広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:僕たちの好きだった革命

2009年07月02日 | 観劇レビュー
日時・場所:
 2009年7月1日 19:00/広島アステールプラザ 大ホール
作・演出:
 鴻上 尚史
出演:
 中村雅俊 片瀬那奈 塩谷瞬 森田彩華
 GAKUーMC 大高洋夫 田島令子 他
感想:
 鴻上尚史自ら語っていた
”幸せな作品”という言葉に偽りなし!?でした。
客層を狙ったピンポイントな舞台ではなく
学生からその親世代までが一緒に観ることが
できる奇跡的な芝居です。ということでいきなりですが
総評は文句なし”Bプラス”です!!
入り口は低く、出口は一段高くなっている作品。
観ているときには何かをつかみ
帰るときには何かはわすれているけど
満足感と幸福感を感じさせる
エンターテイメント性の高い良作でした。
”ふつう”の人たちに
安心して薦められる数少ない舞台でしょうねぇ。
しかし、裏を返せばそれ以上でもそれ以下でもなく
穿った言い方をすればここまでの作品!?
汎用性を狙ったために
専門性は失ったって感じでしょうか。
まぁ、十分”面白い”ですからいいですけど。
客層は塩谷瞬ファンの学生世代系から
中村雅俊ファンの団塊世代系まで
まさに狙いどおりのターゲット層です。
逆に鴻上尚史ファンの舞台系が
ちょっと弱かったような気がしました。
また、服装もシックなカジュアル系で
おとなし目だったのが印象的で
男性客が多くアベック率高し。
制服を着た女子高生の集団を
多々見かけたのですがいったい誰のファン!?
1階席はほぼ埋まっていましたが
2階席は・・・。
鴻上尚史アンドこのキャストで
集客弱いってのはちょっと残念です。
公演近日までテレビや夕刊などに
番宣をやっていたので
あやしいなぁとは思っていたのですが。
もっとがんばろうぜ!?広島。
脚本はすごくわかりやすく作ってあり
そして展開も素直でテンポが速い。
さすがに幅広い年齢層がターゲットなので
理解しやすさのためト書きや注釈を
時々登場人物が語るタイプなのですが
それらもスムーズに挿入されており
物語の雰囲気や流れを乱すことなく
ちゃんと配慮がなされています。
舞台セットは派手さや大掛りさが排除され
カーテンのような仕切り幕が4重になっているのみ。
これだから地方公演がどんどんできるわけだ。
また、これだけのキャストの数と質を使いつつ
リーズナブルなチケット代になっているのはこのためか!?
話はもどり幕の左右の動きや仕切りで舞台変換が行われ
机や公演台などの大道具および小道具の移設によって
部屋、校庭、教室、体育館などと舞台が
リアルタイムで眼前に生み出されていきます。
これがまた脚本と演出の妙で”うまい”としかいえません。
小劇場などでよく行われるオーソドックスな手法で
本当に演劇を観にきているんだな!!っていう満足感を刺激され
なんだかちょっとうれしい気持ちにさせる効果もありました。
さすがは鴻上尚史ですね。
あぁ、書き忘れていましたが
脚本、演出は”あっぱれ!!”の一言です。
公演時間は150分という全後半の長丁場ですが
それを全く感じさせない”のり”と”勢い”があります。
そして、芝居のあちらこちらに
ちりばめられた小さなお約束の”笑い”が
物語に緩急をつけ芝居を全く飽きさせません。
でもそれらを余すことなく演じている役者たちが
実際はすごいんですね。
特に脇を固める役者たちは
キャラが強い人たちがばかりなのですが
さすがはベテラン俳優たちです。
舞台を壊すことなき自己主張が素敵です。
実際この芝居このキャストだけでも
十分観る価値ありですから。
でも、主演の中村雅俊はやっぱり熱いですね。(笑)
”ういちゃっている”役を”ういちゃう”寸前でとめて
演じているのはさすがでした。
まさに場数なれってやつでしょうか。
片瀬那奈は細くて大きいですね。
すらっとしていてきれいでした。
残念ながら”萌え”にはなりませんでしたが
そのことにばかり気をとられちゃいました。
ちなみに彼女の持ち味である”語り”はうまいです。
塩谷瞬はねぇ・・・。
どうも台詞回しが怪しい箇所がちらほら。
演技じゃないよなぁ!?
そういう場面じゃないし!?
今回は調子が悪かったのかなぁ、そのへんは不明。
ちなみにGAKU-MCも不明です。
なんせラップに関して予備知識なしですから。
個人的にはラッパーやラップについて
存在そのものが演技みたいに感じられ
虚実がよくわからないというのが本音です。
ちなみにこの話のラストは
”太陽の牙ダグラム”のオープニングと同じです。
まちがいありません、当確です。
誰か勇気を出して鴻上尚史に聞いてくれ!?
ちなみに”太陽の牙ダグラム”はかなり前のアニメです。
今回も意味もなく長いですね、このブログ・・・。
思いはいっぱいありますがそろそろ終わりにしましょうね。
最後に劇中に中村雅俊の放ったセリフ
”何度負けてもいいじゃないか
最後に勝つことができればいいじゃないか!”が好きです。
なんて俺っていいやつなんでしょうか!?
ちなみにこれって魔性の言葉ですね。
もうクラクラってきちゃうでしょ。
言うほうも言われるほうも恥ずかしいですが。
しかし、だまされてはいけません。
これはパンドラの箱に入っていた
最後のもの”希望”ってやつですよ、みなさん。
本当にそれがすばらしいことなのかどうかは
いろいろな意味で”あなたしだい”ですよ。(笑)
なにせ最後に勝てる保証なんてどこにもないんですから!?
人生においては結局負けちゃっている”確立”のほうが
間違いなく高いんですから。(当社比)
”無理無茶無謀”は若者の専売特許ですから
それもまたいいでしょう。