竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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勾玉の中に醒めたる秋の雨 高野ムオ

2019-09-14 | 今日の季語



勾玉の中に醒めたる秋の雨 高野ムオ

勾玉は、曲玉とも書く。湾曲した玉の一端に穴をあけ,糸を通した装身具の一種。日本では縄文時代からみられ,古墳時代にいたって多用された。また,古代朝鮮でも用いられた。動物の牙に穴をあけて用いたのがその始りといわれ,その後,石,土,さらに弥生時代になると,ガラス,古墳時代には翡翠,碧玉,瑪瑙,琥珀,滑石などでつくられるようになった。大きさや形状はさまざまであるが,この勾玉の変形したものに子持勾玉がある。

さて句意は難解だ
女性の装身具である勾玉の中に醒めたものは何んなのか
秋雨の取り合わせなのだから、男女の恋情のうつろいのことだろうか
私にはそれ以上の解が浮かばない
現代俳句の先頭を行く作者だけに詠みきりたいものだが
(小林たけし)


【秋の雨】 あきのあめ
◇「秋雨」(あきさめ) ◇「秋霖」(しゅうりん) ◇「秋霖雨」(しゅうりんう) ◇「秋黴雨」(あきついり)
秋季の雨の総称。秋の雨はどこかうそ寒く、沈んだ気分を誘う。冷え冷えとして、なかなかあがらず火鉢が欲しくもなる。9月中旬から10月半ばまでの秋の長雨を「秋霖(しゅうりん)」というが、じとじとと降り続きうっとうしい感じである。

例句   作者

みちのくの重さ滲ませ秋黴雨 安田龍泉
クリスタルな秋霖時計店の慇懃 加藤知子
コインランドリー秋霖秋霖と廻りゐる 間野博子
コーヒー店永遠に在り秋の雨 永田耕衣
一票大事一句大切秋黴雨 藤本草四郎
口中の暗き甲冑秋ついり 宮坂市子
待ちぼうけ少年秋の雨に濡れ 宇野泉
暑くもなし寒くもなくて秋の雨 末広鞠子
棗はや痣をおきそめ秋の雨 富安風生
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