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田中利典師、被災地に立つ(1)

2023年06月14日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、東日本大震災被災地での感慨の初回(師のブログ 2012.3.13 付)である。私も、2度ほど被災地をお見舞いした。その時、「陸前高田の茫茫とした更地」を目にして、絶句したことを思い出す。
※トップ写真は、吉野山の桜(3/31撮影)

末尾に出てくる石巻市の「丸平(まるへい)かつおぶし」は、東京の直売店こそ復活していないものの、本社工場は稼働し、営業を継続されていて安心した。では、師のブログから全文を紹介する。

人はなにかを失っても、なおなにかを求め続けるもの。命ある限り…
昨日から東北に来ています。1年間の311の祈りを終え、12日に青森入り。今日は大船渡、陸前高田、南三陸町、石巻と回りました。うちの宗門の関係する人々を見舞って回ったのですが、甚大なる被災地のようすを目の当たりにして、心痛む以外なすすべもなく、ただ失われし命の鎮魂を祈るばかりでした。

「人はなにかを失っても、なおなにかを求め続けるもの。命ある限り…」使い古された言葉かも知れませんが、そういう思いも心に浮かびました。結局は見て回っただけで、なにも出来ませんでしたが…来たことに意味があるのかもしれないと慰めています。

「忘れなければいけないもの、忘れてはいけないもの」…今私はその間にいるのだ、と陸前高田の茫茫とした更地で般若心経を唱えながら、ひとり、重くのしかかった空を見上げていました。

ここ丸1ヶ月、ぐだぐたと個人的なことで凹んで生きていましたが、何のために生きるのか、何のために頑張るのか…そういう根底に触れたような今日の時間を過ごしました。自分は自分であることでしか、自分を発揮できない…そういう思いも持ちました。

私に何か出来ることがあるなら、それをまっとうしなければいけない。いや、みんなの中で生かされていることをきちんと見つめるだけでもいいから、命をちゃんと生きなければいけない…そういう気持ちに素直になれたような気がします。

震災から1年。関西に暮らしていると全てが風化しつつありますが、東北は全然復興が出来ないまま、みんながそれでも希望を胸に生きておられることも実感しました。復興は進んでいないけど、確実に人は立ち上がって、現実を生きている。

この2月から支援をさせていただいている石巻の鰹節工場(株式会社丸平かつおぶし)を訪ねて、阿部専務さんらみなさんから教えてもらいました。風化しなければいけないこと、風化しては絶対いけないこと、そして風化の中で生きること。そういう空気に包まれた一日でした。
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