しょーきゅーし

怪しい妖しい尚休の、一寸気抜けの(含む危ない、過激)プレゼンツ&箴言?を

灯台の死体

2006年06月10日 16時14分46秒 | お莫迦ネタ
 30年位前の事になる。
 初夏の日差しに誘われて、友人と二人で、神奈川の海を見に行こうと言う事になった。
 茅ヶ崎、江ノ島あたりで遊んでいるうちに、陽も落ちてしまった。
 男二人の気軽さで、どうせだから、一晩中あちこち回りながら帰ろう。ということで、三浦半島を一回り、ナイトクルージングをすることに。
 夜の鎌倉を抜け、横須賀から海岸沿いを時計回りのコースだ。
 途中、観音崎で灯台まで行き、懐中電灯で山歩きである。
 久里浜を回って剣崎に付いた時は、明日になっていた。
 ここも、灯台が在るはずなので、駐車場に車を置いて、案内板のとおりに下りていく。
 満天の星の下、入り口と職員のらしい車が停まっているだけ。後はムサイ男二人。
 灯台は、石積みの塀に囲まれ近づく事は出来なかったが、東京湾ではない、太平洋の外洋から吹く海風は、半袖の腕に鳥肌を立てるほどで、眠気も吹き飛び爽やかな気分に浸れた。

 其の時である。
 石塀と車の隙間に、何か在るのが見えた。いや、見えたというより気付いたのだ。
 青いシートの様な物に包まれた、長い物があることに。
 懐中電灯で照らしていくと・・・足が見えた。

    「うわ~~~~~~~!!!!!!!!ッ!!!!!」

 男二人、叫びながら、走って逃げた。
 何処をどうやって帰ってきたのか記憶に無い。
 唯、あの時の恐怖だけは、未だに思い出すと震えが来る。
 あれはナンだったのだろうか。

 同じ日、一人の若者が、やはり初夏の午後の日差しに誘われてツーリングに出ていた。
 彼は、国立から鎌倉街道を通り、町田から横浜、横須賀、観音崎と走り続けたが、空腹に耐えかね、自販機のハンバーガーで腹ごしらえをした。
 其れが良かったのか悪かったのか、剣崎につく頃には猛烈な睡魔に襲われ、走るのは不可能となった。
 ちょうど灯台の脇に、風を防げそうなスペースを見つけ、車と塀の間の芝生に寝転んだ。
 ところが、海沿いの夜気と海風で、凍えてきた。仕方なく、ポンチョに包まり、ヘルメットも被ったまま、靴を枕にうとうとし始めた。
 そのとき、風がざわつき、人の話し声が流れてきた。
 其のうち、足音が近づき、離れ、近づき止まった。
 一瞬、明かりを感じると、大きな悲鳴が上がり、走り去る足音が遠ざかり・・・
 眠りに引き込まれていった。

 ヘルメットを通して、あんなにはっきりと足音や話し声が聞こえるものなのだろうか。それとも、あれは夢の中だったのだろうか。
 今でも思い出す。あれはナンだったのだろうか。

  この話しは、実際の体験を素に、構成されております。
 今思い出しても、笑ってしまう。さあ!私は、どれでしょう。