前回は後輪のホイールを入手した話だったが、今回は前輪について。
前輪は人気商品の後輪と違って比較的安価に入手する事ができる。
それは初代セローから現行モデルまで、ブレーキディスク以外の変更が無いホイールなので、それなりに流通しているという事もあるのかもしれないが、程度が悪い物が多いという側面もある。
従ってセローのフロントホイールをヤフオクで購入する場合は見極めが重要となる。 結局は値段相応なので、手間暇を取るか金額を取るかみたいな感じだろう。
新品を購入しても2万円しないのだから、普通は安心安全確実な新品の購入がおススメという事になる。
で、今回はそんなセオリーは全く無視して、1000円で三又とフロントフォークとホイールとアクスルシャフトのセットが売られていたので、それを購入した。
千円なので、程度は察して然るべき状態…なのだが、予想以上にキていた。
スポークは振れ取りの練習も兼ねて、張り替える予定だったので、錆びだらけでも問題無い。
が、ここまで錆びているとニップルが回らない。多少回ったとしても固すぎて埒があかないので、ニップルレンチで緩めるのは一本目から挫折した。
サンダーでスポークを切っていけば早いのだが、屋内作業とはいえ、夜中の住宅地である事を考えると、流石にそこまでの騒音は出せない為、動作音が比較的小さいレシプロソーで切っていく事にした。
レシプロソー自体の音は小さいが、スポークが鳴るので、結局それなりに煩いのだが、サンダーで切るよりはマシだろう。
スポークが張られている状態だと、スポークやハブが暴れないので切断しやすいが、切っていく度に張力が無くなっていくので、最後の方は暴れそうになるハブとスポークを押さえながら切断しなければならないのが辛い。
36本全てを切断した時点でやる気メーターは0。風呂に入って寝る事にした。 こんな事なら、翌日の昼間にサンダーで切れば良かったんじゃないかと思った。
翌日。ハブからベアリングを抜去。
元々ベアリングは交換するつもりだったので、どのような状態であろうと問題無いのだが、それにしても全く回転しないのはどうかと思う。
そんなどうしようもないベアリングはパイロットベアリングプーラーでさっさと抜去するに限る。余りにも錆や固着が酷いと外輪だけ残してベアリングが割れる事も考えられるが、今回の物はそこまでは酷くないようで良かった。
パイロットベアリングプーラーはそこそこ高い工具だが、もう完全に元は取れたと思う。コンクリートアンカーを使ってベアリングを叩き抜くという手段もあるけれど、プーラーを使った方が圧倒的に楽だしスマートだろう。
で、そんな終わっているベアリングを抜くと、カラーが出てくるのだが、これがまた錆ている。アクスルシャフトが通る内側は綺麗なものだが、外側はガリガリ。錆びていても動作に支障は無い部分だけれど、折角なので錆を落としておこう。
本当はスポークだけ張り替えて終わるつもりだったが、ホイールの内側の表面処理が割れて、アルミ錆が発生していた。パンク修理材が漏れた状態で長期間放置したような感じだろうか…状態はかなり悪い。
表面処理された部分はささくれて、尖った状態になっていて、そのまま使うとチューブに穴を穿つのは必至。
表面処理が剥がれたアルミに塗装して、どれほど効果があるのかわからないが、何もしないよりはマシだろうという事で、貰い物のラッカーで塗装する事にした。
錆びた部分を研磨して均してから、表側に養生テープを張って、内側にプラサフを厚塗り。
最初は表側を塗る予定は無かったので、そうしたのだけど、スポークの穴からプラサフがたれてしまって、表側にも付着してしまった為、結局表裏両方とも塗る事にした。
プラサフが乾燥したら、表裏ともペーパーを当てて、後輪に色を合わせる為、安っぽいゴールドに塗装。 思ったよりも黄色っぽくなったので、乾燥させてからメタリッククリアを上から塗装すると、それなりの色に落ち着いてくれた。
ホイールを塗ってる間に、ハブも塗装する。こちらはプラサフで下地処理してからシルバーに塗装。
ついでに錆びたカラーも塗ってしまう。
これも濃いシルバーだったのだが、上からメタリッククリアを塗ったら、淡い落ち着いた色になった。
リムは重ね塗りしようと思っていたのだが、途中で塗料が無くなったので、塗装ムラが目立つ。しかし、どうせすぐに傷だらけになるので、気にしない事にした。
すぐに錆びるスポークも新品で綺麗な内にクリアーを塗装しておく。まぁ、これこそ無意味なのかもしれないが、何もしないよりはマシだろう。
塗装が乾燥したらハブにスポークを通していく。前輪のスポークは全て同じ長さで、首曲がりも同じなので、内外左右の区別は無い。
スポークの組み方を間違えないように大量に写真を撮っていたのだが、結局現物を見ながら組むのが一番分かりやすいという事で、現在セローに装着されている前輪を見ながら組んでいく。
組んだスポークは交点をテープで仮固定しておくと、リムを取り付ける時に絡まりにくくて作業しやすい。
取り合えず全てのニップルをスポークのネジが隠れるまで軽く締めて、仮組み完了。
ベアリングを付けなければホイールバランサーに取り付けできないので、この日の作業はここまで。
ベアリングが到着したので作業再開。 ベアリングは予め冷凍庫で冷やしている。
今回購入したのはNTNの6202LLU。接触型ゴムシールドタイプなので、高速回転には不向きで、接触抵抗が大きいタイプとなっているが、防水性に優れている。
バイクのホイールの回転速度など、ベアリングメーカーにしてみれば、十分に低速の部類に入るので、何ら問題無い。 また、リムやタイヤの慣性重量が十分に大きいので、ベアリングシールの接触抵抗など無視できるレベルだろう。
純正ベアリングはオープンタイプなので、シールの巻き込みを気にしているのか、ただのコストダウンなのかは分からないが、錆びてボロボロになるよりも多少接触抵抗が大きくても防水効果が見込まれるシールタイプの方が良い。
一旦シールを捲って、グリースの状態を確認してみたが、流石に国内メーカーだけあって、しっかりとグリースが封入されていた。これなら、しばらくはグリスアップする必要は無いと思う。
ベアリングをハンマーで叩きこむと、ハブのアタリまでベアリングが入り込んでしまうので、適当なソケットとボルト、ナットを使って圧入していく。
ブレーキディスクと反対側のベアリングはアタリにベアリングが接触するまで圧入し、カラーを入れて、ディスク側にもベアリングを圧入していく。
こちらはハブのアタリまで圧入してしまうと、カラーをベアリングで挟み込んで動きが悪くなってしまうので、最終的にベアリングがカラーに接触しないギリギリを狙って圧入していく。
ベアリングの圧入が終われば、あとはスポークニップルを締めこんでいきながら、ホイールの振れ取り。 器用な人はスイングアームに取り付けて作業しているようだが、ここ最近は振れ取り台も安価で売られているので、これを使ったほうが作業はしやすい。
ニップルの締め付けトルクは3Nmという事だが、そんな低いトルクに対応したトルクレンチは持っていないので、適当に締めていく。新品のニップルなので、リム側からプラスドライバーで締められるのが有難い。錆びるとねじ穴が舐めてしまって、ろくに回せなくなる。
自転車のホイールと違って、スポークの本数が多く、径も小さいから適当に締めていっても、それなりに振れは取れる。 左右のスポークの長さが同じなので、均等に締めれば、ある程度は整ってくれるから、あとは微調整をするだけだ。
結局ニップルを緩める方向では調整しなかった為、若干オーバートルクで締めてしまった感があるが、スポークが折れたら、その時はまた張りなおすとしよう。
当初は金リムのホイールを通勤用に使う予定だったのだけれど、今回購入したフロントホイールに、最初からリムロック用の穴が空けれられていて、塞ぐのも面倒臭いので、金リムのほうをオフロードタイヤ用として使う事にした。
ホイールの色を前後合わせようとすると、以前に頑張って装着した後輪のGP210を外して、ツーリストに交換しなければならない。 そして、ツーリストは現在、銀リムのホイールに装着されたままだ。
前後色違いのリムで走っていても別に良いのだが、できれば色は揃えたいし、そのうち気が向いたら交換するとしよう。
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