活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

「第36回JAXAタウンミーティング」in大阪(後篇2) より遠くへ。より未来へ。人は、挑み続ける。

2009-07-29 00:00:09 | 自然の海
名称:語ろう!宇宙と地球の未来
   「第36回JAXAタウンミーティング」in 大阪
主催:財団法人 大阪科学技術センター
   宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日時:平成21年7月25日(土)14:00~16:30
会場:大阪科学技術センタービル8階 大ホール


※ 写真は、当日終了後にアンケートを提出したら戴いたJAXAの
  ストラップ。
  嬉しいなあ。
 (と、思わずコロンビーヌ(「からくりサーカス」)になる僕)


こうして、彼は再び地球への帰途に着いた。
その彼と地球を繋ぐ目となり、耳となるのは臼田の64mアンテナ

長野県佐久市にあるこのアンテナは、なんと1984年(昭和59年)製。
今から25年も前の代物である。
勿論、立派に機能し、今日もはやぶさとの交信を行ってくれている
彼であるが、流石に寄る年波には勝てないようで、大掛かりな補修工事が
行われることになった、という。

今、正にはやぶさが地球に向かっている、このタイミングで!?と思うが、
川口氏によれば、それでも何とか伸ばし伸ばししてきた最後の調整の結果
としての、今年の補修工事らしい。

本年11月4日から来年1月29日に予定されているこの工事の間。
はやぶさとの通信は、鹿児島にある内之浦宇宙空間観測所のパラボラ
アンテナ
が用いられるという。

だが、こちらは34mの直径しかなく、授受できるデータ量も1/4
程になってしまうそうな。

全く。
これでもかとばかりに試練が襲い来る「はやぶさ」である。

勿論、今後の最大の試練は、来年6月のカプセル分離~大気圏突入
から回収までの山場なのだろうけれど。


実は、現段階でも、もう一つ彼には大きな試練が存在する。

それが、後継者問題である。

「はやぶさⅡ」計画は、プランニングは為されているものの、
未だ正式に予算認可が下りていない段階なのである。

日本が国際的に優位を誇ってきた、そしてはやぶさの業績により、
更に積み増ししてきたアドバンテージも、他国の猛追により、
既に尽きようとしている。

更に、大きな問題が。
このまま予算がつかず、はやぶさプロジェクトが解体してしまえば。
培ってきた技術が霧散してしまうという問題である。

一旦解散したプロジェクトを再度参集しようとしても、同じメンバーが
再び揃うことはまず有り得ない。

その結果、今まで維持できていたスキルレベルが低下してしまい、
プロジェクトの推進上、大きな問題が生じてしまうことは、プロジェクト
運営に携わったことのある人ならば、誰しも実感出来よう。

まして。
はやぶさプロジェクトは、官民共同プロジェクトである。

尚更、これまで14年もの間、鍛え抜かれてきたメンバーが、同じ
顔ぶれで維持できる可能性は、そもそも難しい状況を考えれば、
少しでも技術継承を円滑に進めるためにも、はやぶさプロジェクトと
はやぶさⅡプロジェクトを、期間的、人員的な糊代を持って進めるべき
なことは、火を見るより明らかである。

では、なぜはやぶさⅡ計画が認可されないのか?
答えは簡単。
予算が無いからである。

川口氏は、語る。
宇宙産業が、きちんと投資先として看做されていない。
これが、今の日本の現状だ、と。

全く。
アニメの殿堂に114億円もの費用を投じるのであれば。
なぜ、こうした科学技術方面にもう少しまともな予算の計上が
出来ないのか?

アニメの殿堂を、真っ向から否定する気はないが、本来はサブカルチャー
たるアニメやマンガを、どこまで国策として扱うのか?という点について
もっと議論が必要だろう。

その上で、必要となれば、例えば京都国際マンガミュージアムに国が
資金援助する形でもいいではないか?

この話題は、このコラムでは一先ず置くが、来年度にははやぶさⅡの
予算計上が為されんことを、新たな政権党(それがどこであれ)には
切に期待するものである。


ちなみに、このはやぶさⅡ。
今の計画では、小惑星探査機とインパクターと呼ばれる衝突実験機の
二機で検討中
とか。

はやぶさⅡを描いた1分程度のCG(あの「HAYABUSA~
back to the Earth」を作った会社が製作)も
紹介されたが、H-2Aで打ち上げられた2機の衛星が、ランデブー
のように飛んで地球を離れていく様は、実に美しく、かつ格好良かった。

実際には、二機はコースも時期も異なるそうなので、地球圏離脱後に
再び両者が見(まみ)えるのは、目標とする小惑星(99JU3)にて
となるが。

そして。
今回は、イトカワ上空からハヤブサより放出されたものの、哀れ虚空へ
と消えていった小惑星探査マシンのミネルヴァ。
#彼が、無事イトカワに着地して、イトカワの表面を走行できれば、
 アポロ計画で月面を走行したルナ・ローバーや火星探査車ソジャーナ・
 ローバー以来の快挙だったのに!

彼の無念を晴らすべく、Ⅱにも搭載してほしい。
また、今度こそは肉眼でも見えるレベルのサンプル回収を実現して
欲しい。

夢は、次々と伸びていく。
その翼が広がっていく限りは、人類の未来も又、輝きを放ち続ける。
そう、思いたい。


(この稿、了)


(付記)
質疑コーナーで出ていた質問。
はやぶさ本体は、やはり大気圏に突入させるのか?
何とか、ISS等で回収は出来ないのか?

当初計画では、どうも本体は大気圏に突入させるものでは無かった
ようで、これにはびっくりした。

イオンエンジンは瞬発力が無いため、短時間での軌道変更には科学燃料を
用いたエンジンを利用する必要が有るが、地球帰着時には既にはやぶさの
体内にはその燃料が残っていないため、やむなく大気圏に突入させるのだ
そうな。

遥か7年の旅を続けてようやく故郷に帰ってきた彼を、みすみす
燃やしてしまうのは忍びない感も有るが、それもまた彼らしいのかも
知れない。




宇宙と、人。
この両方を扱ったテーマの作品として、真っ先に脳裏に浮かぶのがこれ。
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