オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その8 50歳って? 18-01-05

2007-08-15 10:43:42 | 第1-10回
その8 50歳って?

皆様、新年明けましておめでとうございます。
お正月はいかが過ごされましたか?
私達は毎日ビーチにいって、ボーっとしてました。

先週土曜日、元私の上司のシャノンの50歳の誕生パーティーに行ってきました。
ニュージーランドでは21歳の誕生は成人を祝って、50歳は人生の中間地
点として大きな誕生会をやります。
21歳のパーティーには何度か行ったことがあるけど、50歳のは初めてで
興味しんしんで出かけました。

その日はパーティーのお花を頼まれていたので、朝から大忙し。
200人の入る会場で、日本の結婚式のように壇上に主賓席が設定してあり
ました。
メインテーブルの花、その両脇の2mほどの高さのもの、ビッフェテープル
の装花と合計7個。テーマカラーがゴールドとグリーンとシンプルな設定。
テーブルクロスは白、バンナー、ナプキン、テーブル飾りのリボンはゴール
ドで統一されてます。
お花もグリーンのアンスリウム、アマランタス、カーネーション、ブルーの
アカバンサス、アジサイ、金色の花はないので、ゴールドのネット生地を花
の間に装飾し、シンプルにしました。

シャノンは地元マオリオーガナイゼーションのCEO(Chief Exusutive
Office、代表取締役)で、テレビのチャンネル2のInside New Zealandで
も取り上げられたこともありました。
マオリ女性のサクセスストーリーを地で行くような人です。
高校中退後、オーストラリアへ渡り、若くして結婚。女工からホテル経営者
になるまで、さまざまな仕事をこなしながら子供を育てあげました。
数年前、オークランドに戻り、マオリ人地域社会に貢献しています。
まだ50歳なのに、子供4人、孫が10人もいるんですよ。もっとも、マオ
リ社会ではめずらしい事ではありませんが。

6時スタートと言うので、正確に6時に到着。
すでに50人ほど中庭に集まってました。まずシャノンに挨拶。
シャノンは黒のラメ入りのトップにひらひらの黒のミニスカート。髪はシャ
ギーなカットにメッシュを入れて嬉しそうです。とても50歳とは思えない
いでたち。
「Happy 21st Birthday!!」と言う人があるくらいでした。
二人の娘と並んでも、友達同士に見えます。
普段はスーツ姿なので、びっくり。ちょっと太めだけど、なかなかの着こな
しです。

お祝いのハグをして、パンチを頂きました。大きなボールに、ストロベリー、
ミントの入ったフルーツパンチ。マオリのおばちゃん達はミントの事をこの葉っぱみたいの何?って言ってました。
招待客が揃ったら、会場にポーフリ(Powhiri,マオリの歓迎式典)で呼び入
れるるという事なので、中庭で待機。
チップス、デップでパンチを飲みながら、知ってる人に挨拶したり、しゃべ
ったりして待ってました。
6時半になってもまだ全然始まる気配がありません。重要なゲストの到着を待ってるらしく、シャノンは携帯でほうぼうに電話かけてました。
退屈しのぎにちびちびと3杯もパンチを飲んでしまいました。これは甘いけ
ど、アルコールはちゃんとはいっているので結構まわります。

8時にやっとポーフリが始まることに。
地元マラエのコーマツア(ko matua,長老)達は会場内で出迎えのカーランガ
(karang, ご詠歌のよう)で招待客を呼びいれます。私達招待客はホールに
集まり、シャノンの家族の後に続いて会場にしずしずと入っていきます。
先頭のシャノンの家族、年配の女性がカーランガ答えて歌います。
ポーフリはその日に儀式にふさわしい内容で行われるそうです。
ニュージーランドの学校では新入生を向かえる時、オフィシャルなオープニ
ングの時には必ずポーフリで始めます。

この後、長老の始まりのスピーチ。すべてマオリ語で執り行われました。
ところどころ知ってる単語がでてくるけど、何をいっているのか私にはさっ
ぱりわかりません。主役のシャノン、招待客のパケハ達(pakeha,白人、
マオリ語で外国人という意味)や主役のシャノンさえも意味がわからないの
です。
マオリはニュージーランドの公用語ですが、1980年位まで公立学校で
あまりマオリ語が教えられなかった為、60歳以上の人かコハンガレオ
(kohanga re, マオリ語教育の幼稚園)に言った子供たちしかマオリ語を話
せません。
家族によっては、ちゃんとマオリ語で会話してるところもありますが。

シャノンの家族のワイアタ(waiata,歌)の後、やっと英語の司会で今日の流
れが説明されます。
ビッフェ式のディナーは、長老のカラキア(karakia,祈り)で始まります。
最後にアーメンと唱えて、ダイニングルームへ。
マオリの伝統の従って、年配の人たちから、大人、子供がそれに続きます。

メニューは生牡蠣、ロウフィッシュのココナッツサラダ(マオリ料理)、
イセエビ、チキン、ビーフ、ジャガイモ、かぼちゃのロースト、サラダ、マオリ
ブレッド(あげぱん)と豪華。
テーブルにはシャンペン、赤ワインが数本ずつ。バーコーナーでは、生ビー
ル、カクテルがサーブされてます。
隣のマオリの叔父さんはちゃっかりとドッギーバックにイセエビの半身とチ
キンをいれてから、食事の取り掛かってます。ドッギーバックとはお持ち帰
り用のコンテナのこと、犬の餌にするからといって残り物のいれるところか
らそう言われます。

一通り、食事がいきわたると又スピーチが始まります。
マオリの式典では演説者はしゃべいたいだけ、時間の制限なしにしゃべるこ
とが許されます。ある時、マオリの式典に言って、意味のわからないマオリ
語でえんえんと演説が続き、えきへきして「何時終わるの?」友達にこっそ
り聞いたら教えてくれました。
きょうの場合、まずステージに座っている人の紹介。シャノンの親、兄弟、
子供たち、親友のその日の重要人物10人が座ってました。
シャノンの家族の半分はオーストラリアに住んでいて、今日のためにかけつ
けた人もいます。
その後、長女のスピーチ。「私はシャノンと知り合って31年経つわ」って言
っていたから、彼女は31歳、シャノンが19歳の時に生んだことなります。
前に友人がマオリの平均寿命はだいたい50ぐらいだから、50歳まで生き
れば後は人生を楽しまなきゃと言ってました。おおむね早婚だから、50歳
で孫がいても普通です。
日本なら50歳は子供がやっと成人するかどうかくらいで、孫にいる人は少
ないと思いますが。

それに続き、大叔父さんのスピーチ。前半、シャノンが2歳の時の逸話をマ
オリ語でしゃべっているが、これも私には解りません。隣に座っているマオ
リのおばさんが、とてもいい話だから英語でしゃべってみんなに聞いてもら
えばいいのにね、と言ってました。後で大叔父さんは英語でしゃべったけど、
内容な省略されていて面白みに欠けてました。

いずれの人のスピーチも最後はワイアタ(歌)で締めくくられます。
ワイアタはスピーチの内容を象徴的に歌っており、ワイアタを歌いことによ
りスピーチの内容がlift upし、スピリチュアルに高められると言います。
スピーチは一人でしても、ワイアタになると親族がでてきて応援し、即興で
素敵な合唱を聞かせてくれます。
隣に座ったマオリのおばさんによるとソングとワイアタは違うそうです。
ワイアタはそれぞれに特別な意味があり、儀式にふさわしいものを選ぶそう
です。

シャノンとお兄さんは白人のような顔つき、他の兄弟は色が黒くてまさにマ
オリという感じです。シャノンはアイリッシュのお父さんに似てるそうです。
シャノンのの兄はキチンとスーツを着こなしビジネスマン風、黒の革ジャン
着て腕に刺青を入れてる弟(いかにもマオリのギャングと言う感じ)と対照的。
家族親戚関係で100人近くはいそうです。
マオリの葬式に行ってもわかりますが、大家族主義で、なんかの集まりがあ
りとと、家族全員、赤ん坊からおじいいちゃんからいとこはとこに至るまで
一族をひきつれて参加します。
それにパートナーがいる人はパートナーとカップルでくるし、すごい数にな
ります。

家族のスピーチから始まって、スタッフの感謝の言葉やら、祝福のカードの
披露など1時間近くかかりました。
「ママには男は要らないのよ」と言った娘の発言で、シャノンのプライベ
ートライフもちらっとわかったりします。シャノンは、最近5年ほど同居し
ていたボーイフレンドと別れたらしいです。
又しても、退屈まぎれに目の前にあったシャンペン、ワインをつい飲みす
ぎてしまいました。

それからしばらくして、各テーブルの蜀台に火が点され、電気が暗くなり、
バンド演奏でHappy Birthdayの歌が始まり、シャノンが中央に置かれたケー
キをカット。
ケーキはシュークリームと季節のイチゴ、生クリームのクロカンブッシュ。

ケーキの後は会場の半分のテーブルと椅子が取り払われ、ライトもパブのよ
うに薄暗くなり、若い人たちは踊り始めます。
ここまでいればもう帰ってもいいかなと思いました。もうすでに11時近
くになってます。
せっかくきたので、デザートも食べて帰ることに。デザートはババロア、
チョコレートケーキ、イチゴケーキ、フルーツサラダ。
コーヒーをおかわりして、酔いを醒まし、運転できるようししないと家に帰
れません。
ホールの音楽があまりにうるさいので、ダイニングでコーヒーを飲んでいる
とシャノンの幼馴染のリンダがやってきました。
リンダとシャノンは18歳の時に一緒にオーストラリアに渡ったそうです。
しばらくは同じ工場で働き、リンダはその後ニュージーランドに戻りました。
ニュージーランドの人にしてみれば、オーストラリアはすごい近い国です。
こっからシドニーに行くのは、北海道から東京に出稼ぎでるくらいの感覚で
しょう。

ようやく酔いもさめたので、シャノンの捜しに行き、お礼の挨拶をして帰途
に着きました。

おしゃれなシャノンらしく、お料理もテーブルセッティングもモダンにセッ
トされてました。それでもパーティーの流れはマオリの伝統にのっとって行
われました。
招待客もアジア人一人(私)、白人30人ほど、それ以外はマオリ人でロ
ーカルな催しでした。
マオリ人は西洋文化を受け入れながらも、人生の大切な儀式には自分達の伝
統を守り続けています。


最後に私はそれほどのんべえではありません。決してお酒が嫌いとはいいま
せんが、この日はちょっと飲みすぎましたが。いろいろ飲んだので、あくる
日は気分悪し。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« その9 バレンタイン 18... | トップ | その6 NCEA試験真っ最中 ... »

コメントを投稿

第1-10回」カテゴリの最新記事