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目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

「台湾統治」認識で揺れる番組評価

2009-07-30 00:18:55 | 活字の海(新聞記事編)
毎日新聞 2009年7月6日(月) 朝刊6面 メディア
記者:「JAPANデビュー」取材班
サブタイトル:NHKスペシャル「アジアの”一等国”」

※ この記事の原文は、こちらで読めます

放送法 第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に
 適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

(略)

 2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による
  表現の自由を確保すること。

(略)


第1章の2 放送番組の編集等に関する通則
(放送番組編成の自由)

(略)

第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、
 次の各号の定めるところによらなければならない。

 1.公安及び善良な風俗を害しないこと。

 2.政治的に公平であること。

 3.報道は事実をまげないですること。

 4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から
  論点を明らかにすること。



放送法では、上記のように放送番組を作成するときの基本的なスタンスを
きちんと定義されている。

ただ、「公平」という曖昧なキーワードは、解釈するものによって
如何様にも変化させることが可能である。

実際。
このNHKの番組に対しては、少しネットを検索してみても、肯定派、
否定派の意見が喧(かまびす)しい。

勿論、当のNHKは、この記事の中でも「内容に問題はない」との
姿勢を一貫して主張していると、紹介されているが。


元より。
放送であれ、小説、漫画、その他何にせよ、およそ創作という行為には
主幹者の思惑が入ることは必定である。

NHKの当該番組を製作したプロデューサーが、恣意的に作品を作って
いるとは思いたくない。

が、取材により収集した素材により番組の方向性を決めていっていると
言うには、今回の件はあまりにも不透明な部分が多い。

何より、日本統治時代を経験したとして番組に取り上げられた台湾人の
柯徳三さんご自身が、自分の発言を恣意的に採択された。自分は日本が
台湾に対して良いことも悪いこともしたと発言したのに、悪いところ
のみが取り上げられてしまった、と語っていることが、大勢の疑義を
呼ぶ根源となっている。

これに対して、日本李登輝友の会が番組プロデューサー等を招聘しての
公開討論会をNHKに申し入れたが、NHKは番組になんら問題は無い
として、拒否回答をした
らしい。

NHKにしてみれば、一々そうした抗議に付き合っていられないよ、
ということなのかもしれないが、これが単に一団体による活動にのみ
閉じられているのではなく、数千人規模の抗議デモ、引いては国会
議員による質問状が送付
されるに至っては、いつまでも無視を決め
込む訳にもいかないのではないか?


元より、NHKが偏向しているという予断を持って捉えている訳では
無い。

今回の件にしても、当の柯徳三さんが著した本について、出版社を
批判し、原稿には日本の良いところも悪いところも両方書いたのに、
悪いところは全て削除された。これでは日本万歳論者のようだ。
そもそも、私は原稿料すら貰っていない。と語っている。

そう。
今回とはまるで真逆の構図が現出している訳で、こうなるともう何が
真実なのか、全く持って釈然としない。

に、本件については、出版社側の釈明発表も為されており、一つの
事象のはずが、もう様々にベクトルの違うものとしてあちこちで描写
されているという事態に陥っている。


こうした状況を打破するには、公開討論会というスキームも有効な
方策の一つと思うのだが…。

元より、雄弁者=正義とは限らないことは、ヒトラーの例を出すまで
もなく、明らかである。

それでも。
少なくとも論点を白日の下に晒して、万民の視線に晒す効果は大きい
と思うのだが。

いずれにしても。
こうした混沌とした時代にあって、僕達が物事を判断する際に必要な
ことといえば。
まず、あらゆるものを疑ってかかること。
これしか無いのではないか?

その中から、如何に自分で納得がいくベクトルの意見を探していくか。
その目利きこそが、皆が自分こそは正しいと声高に喧伝する時代に
あって、舵取りをする秘訣だと思う。

そして。
どうせ、そうして選択した進路に絶対誤謬は無いなんで言い切れない
のであれば。

ふてぶてしいまでに、自分の道を信じること。
間違っていると思えば、何の逡巡も無く、ひらりを身を翻して正しい
と思える方に乗り換えること。

それしか無いのではないかと思うのだが…。


そうした見識の持ち様も含めて。
NHKの英断を望むものである。


最後に。
本件に関する素材をまとめたようつべ投稿の動画を紹介しよう。
この内容をどこまで指示するのか?
それは、観た人それぞれの判断で決めて欲しいと思う。

「NHKを、疑え」 CM プロローグ篇75秒 ~マスコミの闇を知ろう!






(この稿、了)


(付記)
この歌が、しみじみと染み渡るなあ。
中島みゆき 世情(TVサイズ)










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