原題:『A Quiet Place』
監督:ジョン・クラシンスキー
脚本:ジョン・クラシンスキー/スコット・ベック/ブライアン・ウッズ
撮影:シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
出演:エミリー・ブラント/ジョン・クラシンスキー/ミリセント・シモンズ/ノア・ジュープ
2018年/アメリカ
大ヒットした「ポンコツ映画」について
2018年9月28日の毎日新聞夕刊は本作を大きく取り上げており、10月7日の毎日新聞の日曜くらぶの「映画愛」というコラムで藤原帰一が本作を「ホラー苦手でも楽しめる表現絞り込んだ純粋映画」として褒めており、10月5日号の週刊朝日では渡辺祥子、大場正明、LiLiCo、わたなべりんたろう共に本作を高く評価しており、ウィキペディアによるならば何とあのスティーヴン・キングが本作を絶賛しているようなのだが、とてもそれほどの作品のようには見えなかった。
冒頭で医師のイヴリン・アボットが薬品の瓶を音をたてないようにゆっくりと取り上げる様子や手話でコミュニケーションを取るところなど、例えば、『ドント・ブリーズ』(フェデ・アルバレス監督 2016年)の緊張感を生んだ、息を殺すくらいに音をたててはならないという設定かと思いきや、その後、けっこう音をたてていても怪物が現れなかったり、そんな状況の中で赤ん坊を出産するなど、設定の甘さが目立ちだす。
さらにアボット家が襲われる際にはたいてい怪物は一匹で現れ、何故一斉に襲ってこないのか謎は膨らみ、ラストにおいて「怪物の弱点は?」という文章を見た娘のリーガンが自分が身につけているマイクロフォンのフィードバックによるハウリングが効果的だと気付いて確かに怪物は身もだえはするのだが、再び襲って来た時にイヴリンが銃殺し、結局、怪物を銃で殺してしまい、残りの怪物たちが集まってきてしまい、父親のリー同様に3人も殺されることが暗示され、それまでの1年4カ月にわたる逃走劇は何だったのかと思ってしまうのである。あるいは続編においてそのような謎は解消されるのだろうか?