竹とんぼ

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砂漠かなコンサートホールにかなかな 兜太

2018-07-02 | 金子兜太鑑賞
砂漠かなコンサートホールにかなかな 兜太




昭和61年、「皆之」より

砂漠、コンサートホール、かなかな、
まったく異質なものが並んでいる。
砂漠といえば、植物の生えてない、
文明社会の入れない砂と空と星と月と太陽の世界。
作者はコンサートへ出かけたのではないか。
開演前、席に着いて待っているのであろう。
薄暗く、天井に小さな照明が星のようで、
消音の効いた、コンサートホールは、
どこか砂漠感があるのだと思う。
間もなく、弦楽器の調律で音が聞こえてきた、まるでかなかなと、
ヒグラシを聞くようだ。
っという景をこの句から描いた。
下の「かなかな」が楽しい。開演前の気分の高揚もあるだろうが、
「砂漠かな・・・かなかな」というところなど、
ちょっとふざけているのかもしれない。
しかし、大変感覚のきいた句である。
生き様を句にしたものではない、だが、
作者の研ぎ澄まされた感性がとてもよく出ているのではないか。
兜太さんの句は重く深く大きくという感じで、
太い神経を思ってしまうが、それは違うのであろう。
掲句は、繊細な感覚の句でありながら、滑稽な面もある、
面白い句だと思いました。


参照 http://www.shuu.org/newpage24.htm

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