪です。
明日は、叶う事なら一生出会わずに済ませたい危険な妖怪。どんな事情があっても絶対に関わりたくない迷惑極まりない妖怪の紹介です。
訪問日:2011年5月20日