壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

野中の日影

2011年04月26日 22時27分55秒 | Weblog
          野中の日影
        蝶の飛ぶばかり野中の日影かな     芭 蕉

 『笈日記』によれば題詠だが、春の日の光の満ちわたった、野の明るさのよく生きた作といえよう。野中は、ただ日の光がいっぱいで、そこを過ぎるのは蝶だけなのである。

 「ばかり」は、「のみ」・「だけ」の意。
 「日影」は、日の光をいう。

 季語は「蝶」で春。

    「ときたま無心に蝶の飛び交うばかりで、広い野原は、ただ春の光がみちあふれ、
     目をさえぎるもの一つない」


      初蝶や石灯籠の障子窓     季 己