MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』

2020-10-16 00:58:22 | goo映画レビュー

原題:『Hors Normes』 英題:『The Specials』
監督:エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ
脚本:エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ
撮影:アントワーヌ・サニエ
出演:ヴァンサン・カッセル/レダ・カテブ/エレーヌ・ヴァンサン/ブライアン・ミアロンダマ
2019年/フランス

看護する側とされる側の視点の違いについて

 ブリュノ・アロシュがジョゼフという少年と出会って15年前に設立した自閉症の子供をケアする団体「正義の声(La Voix des Justes)」は、マリクという男性によって運営されている、社会に馴染めないまま無職でいる若者たちを受け入れて人材派遣している「寄港(L'Escale)」というイスラム系の団体とタッグを組んで両方の若者たちに社会で生きる機会を与えている。この試みは一石二鳥ではあるが、両団体共に資格を持たないために厚生省から認可を受けておらず、寧ろ無認可施設として監査局の調査が入っており、実際に様々な問題が生じてはいるのだが、だからと言って国が彼らを引き受けるわけではなく、現在は公認はされないまま見逃されている状態らしい。
 このような作品では珍しく、冒頭から施設から逃げ出した少女と彼女を追いかける職員たちの「逃走劇」から始めるアクション映画として描かれ、その作風は最後まで貫かれており見応えがあると思う。
 印象的なシーンとして頭突き防止のためにヘッドギアをされているヴァランタンを担当している新人のディランが言語聴覚士のルディヴァンがヴァランタンにしたテストで分からなかった欲しい飲み物を水ではなくコーラだと分かったのは、やはり絶えず一緒に過ごしているからで医師の限界が分かる。ジョゼフは洗濯機に(ボタンに?)異常に拘る資質の持ち主なのだが、特に男性は成長するに伴う性欲が問題をさらにこじらせる嫌いはある。
 因みに原題は「規格外たち」という意味だが、英題は「専従看護人たち」という意味である。


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