竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

巡礼のように蟻ゆく爆心地 和田浩一

2021-07-26 | 今日の季語


巡礼のように蟻ゆく爆心地 和田浩一

作者は戦争を悼む作品を多く発表している
掲句もその例だが
蟻の列の中にふと作者がゐる幻がみえてくる
(小林たけし)


例句 作者

一兵の道あけておる蟻の道 後藤岑生
一匹の蟻ゐて蟻がどこにも居る 三橋鷹女
人と蟻居ても立つても居られない 吉川葭夫
働き蟻兵隊蟻日はかんかんと 江中真弓
僕に似た蟻穴を出て脱走す 前田霧人
先頭の蟻を知らない蟻の列 栗林浩
兵士蟻地面を踏まず急ぎけり 菊地乙猪子
刺草(いらくさ)に蟻走り入り走り出る 津根元潮
力行の範たる蟻をつぶしけり 相生垣瓜人
勤勉が身の破滅にて蟻の列 水谷郁夫
埋めきれぬ時間大きな黒い蟻が来て 福富健男
夜の卓に逃亡兵の蟻が来る 守谷茂泰
夜の蟻迷へるものは弧を描く 中村草田男

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