MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『イコライザー2』

2018-10-09 20:37:26 | goo映画レビュー

原題:『The Equalizer 2』
監督:アントワン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
撮影:オリヴァー・ウッド
出演:デンゼル・ワシントン/ペドロ・パスカル/メリッサ・レオ/アシュトン・サンダース
2018年/アメリカ

書名が暗示する主人公の覚悟について

 前作『イコライザー』(アントワン・フークア監督 2014年)では主人公のロバート・マッコールが読んでいる書名がストーリー展開を補うような役割を果たしており、本作においては『世界と僕のあいだに』(タナハシ・コーツ著)と『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト著)しか出てこないのだが、これは寧ろマッコールの覚悟を暗示しているように見える。
 確かの冒頭の行きつけの書店の幼い娘の救出シーンから、スーザン・プラマーが急襲され、自分が運転するタクシー内で殺し屋に襲われた後、マッコールがデイブ・ヨークの自宅を訪れた際のヨークの家族を利用しながらの駆け引き、マッコールの自宅に潜む隣人のマイルズ・ウィテカーと殺し屋との心理戦や、クライマックスの、まるで西部劇(あるいは日本の時代劇)の風が吹きすさぶ「荒野」の中でのマッコールと殺し屋との対決シーンなど、マッコールとマイルズの、あるいはマッコールとスーザンの「友情」の挿話を挟みながら、最後まで緊張感が途切れない。何故本作における批評家の評価が低いのかがよく分からない。
 日本語字幕に関して一言書いておくならば、書店の娘を救出した後に、食卓でマッコールがスーザンと会話をするシーンがある。スーザンに上手くいったのかと問われたマッコールは「成功した(happy ending)」と答え、スーザンに念を押されると「性交じゃない(not pretending)」と答えている。元のセリフで韻を踏んでいるので、このような訳になっていると思うのだが、読書家のマッコールがこのようなオヤジギャグを言うとは考えられないのである。個人的にはマッコールの特殊能力を勘案して「予想通りだよ(happy ending
)」、そして「装ってはいないよ(not pretending)」と訳したい。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする