南九州の片隅から
Nicha Milzanessのひとりごと日記
 





 熊本市は、全国でも数少ない路面電車(市電)の走る街だ。
 とくに、通町筋(上通商店街と下通商店街の間の電車通り)から熊本城を眺める景色は、熊本市を代表する絶景だろう。
 路面電車の軌道は石畳になっており、いかにも日本三名城・熊本城の城下町に相応しい趣きを醸し出している。

 しかし、近年、この景色が台無しになりつつある。
 これは熊本市が平成21年から始めた『熊本市電緑のじゅうたん事業』というもので、路面電車の軌道敷に芝生を植えるというものだ。


 そもそも、市電の軌道敷に芝生を配して緑化するというのは、鹿児島市電が既に平成18年度から行っており、熊本市交通局はそれをパクっているに過ぎないのだ。

 鹿児島市電は「センターポール式」を採用しており、市電の上り軌道と下り軌道の間は中央分離帯のように一段高くなっている。自動車は中央分離帯の切れ目でしかUターンすることはできない。つまり、自動車が軌道敷内に進入する必要性がないため、芝生が荒らされることは少ない。
 それと比較して「センターポール式」ではない熊本市電は、いわゆる中央分離帯がないため、自動車はある意味どこでもUターンできる。つまり自動車は容易に軌道敷内に進入できるのだ。芝生も荒らし放題。

 そこのところを理解して熊本市交通局がこの事業を展開しているのかどうか。ちょっと不明だ。


 街中に緑を配置して、「自然破壊に対する贖罪」の意思を示そうというものなのだろうが、果たしてこんなことが必要だろうか?
 城下町の景観を破壊しているようにしか私には見えないのだが…。


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