MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ペイルライダー』

2020-10-29 00:47:45 | goo映画レビュー

原題:『Pale Rider』
監督:クリント・イーストウッド
脚本:マイケル・バトラー/デニス・シュラック
撮影:ブルース・サーティース
出演:クリント・イーストウッド/マイケル・モリアーティ/キャリー・スノッドグレス
1985年/アメリカ

クリント・イーストウッド流「黒澤明時代劇」について

 冒頭のシーンは1880年頃のカリフォルニア州で黄金の採掘で巨大業者に成り上がっていたコイ・ラフッドがカーボン峡谷の採掘権を持っているハル・バレットが率いる小さな集団を追い出して採掘権を奪おうと刺客たちを送るけっこう長尺のものだが、そのシーンはおそらく『七人の侍』(黒澤明監督 1954年)のクライマックスの決戦シーンをイメージして撮られたものであろう。実際に、その後牧師のなりで現れたクリント・イーストウッドが演じる男の出現に対抗するためにラフッドは悪徳保安官のストックバーンが率いる「七人のガンマン」が現れるのである。
 本作のクライマックスは牧師が「ガンマン」たちを次々と倒していった後に、ストックバーンと差しによる早撃ちの対決となり、牧師は徐々にストックバーンとの距離を詰めていき、最後は近距離でストックバーンに大量の銃弾を浴びせるのだが、それは当然『椿三十郎』(黒澤明監督 1962年)のクライマックスの椿三十郎に斬られた室戸半兵衛の体から噴き出した血飛沫を想起させるものであり、牧師はまさに椿三十郎の「影武者」のように見える。
 つまり本作は黒澤明の時代劇をクリント・イーストウッドの解釈で撮られた作品と捉えるべきものだと思うのである。


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