竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

うしろより声あるごとし花野ゆく 森 澄雄

2021-10-19 | 今日の季語


うしろより声あるごとし花野ゆく 森 澄雄

一人行く花野である
花野は人生の旅路の終章の景か
ふとかけられぬはずの声を聴いたように感じている
心情が見事にあらわな表意だ
(小林たけし)


【花野】 はなの
◇「花野原」 ◇「花野道」 ◇「花野風」
美しい秋の草花が咲き乱れた野原。華やかな反面、淋しさもともない、昼の虫の音も聞こえるなど哀れ深い。吹く風はしっとりとして日差しも柔らかい。

例句 作者

花野行く男に群れのなかりけり 大森輝男
日陰ればたちまち遠き花野かな 相馬遷子
花野みなゆれ初めたる通り雨 高木晴子
あの世ってどんなとこかな花野行く 河黄人
あの雲に乗れば補陀落花野発 宇田篤子
うしろ手に花野夕山旅を閉じ 澁谷道
えんとつに雌雄のありし花野末 澁谷道
おでん啖べゐて花野へ逃げ戻る 文挾夫佐恵
おのずから岐れ道あり大花野 竪阿彌放心
ここまでと踵返せり大花野 鈴木俊子
つらなれば花野に疼く尾てい骨 福本弘明
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