原題:『Crazy Rich Asians』
監督:ジョン・M・チュウ
脚本:ピーター・チアレッリ/アデル・リム
撮影:バーニャ・ツァーンユル
出演:コンスタンス・ウー/ヘンリー・ゴールディング/ジェンマ・チャン/リサ・ルー/オークワフィナ
2018年/アメリカ
経済学の「バリエーション」について
本作は主要キャストがアジア系の俳優で占められた作品として話題になっているのであるが、ストーリーも主人公のレイチェル・チュー、レイチェルの恋人のニック・ヤングの母親のエレノア・スン=ヤングとニックの従姉のアストリッド・レオン=テオに注目するならば良質といっていいのではないだろうか。
1995年のロンドンのホテルで侮辱されたトラウマがエレノアの「西洋人嫌い」を生じさせているように見える。だからアメリカのニューヨーク大学の経済学科の教授という肩書を持つレイチェルが中国出身であっても西洋に魂を売ったようで、嫌悪感を持つのであろうし、特に経済学専攻というのが「金目当て」に見えるのかもしれないが、レイチェルが専攻しているのはゲーム理論で、それはラストのエレノアとの麻雀対決で本領を発揮する。
アストリッドは自分の家系が裕福であることが目立って夫のマイケル・テオの機嫌を損ねないように購入した高価なものは気を使って隠しているのであるが、マイケルは浮気をしておりアストリッドの努力は何の意味もなさないのである。
要するにお金持ちはお金にこだわってしまうことが災いして肝心なことを見逃しているというのが本作のテーマであり、お金よりも「ゲーム好き」なレイチェルはニックには魅力的に見えるのである。確かに「戦略的状況」を瞬時に判断できる嫁ほど重宝されることはないであろう。
『MEG ザ・モンスター』(ジョン・タートルトーブ監督 2018年)において中国資本による「日本排除」を論じたが、本作には出演者の一人にソノヤ・ミズノがいるし、クレジットはされていないが、パーティーのシーンではテレサ・テンの「つぐない」が流れている。しかしソノヤ・ミズノは日本生まれのイギリス人で、テレサ・テンは台湾出身でやはり日本はなかなかハリウッドの「奥」まで進んでいけないのである。
ここではソノヤ・ミズノが出演しているケミカル・ブラザーズとベックの「ワイド・オープン」を和訳しておく。
「Wide Open」 The Chemical Brothers ft. Beck 日本語訳
僕は誰にも縛られていないけれど
もう君を喜ばせてあげられないのか?
君は僕からするりと抜けていき
君は僕からゆっくりと去っていく
僕は誰にも縛られていないけれど
もう君を喜ばせてあげられないのか?
君は僕からするりと抜けていく
君は僕からするりと抜けていく
僕を休ませて欲しい
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
僕を休ませて欲しい
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
僕は誰にも縛られていないけれど
もう僕には愛が見えないのだろう
君は僕からゆっくりと去っていき
君は僕からするりと抜けていく
僕は誰にも縛られていない
僕は誰にも縛られていない
僕は誰にも縛られていない
いつか僕を見かけるならば
天井から前後左右に動きながら見て欲しい
いつか愛が僕を傷つけるだろうが
愛が引き返してくれるならば
僕はすぐにでも愛を信じるよ
僕を休ませて欲しい
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
僕を休ませて欲しい
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
僕は誰にも縛られていない
僕は誰にも縛られていない
僕を休ませて欲しい
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
愛が僕から去ろうとしている
The Chemical Brothers - Wide Open ft. Beck