原題:『Breathe』
監督:アンディ・サーキス
脚本:ウィリアム・ニコルソン
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド/クレア・フォイ/ヒュー・ボネヴィル/トム・ホランダー
2017年/イギリス
「ブレス」の感じ方について
主人公のロビン・カヴェンディッシュは実在した人物で、1958年、28歳でポリオを患い、首から下が麻痺してしまい人工呼吸器なくしては生きていけなくなってしまったのである。
当時の人工呼吸器の大きさに驚かされるのであるが、邦題に付け加えている「しあわせの呼吸」というのは正確ではなく、「ブレス」とはロビンが寝たきりになってから動き続ける人工呼吸器の蛇腹状の空気供給器の絶え間ない音を指していると思う。
ロビンの頑張りによって頭を動かして人を呼ぶ簡素な装置から人工呼吸器を備えたモバイルチェアの開発まで功績を上げていくのだが、人工呼吸器を進化させているにも関わらず、だんだんと老いていくロビンの体が器械の進化に追いつけないところが悲しいアイロニーとして描かれている。
ところで本作は興行的に失敗しているのであるが、その原因としてロビンが無神論者であることが関係しているのか興味深い。