仁王門くぐりし供は赤とんぼ 2016-09-10 | 秋 仁王門くぐりし供は赤とんぼ 晩年はいつからのことを呼ぶのかは知らないが 現在は正真正銘の晩年だ 寺社めぐりは若い時から好んでいた 願い事なども年代や境遇で変わった 一緒にお詣りする家族友人もたくさん居たが ここのところ一人網でが増えている
新涼やしたり顔する旅鞄 2016-09-08 | 秋 新涼やしたり顔する旅鞄 秋は旅行に最適の季節だ 暑い季節は外へでるのも勇気がいつが 新涼ともなれば旅行雑誌をめくっては思いをめぐらす ほおっておいた旅行鞄がそろそろ出番か そんなしたり顔にみえる
老農に思わず目礼稲田風 2016-09-05 | 秋 老農に思わず目礼稲田風 自宅の前に刈入間近の田圃が広がっている その畦道は朝夕の散歩の定番コースだ 田の見回りをする農夫にあうと何故か自然に目礼をしてしまう 会釈をかえしてくれる老農もいたりする
渓もみじ秘湯に五体そまりきり 2016-09-02 | 秋 渓もみじ秘湯に五体そまりきり 山間の温泉が良い 紅葉の季節にはひとりで思いついたらすぐに出かける 最近はどこの観光地でも日帰り入浴ができるのが嬉しい ゆっくりと湯につかり マッサージを呼んだり ちょっと一人贅沢なランチしたりと 楽しみはつきない 気が向けば泊まっても良い 人が少なければそれも秘湯めいていて楽しい
浴室に秋刀魚焼けたと妻の声呼ぶ 2016-09-01 | 秋 浴室に秋刀魚焼けたと妻の呼ぶ 秋刀魚の旨い季節である 七輪に渋団扇 目をほそめて煙を鮭ながら割烹着の妻 こんな若世帯はいつだったか 早くしないと冷めるわよ 美味しく食べないのはあなたのせいよ
葦原や怒り肩ある風化仏 2016-08-30 | 秋 葦原や怒り肩ある風化仏 葦原はアシハラともヨシハラとも読むらしい 悪しと良し の上手な使い分けなのだろう 秋の風が身に沁みすころになると 転がっている石が冷たく鋭い様子にみえてくる 来るべき冬に備えのいかり肩なのだ
鈴虫やあたまの中に回顧録 2016-08-27 | 秋 鈴虫やあたまの中に回顧録 京都に鈴虫寺と呼ばれる古刹があるらしい 妙徳山 華厳寺 が正式な名称だという 一度訪ねてみたいお寺さんだ 鈴虫の音の郷愁は松虫の比ではない いつしか来し方をふりかえっている
反故にせし誓ひかずかず星月夜 2016-08-26 | 秋 反故にせし誓ひかずかず星月夜 夜空が済んできたように感じる 満天の星空ではないが流星もみることがある 星を眺めるとなぜか古い記憶が襲ってくる 長い来し方 反故にしたりされたりの誓い言もたくさんある 星雲の志は自分への誓いふぁったが そっくり反故にしてしまっている
前触れの無しがきまりや月見草 2016-08-24 | 秋 前触れの無しがきまりや月見草 残暑がひといきついたような夕暮れ 昨日までなんの兆しもなかったはずの 月見草が咲いている 毎年気をつけているはずなのだが いつも前触れを者がしている これがまた嬉しくもある
新藁や昔語りに重き役 2016-08-23 | 秋 新藁や昔語りに重き役 窓から昨夜の豪雨が嘘のように青空が広がって見える そして稲穂をたわわにした田が波打っている 刈入が近い 今は藁打ちなどをする農家はほとんどみないが 先日旅先の古民家を利用した民俗資料館の土間で 「藁打ち石」をみた 昔語りにはよく登場する役回りだったことを思う出した
梨送る礼の電話の老いたるや 2016-08-20 | 秋 梨送る礼の電話の老いたるや 毎年横浜の兄と妹に梨をこの季節送っている それぞれに違う母親をもつ兄妹なのだが 付かず離れずの良好な関係だ 必ずお礼の電話がくる この電話で近況をお互いに知り合うことになる 今年は二人ともいやに老いた感じの声音だったのが気にかかる 「あなたも同じように感じられているわよ」家内の言である
無作法も許す酷暑やみなほうけ 2016-08-19 | 秋 無作法も許す酷暑やみなほうけ 立秋をすぎると俳句ではどんなに暑い日でも残暑なのだという決まり 江戸時代の粋人のこだわりに脱帽だ 夏の酷暑ににな惚けてだらしのない無作法も 残暑となると許されそうもない
日の丸にこんなに熱く時差五輪 2016-08-18 | 秋 日の丸にこんなに熱く時差五輪 ブラジルは日本の裏側で時差は12時間 競技の時間は半日ずれて報道されるが オリンポックにはどの国も一体となって 自国を心から応援する 私も日の丸にもんなに熱くなっているのが不思議にうれしい この句 季語がないな こういうのは無季でいいと聞いた風なきがする
踊りの輪 考の背ひょいと現るる 2016-08-17 | 秋 踊りの輪 考の背ひょいと現るる 盆踊りが日本各地でさかんだ 最近では海外の日本人街でも挙行されていて 現地の人々までもが楽しんでいるそうだ 仏さまもいつのまにか踊りの輪に交じって手をそろえている あの背格好父に違いない 声をかけないのが供養だろう
そこまでがつひ長くなり星月夜 2016-08-14 | 秋 そこまでがつひ長くなり星月夜 天の川の夏空が終わると なんよも鮮やかな秋の星空があらわれる 君をそこまでと声をかけて送る とりとめのない話が弾んで 驚くほどの時間と距離を歩いていた そんな青春は満天の星空だった