活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

国際科学映像祭ドームフェスタ in ソフィア堺 3日目観戦記(その2)

2012-09-29 00:35:02 | 映像の海


「Eternal Return」は、今回出展された作品群の中でも一入
思い入れがあったために、本作品だけでえらく時間を取って
しまった。

このペースだと、終わりの方を書く頃には記憶が蒸発しちゃい
そうなので、頑張って先に進めていくとしよう。


■E-2 二人の銀河鉄道 ~賢治と嘉内の青春~(26min.)


知らなかった…。
あの宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の向こうに、こんな物語が
あったなんて。

そして。
この物語を知ることができて。
この物語を観ることができて、本当に良かった。

観終わった後、心の底からそう思えた。

これは、そんな作品である。


保阪嘉内は、盛岡高等農林学校に進学した際に、寮で賢治と
同室となったことをきっかけに、賢治との親交を深めていく。

その心の交流は、高校時代という年代にふさわしい直進性故の、
希望と絶望。喜びと痛みに満ちたものであった


そして、その交流の中から、あの「銀河鉄道の夜」の原石が
生まれ、そして賢治の心の中に静かに堆積していったとは。


「銀河鉄道の夜」が、賢治の死後に枕元で発見され、推敲を
重ねた挙句に未完の形で終わったとされていることを思う時。

この、高校時代の二人の出会いが、賢治の心の中に如何に深く
大きな足跡を残していき、生涯に渡って影響を及ぼしていった
のかということは、容易に想像がつく。


この作品は、そんな二人の出会いと別れを、静かに描いていく。

動画さえも極端に抑えた、静止画。
(それも、人物は写真以外はみなシルエット画である!)

その二人のシルエットには、賢治と嘉内。それぞれの心の淵が
象徴されているように僕には思える。

黒く塗り込められた色は、一見描き出すという営みを拒否して
いるようにも見えるが、人が誰も心の中に持つ淵を見通すこと
によって、その闇の先に潜む”本当の幸いを求める心”を、
この作品を通じて見つめていこうとする監督の決意が篭められて
いるように、僕には感じられたのだ。


どこかの館で、この作品とKAGAYA氏の「銀河鉄道の夜」をカップ
リング上映してくれないかと思う。

あの、岩手山頂での二人の思い出が、賢治の中でどのように結実
していったのか。

そして、そこにどれほどの悲しい願いが篭められていたのか

それらを、俯瞰的に観ることができると思うからである。

そしてそれは、鏡像のように嘉内の心をも照らし出す。

この、勿忘草の歌詞にあるように。

 「勿忘草(わすれなぐさ)の歌

  捕(とら)よとすればその手から小鳥は空へ飛んで行く
  仕合わせ尋(たず)ね行く道の遙けき眼路に涙する

  抱かんとすれば我が掌(て)から鳥はみ空へ逃げて行く
  仕合わせ求め行く道にはぐれし友よ今何処(いずこ)

  流れの岸の一本(ひともと)はみ空の色の水浅葱(みずあさぎ)
  波悉(ことごと)く口付けしはた悉く忘れ行く



ただ、それは。
まるで二人の心を、南十字から北十字まで一望にするようにして
見てしまうことにもなって、少しはしたなく、申し訳ないような
気もする。


だから。

今はただ。
本編26分という時間を超えた広がりを、感じさせてくれた。
この作品の余韻を、静かに脳裏で噛み締めていたい。





■スペースジャンク(課題)/Space Junk (24min.) アメリカ


スペースジャンクとは、デブリのこと。
どうもあちらでは、そう称するそうである。

となれば、我々がよく用いる”スペースデブリ”という語彙は、
実は和製英語だったのか。

あの名作「プラネテス」の中で主人公たちが所属する担当名は
おろか、ナレーションの冒頭から変わっちゃうぞ!?

…と、まあ。
のっけから楽しい妄想をさせてくれた作品である。


オープニングのタイトルロゴの描写からして、内容と見事に
マッチして楽しませてくれる。

そんな、いい作品であった。

ただ、CGの描写に関して言えば、本作品は今年(2012)の作品
なんだけれど、少し古めかしさを感じる。


まあそれもまた、味わいの一つであろう。


今、我々の手が届く宇宙では、何が起こっているのか。
そして、何が原因でそうなったのか。
このまま行けば、どうなってしまうのか。


そうした知識を、映像を楽しみながら得ることができる。
まさに、化学啓蒙番組の王道のような作品であった。



(この稿、続く)




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