てつりう美術随想録

美術に寄せる思いを随想で綴ります。「てつりう」は「テツ流」、ぼく自身の感受性に忠実に。

浮かれあるき、撮りあるき ― 祇園祭2008 ― (2)

2008年07月16日 | 写真記


 13日、日曜日の話のつづきである。用事をすませて、長かった昼もとっぷり暮れた夜9時前にふたたび烏丸駅に降り立った。宵山がはじまるのは明日からのはずだが、準備の整った山や鉾にはもう駒形提灯に灯りがともされているかもしれないし、あわよくば祇園囃子の予行演習が聞こえてくるかもしれない。そんな不確かな期待を抱きながら、足をのばしてみたわけだ。

 駅のなかには、昼間からちらほらと浴衣を着たカップルや親子連れの姿があったのだが、地下道の階段をのぼって地上へ顔を出してみると、案の定、宵山の前夜祭よろしく、いくつかの山や鉾が華やかに光を放っているのが見えた。正確にいうと、宵々々々山でもあろうか。提灯の光が雨除けのビニールに反射して、人工の光に不思議な艶めきを添えている。

 しかしもちろん、まだ歩行者天国ではない。すべての山鉾が完成しているわけでもないし、会所に人だかりがしているわけでもない。だが、いくつかの鉾の上では本番さながらに囃子方たちが祇園囃子を奏でていた。昼間とはまたちがった祭の顔が、そこにあった。

                    ***

【ふたたび長刀鉾】
 歩道の狭さもあってか、昼間の長刀鉾周辺は多くの人でごった返す。ぼくも去年だったか、化粧を落とした舞妓さん3人とこの辺でおしくら饅頭をした覚えがある。今宵はまだ人も少なかったが、それでもカメラを向ける人たちが後を絶たなかった。


〔提灯の灯りが懸物を照らす〕


〔おなじみの長刀鉾マーク(?)。各山鉾ごとに工夫の凝らされた提灯の柄も見どころだ〕


〔頭上から祇園囃子が降ってくる。お祭気分は否が応でも高まる〕

【函谷(かんこ)鉾】
 烏丸通の東に位置するのは2つだけで、ここからはすべて西側に点在している。函谷鉾はこの日すでに、観光客が橋を渡って鉾の上にのぼっていた。ただし、1500円ほどかかる。お祭ならではの相場である。


〔厄除ちまきの幟がひるがえる函谷鉾〕


〔「函」の字をデザインしたマークが見える(左下)〕

【占出山】
 烏丸あたりに出かけたとき、よく休憩する喫茶店があるのだが、その真ん前が占出山だった。このときはもちろん店は閉まっていたが、昼間などテラスから紅茶片手に見上げるのも乙なものだろう。


〔占出山の駒形提灯〕


〔木材には「占」の字が彫られている〕


〔こちらには「東北角」の文字。山や鉾は職人たちの手によって建てられる〕

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