(調布市・深大寺の庫裏 1/30撮影)
『今朝の天気』
(7:15頃)
今朝の温度(6:00) 室温 リビング:18.5、 洗面所:21.5、 湿度(リビング):22%
(昨日の外気温 東京、最高気温:10.1、最低気温: 7.8
本日の予想気温 最高気温:17、最低気温: 7)
冒頭の写真は、調布市深大寺の庫裏(台所)です。普段は内部は見れないのですが、この日は開放されていました。
さて、中国天台思想概要の続き(第2回)です。第1回は中国天台思想の実質的開祖者天台智顗(ちぎ)の略歴と中国天台の系譜について年表にてご説明しました。
この後は、中国天台思想とは、という本題に入っていくわけですが、その前に中国天台思想のもととなった『法華経』についてまずはその概要を説明します。
2.『法華経』の意義と構成
2.1.『法華経』の意義
(1)題目『妙法蓮華経』とは
『法華経』は『妙法蓮華経』を省略して称したものです。この題目の漢訳は、竺法護(*1じくほうご231-308?)が「正法華経」(286年訳)と訳した「正法」を鳩摩羅什が「妙法」(406年訳)と訳しなおしたものです。(*2参考:Wikipediaより)
*1竺法護:西晋時代に活躍した西域僧(インド北方の月氏国の出身)で、鳩摩羅什以前に多くの漢訳経典にたずさわった代表的な訳経僧。
*2『サッダルマ・プンダリーカ・スートラ』(梵: सद्धर्मपुण्डरीक सूत्र, Saddharma Puṇḍarīka Sūtra「正しい教えである白い蓮の花の経典」の意の漢訳での総称であり、梵語(サンスクリット)原題の意味は、「サッ」(sad)が「正しい」「不思議な」「優れた」、「ダルマ」(dharma)が「法」、「プンダリーカ」(puṇḍarīka)が「清浄な白い蓮華」、「スートラ」(sūtra)が「たて糸:経」であるが、漢訳に当たってこのうちの「白」だけが省略されて、例えば鳩摩羅什訳では『妙法蓮華経』となった。さらに「妙」、「蓮」が省略された表記が、『法華経』である。「法華経」が「妙法蓮華経」の略称として用いられる場合が多い。
(2)「妙法」とは
「妙法」は竺法護が訳したように「正しい法」、つまり一般的な仏教用語では「正法」と同意義ということになります。正法は仏教の最高の真理のことをさして使いますが、智顗は、この最高の真理(ここでは「妙法」)について、『法華玄義』(*1)にて以下のように説明しています。
「妙を喚(よ)んで絶と為す。絶は是れ妙の異名(いみょう)なり」「妙は不可思議と名づく。麁(そ:相対なるもの)に因って名づくて妙と為すにあらず」(以上、巻第二上より)
以上の意味は以下のとおりです。
*1『法華玄義』:智顗は591年玉泉寺において、『法華経』にもとづく哲理と実践を講義し、講義結果は灌頂が筆録した。講義内容のうち哲理(仏教真理)は『法華玄義』としてまとめられた。なお、実践は『摩訶止観』にまとめられた。
(3)蓮華とは
智顗は『法華玄義』巻第七下にて、「法華の法門は清浄にして、因果微妙(みみょう)なれば、この法門を名づけて蓮華と為す」としています。
これは、『法華経』の一般的な解釈と中国独特の現実重視の考えたかを融合したものです。
①前半の「法華の法門は清浄にして」について
『法華経』「従地涌出品(じゅうちゆじゅつぼん)」第十四(第十五)よりの「蓮華が泥沼の中でしか生育せず、しかも泥沼に染まらず、清浄な花を咲かせるごとく、菩薩もまた泥沼の現実におりたちて、そこに真理の花を咲かせるということ」に基づいています。
②後半の「、因果微妙(みみょう)なれば、・・・」について
道生の『妙法蓮華経疏』や、光宅寺法雲の『法華経義記』にて「蓮華は花と実を俱有するとし、そこから、因あれば果あることを例えたもの。(「妙因妙果の法」)」とみなしたことに準じています。因果は現実存在をささえる法則で、それをとりあげたところには、中国一般における現実具体の尊重という思惟傾向がみられるといえそうです。
2.2.『法華経』の構成
智顗は『法華文句(ほっけもんぐ)』にて、『法華経』を以下の構成と解釈し示しました。
『法華経』は、もとは27章であったが、天台智顗あたりから、「堤婆達多品(だいばだったほん)」が「見宝塔品(けんぽうとうほん)」(第十一)の次に加わり、現在の28章となったということです。(「勧持品(かんじほん)」(第十二)以下は1章づつ下がることになった)
道正が因果の二部門に分けて解釈し、智顗もこれに習い、前半(迹門(しゃくもん):「一乗妙法」「二乗作仏」)と後半(本門(ほんもん):「久遠実成」「久遠本仏」)に大きく分けました。智顗は果門の本門を重視しています。
近世では、成立年代から3つ区分する見方もあり、内容的にも三要素に分割できます。
また、28章全体が経典の三分(序分、正分、流通分)構成となっており、迹門、本門それぞれも三分に分かれる構成となっています。
本日はここまでです。次回よりいよいよ本題の中国天台思想についての説明に入ります。かなり難しくて苦戦していますが、何とか整理してご紹介したいと思います。
(深大寺の庫裏内部)