壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

菜の花

2011年04月30日 20時31分33秒 | Weblog
          菜の花
        山吹の露菜の花のかこち顔なるや     芭 蕉

 和歌的な用語「かこち顔」を用い、漢詩文的口調をはたらかせて、山吹・菜の花の情趣をよみとろうとしたものであるが、その美しさの本質に迫りえず、単なる比較に終わって、理に落ちた句になっている。出典の『東日記』よりみて延宝九年(1681)以前の作。

 「かこち顔」は歎き顔とか、不平顔の意。

 「菜の花」が春の季語。「山吹」も春。

    「山吹に露がしっとり置いたさまは、まことに古来、詩歌に詠まれてきたとおり
     風情がある。しかし、同じく黄色の花でも、菜の花はひなびていて、朝露を帯
     びても誰にもかえりみられない。それで菜の花は、歎き顔なのであろうよ」


      母と子のしりとりあそび花菜風     季 己