壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

2010年03月24日 22時29分24秒 | Weblog
        傘(からかさ)に押し分け見たる柳かな     芭 蕉

 刹那の軽い心の動きを把握した句である。傘に青柳の糸のふれる感触が、柔軟につかまれている。いわば気まぐれのどうということもない仕草を詠みとることも、「軽み」の一面であった。

 季語は「柳」で春。傘でおしわけてみるというところが、柳の実際をとらえている。

    「春雨の中に、大木の青柳が雫をこぼしつつ枝垂(しだ)れている。その風情にひかれて、
     おもわずちょっと、その柳を傘でおしわけてみたことだ」


      春雨のビルより冷えてハイヒール     季 己