活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

国際科学映像祭ドームフェスタ in ソフィア堺 3日目観戦記(その3)

2012-09-30 11:39:10 | 映像の海



前回紹介した「スペースジャンク」について、少し思い出したことを
補足したい。

この作品が、今回観た他の作品と一線を画していると思えるのは、
科学によるリスクを描いている点。


国際科学映像祭という発表の場でもあることから、他の作品がどうしても
未来志向の科学を前向きに捉えた描写が多い中で、この作品は僕が観た
限りでは唯一、科学によって人類が閉塞させられていく可能性を描いていた。

(もっとも、二日目と最終日の後半は観ることができなかったので、
 そこにそうした趣向の作品があった可能性もあるが)


スペースジャンクが飛躍的にその数を増やしたのは、ある国の実験が
元であったこと。

映像の中では実施した国の特定こそしなかったが、少しこの世界に
造詣が深い人であれば、すぐに2007年1月の中国による実験のことだと検討がついたであろう。


そこでばら撒かれたデブリが、更に拡散する中で、いわばデブリが
デブリを生み出す状態を巻き起こす。


これをケスラー・シンドロームというが、作品中でもこのことが
きっちりと問題定義されていた。


確かに、宇宙は無限に広がっているとも言えるが、その出口に蓋を
されてしまえば、人類は永遠にカゴの鳥となってしまう。

その怖さを分かりやすく見せてくれる。
そんな良作だった。



以上。
前回の補足は終わり。


ここから、新たな作品の感想記へと進む。


■E-4 Expedition Green (31min.) ドイツ

タイトルの”Green"に象徴されるように、出展作品の中では珍しく地球が
舞台。

四季を通じて巡る自然の変遷と、そこに生きるもの達の営みを描いていく。

代わる代わる、4つの球体に映し出される四季折々の情景。

その中では、まるで「アルプスの少女ハイジ」に出てきたアルムおんじの
小屋のような建物が山の中腹に建っているシーンが、映し出されている。

春には緑が萌え出し、牧場に牛(羊?)が出てくる。

夏には。
木々を吹き抜ける風と共に移動するカメラが、強烈な日差しを照り返す
緑の深さを映し出す。

秋は、紅葉。染め上げられた山肌が美しい。
伸びた影は、一日の終りとともに、厳しい季節の到来を予感させる。

そして、冬。
動くものの姿はなく、雪に塗り込められた世界。
それでも、小屋の前に作られた雪だるまが、その中でも確かに活きて
いる生命の存在を感じさせる。


それはまるで、それぞれが独立したバイオスフィアの様。

でも。
その四季が組み合わさることで、地球という一つの星が表現される。

その表現の豊かさと一体感は、ガイア仮説という懐かしい言葉を思い
出させる…。


周囲の評価は色々だったようであるのだけれど、僕的には好きな映像
だった。


付記
それにしても、この作品。
なぜ、国際科学映像祭ドームフェスタのHP中の公式
プログラム
から抜け落ちているんだろう?

当日会場で配布された紙のパンフには、しっかりと掲載されているの
だけれど…。




■E-5 宇宙の旅人 ~Voyagers of space~/Voyagers of space(25min.) 日本


静かな。
とても静かな作品。

宇宙の生い立ちからの悠遠と続く時の流れが、スクリーンの上で
ゆっくりとトレースされていく。

この作品は、2008年にとよた科学体験館で制作されたもの。


制作から4年後の出展となったのは、どういう理由からなのだろう?

まあそれは、作品評価の本筋ではない。

この作品は、手嶌葵さんの音楽がとてもマッチしていたのが印象的
だった。

綺麗な音楽だなあと思っていたのだけれど、エンドロールで紹介
された歌のタイトルをメモすることを忘れてしまって残念。

恐らくこれかなぁ?と思われるものを、以下に張っておく。
(タイトルからの連想なので、全然違うかもしれないけれど)

瑠璃色の地球 手嶌葵


この方は、スタジオジブリの「コクリコ坂から」の主題歌を歌って
いた方なのだと、今回検索してみてはじめて知った。

あの歌は好きだったので、なるほど時とところを変えても自分の
好みというのは変らないものだなと、妙な納得をした次第。

ちなみに、この手嶌葵さん。
前日祭の折に、「Eternal Return」の上坂監督の講演会の中で紹介
された、「HAYABUSA -Back to the Earth」のプロトタイプデモの
際に使用された、「The Rose」もカバーされていた。

この歌には色々と思い入れが有るようで、抑えた中にも情感が
伝わってくる歌い方である。

こちらも、参考として張っておく。

手嶌 葵 The Rose



初日の感想記で、言葉が分からずとも映像の持つ力で人は共感し得る
ということを書いたが、今回この映像と音楽を合わせて視聴してみて、
やはり双方の相乗効果は大きいと思った。


まあ、入感する情報が質量ともに膨大な故に、観るものに対して、
スクリーンの映像を覗きこむという従来の映画の枠を超えた、
擬似体験とも言える状況を現出させることが、ドームシアターの
もっとも大きな特徴だ!とは、初日に行われたDan Neafus氏の
特別招待講演
でも言われていたことである。

この映像で、改めてそれを実感したというところである。

ちなみに、文字によるメディア(特に本)は、その真逆とも言える
存在である。

入感する情報の種類を文字のみに絞り込むことによって、読者の中
では残りの4感が補完され、脳内に情景を再現していく。

ドームシアターが観客の周囲に擬似環境を構築することに対して、
究極の対称に有るといってもよいだろう…。


と。
本筋からえらく外れてしまったので、この話はここまで。


ただ、惜しむらくはこの作品。
もう一度観たいと思って検索してみたのだけれど、現時点ではどの館
でも上映は行なっていないようである。

こうした作品の制作に必要とする費用、労力。
そして、そもそも作品の制作を始める際に必要な転機を生み出すパワー。

それらを考えるとき、非常にもったいないと思えてしまうのだ。

こうしたプラネタリウム作品にも、オンデマンド市場が出来てくれば
いいのだけれど。

もっとも、ドームシアターモードの作品を、平面仕様(という表現が
的を得ているかどうかはさておき)に置き換えることに必要な工数を
考えれば、それも難しいか。

そもそも製作時に、そうした販路を意識して、平面仕様も同時に制作
をしていればよいのだろうけれど、ではその追加費用をどうやって
回収するのか?
というスキームができていなければ、それも画餅となってしまう。

ドームシアターの全体活性化のためにも、是非そうしたスキームが
今後構築されることを願う。

その一方で。
改めて、KAGAYA氏の「銀河鉄道の夜」や上坂浩光氏の「HAYABUSA
-Back to the Earth」といった、未だ上映館が新たに出てくる
パワーを持つ作品の凄さを実感する次第である。


(この稿、続く)


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