木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

三下り半を突きつける

2008年08月23日 | 大江戸○×クイズ
問い:三下り半とは、本当に3.5行であった。 ウソ? 本当? 答えは、文末に。

オリンピック、野球は残念でした。
うーん、星野監督の「野球に恩返ししたい」というのは、ちょっと奇麗事過ぎる台詞のように感じてしまったのは、私だけでしょうか。

さて、三下り半。離縁状のことです。
江戸時代は、妻はこの離縁状がないと、他に縁付くことができなかった。
夫のDVがあろうと、夫の勝手な理由により離縁されようと、妻は、この離縁状を夫に書いてもらう必要があった。理不尽ではあるが、江戸時代は、そういう決まりになっていた。
実際の離縁状は、下記のものである。
内容としては、政吉という夫が、きちという妻を離縁するものである。一応、読み下し文を示すが面倒な人は読み飛ばして下さい。

離縁状の事
一 此きち義、我等勝手に付き
   離縁致し候。然る上は何方へ
   片付き候とも少しも構いなく御座候。
   仍てくだんの如し。
     文政十年
    亥十一月
                   政吉
             おきちとの


内容としては、ひどいもので、「我等勝手に付き」つまり「こちらの勝手な都合で」離縁するというものである。離縁した後は、どこへ嫁ごうが、知ったことじゃない、という内容です。
下の古文書を見ると、政吉と書いた後に「へ」のような文字が見えるが、これは文字ではなく、爪印である。
判の代わりに爪に墨を塗って押したので、「へ」のように見える。
この文書を見ると、きっちり三行半であるのが分かる。
この見下り半がないと、女性はその後再婚できなかったので、女性にとっても大事な書類であった。


答え:○



演習古文書選 吉川弘文館 (日本歴史学会編)

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1 コメント

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はじめまして (aeri)
2015-06-06 07:08:49
>内容としては、ひどいもので、「我等勝手に付き」つまり「こちらの勝手な都合で」離縁するというものである。離縁した後は、どこへ嫁ごうが、知ったことじゃない、という内容です。

これは常套句でして、「我々の都合で勝手に離縁したので、今後は誰と再婚しても異議を唱えません」という意味です。
つまり離婚後のトラブルは一切起こさないという意思表示です。この一文がなければ妻は安心して離婚できません。

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