MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ハースメル』

2020-10-02 00:40:07 | goo映画レビュー

原題:『Her Smell』
監督:アレックス・ロス・ペリー
脚本:アレックス・ロス・ペリー
撮影:ショーン・プライス・ウィリアムズ
出演:エリザベス・モス/カーラ・デルヴィーニュ/ダン・スティーブンス/アギネス・ディーン
2018年/アメリカ

ドキュメンタリータッチという「苦行」について

 改めて時系列を整理しておくならば、主人公のベッキー・サムシングをマネージャーのハワード・グッドマンが見いだした時期は、ラストのライブで10年前と言いかけて11年前と言い直している。ベッキーが「サムシング・シー(Something She)」というパンク・バンドでレコード・デビューしたのは1988年で、1993年までの楽曲をまとめたベストアルバムがリリースされているから4年の活動休止時期を経た「現在」は1997年で、現在のベッキーの娘のタマは7歳だから作品冒頭のシーンは1990年であろう。だから2種類の映像が使い分けられているのだが、時期は変わらないのである。
 作品前半はなかなかハードなシーンで、デビュー当初はゴールドディスクなどを獲得して上手くいっていたバンド活動が出産直後の離婚やアルコール依存症などで祈祷師を雇うなど常軌を逸していたベッキーの楽屋におけるゴタゴタがドキュメンタリータッチで続くために苦痛を感じるが、後半からのバンド復活までのシーンを見られることで「苦行」が報われることになるだろう。エリザベス・モスが演じるベッキーが娘のためにピアノで弾き語るブライアン・アダムスの「ヘブン(Heaven)」のカヴァーが素晴らしい。
 因みにタイトルの「彼女の匂い」はニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」から採られていると思う。

Bryan Adams - Heaven (Official Music Video)

Nirvana - Smells Like Teen Spirit (Official Music Video)


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