壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

『去来抄』9 すずしさの

2011年11月13日 20時52分25秒 | Weblog
        すずしさの野山にみつる念仏哉     去 来

 これは、善光寺ご本尊である阿弥陀如来が、京都の真如堂にお移しされ、お開帳があった日に詠んだもので、最初、上五は「ひいやりと」であった。
 先師は、「こういうときの句は、全体をおだやかにこしらえるものである。この上五はふさわしくない」といって、「風薫る」と改められた。
 それから『続猿蓑』を撰したとき、さらに「すずしさの」という今の上五に直して、集に入れられたのである。


     林檎の香ひろがるや空そこぬけに     季 己