hiroべの気まま部屋

日ごろの出来事を気ままに綴っています

父からの手紙:第11回(1990年6月8日)

2013-04-21 09:14:34 | 父からの手紙
 ブログのお休みもあって久しぶりですが、父からの手紙第11回です。

 父の字は自己流の崩し字で読めない字が各所にあります。次のように一部加工しましたので
ご承知置きください。

 ①句読点もない文章のため、句読点は適当に補いました。
 ②誤字、脱字はそのままとしました。旧漢字も可能な限りそのままとしました。
 ③略字、当て字は「カタカナ」表記としました。
 ④個人名は、関係者しかわかりませんが、一応仮名(イニシャル)としました。
 ⑤一部私の説明を追記しましたが、追記部分は‘  ’で囲みました。

 1990年6月8日 父:77歳

‘上京(鎌倉巡り)のお礼の手紙。日にちは覚えていませんが、結局、私の車で案内出来る平日
(休日は車では駐車がとても大変)が良いとの事で、6月に入っていたと思います。’


 拝啓

 此度は大変御世話様に成り御二人には深く感謝申上げます。
 鎌倉は歩く処が多く、車で巡って戴きほんとに助かりました。老いたら若い者の云う事を聴きねばを
実感致しました。緑が大変多く、落付いた街、京都に佳く似て居る、其んな感じを受けました。
電車に乗ってから気が付き、母さんが帽子を忘れて来た、かんかん照りだと暑いと心配して居りましたが、
御蔭で曇りで助かりました。

 宿屋は、御承知の様に前がすぐ砂浜ですので、ガラス戸を開け(私達は二階の八帖前四帖付部屋でした)
ると大変眺めが良く、朝の日の出を楽しみにして居りま志たが、残念ながら雨降りでした。
雨の砂浜を見て居て、子供の頃の遊んだ故郷の大塚海岸‘愛知県蒲郡市’を想い出し、砂止めの松林が
続く美しい海岸線、現在のコンクリート護岸味気無さ、自然は出来るだけ残して置き度いの感が切でした。

 九時半頃、宿を出て、御手伝いさんが駅迄で送って下され、藤沢駅に着いたら丁度熱海止りの車が入り、
其れで熱海に下車、貴殿も御承知と想ひますが、二キロ位東だった思ひますが、山上に立派な美術館が有り
(宗教関係の‘MOAのことらしい’)私は一度行ったのですが、時間が無くもう一度見ても佳いと想ひましたが、
エスカレーターで五六カイ乗替えて上る(途中の展望台も佳し)様に成って居り、母さんは
エスカレーターお断りとの事ですので、取止め、食事をし、土産を買ひ、四時一寸前に帰宅致しました。
 

 大切な休息日を私達の為に御使ひ下され感謝の外有りません。
 重ねて厚くお礼申上げます。

                                 SK‘父’
                                 KN‘母’ 拝
 HM‘私’
 ME‘妻’


 ‘義母への手紙’

 謹啓

 風邪を引かぬ様心掛けて参りましたが、御蔭で暖冬にも恵まれ、順頂に春を迎える事が出来、
此度念願の御邪魔申上げ、御佛壇にも御参りさせて戴き、家内も大変有難く申志居り、其の上宿泊迄でさせて
戴き、御世話に成り重ねて厚く御礼申上ます。

 帰途、鎌倉参拝も曇り日でしたので、暑くも無く、梅雨期前の新緑の美しい好季節でも有り、処々楽しく
巡らせて戴き大変佳い想出と成りました。併し、平日なのに観光客の多いのにも一寸驚かされました。
流石、古都鎌倉と想はれ、客の多さと、亦小さな寺でも迎える側の細い心使ひが偲ばれ、心地佳く感じられました。

 HM‘私’君達は、小田原迄で送って下さる心算で居られた様ですが、私は民宿でも結構ですので、一泊の予定で
居り、江ノ島で電話で予約して下され、江ノ島の前の片瀬海岸の弁天屋旅館に入り、古い造りですが、屋号が
江ノ島弁天屋と有り、昔からの江ノ島泊りの宿戸では無かったかと想はれます。

 風呂もタイルは張って有るが古く、階段も巾広く、全体が昔風な感じでしたが、前は砂浜で夏は海水浴客で賑やかな
処と想はれます。
 食事も品数多く有りませんが、大変美味しく魚類が余り好きで無い婆さんでも賞める程でした。
 老人クラブで入る大旅館に無い家族的な暖かさが有り、私達には大変有難い想出を贈ってくれました。

 御母様には足が不自由で大変ですね。義弟の嫁が全く同じ症状ですのでよく分かります。少しでも、快方に向かわ
れます様、切に御祈り致します。

 HM‘私’君、ME‘妻’さん御二人には、此度、大変お世話様に成り、誠に申訳無く想ひ居ります。

 梅雨期も近づき炎暑の季も遠く有りません。皆様、御体大切にして下さいます様。
 御母様には、特に御自愛下さる様、切に御願申上ます。

 乱筆御許下さい。
                               SK‘父’
                               KN‘母’ 
 I様’義母’

 六月八日