竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下  波郷

2017-03-02 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(6)

ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下





焼工場日矢群がりて萌ゆるらし

草木瓜や故郷のごとき療養所

貨車長し春の三日月光り出す

草餅を子と食ひ弱くなりしかな

ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下

妻のみが働く如し薔薇芽立つ

春驟雨木馬小暗く廻り出す

山越の鴉こゑなし花辛夷

おほらかに山臥す紫雲英田の牛も

朝鳥や菫繞らす切株に



10句の中で表題句を採った
妻への感謝と少しの羨望、そして愛情
たくさんの波郷の感情が溢れています
ゆるぎなく に万感があります

読者はどれを選句しますか
できればコメントを添えて選してくださいませんじか
お待ちしています(丈士)
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つばくらめ父を忘れて吾子伸びよ 波郷

2017-03-01 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(5)


つばくらめ父を忘れて吾子伸びよ




早春や胸高に出づ予後の月

梅も一枝死者の仰臥の正しさよ

三月風胸の火吹かれ打臥すも

遠き木の元に猫居り春雷す

花しどみ五十の草田男若々し

緋桃菜の花遺残空洞胸に抱く

春日残照病室同じ色に灯す

病室に巣箱作れど燕来ず

創痛や春の山鳩応へつつ


10句の中で表題句を採った
病む父情の無念さに胸をつかれました
読者はどれを選句しますか
できればコメントを添えて選してくださいませんじか
お待ちしています(丈士)
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