こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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耳鼻科往診にて

2013-03-05 23:05:55 | 訪問看護、緩和ケア
月曜日に、久しぶりに耳鼻科往診がありました。
大好きな木村信至(しのぶ)先生との往診です。

以前は、もっと頻回に耳垢除去などの患者さんがいたのですが、患者さんも随分と変わり、今は対象の患者さんが少なくなっています。

お年寄りの一番の訴えは「耳が遠くなった。」「聞こえるようにして欲しい。」などですし、ご家族も「話が通じなくて困ります。」というものが多いです。

今回も、「筆談でないと伝わりません。」という言葉が、ご家族から聞かれました。

こういう時、先生はにっこり笑顔でこう言います。

「聞こえることが、いいことばかりとは限りませんよね。聞かないほうがいいこと、聞かせたくないこともありますよね。年を取れば自然聞こえは悪くなります。特に高い音は聞き取れません。大事なこと、必ず伝えたいことは低い声で、ゆっくり一言ずつ切って伝えてくださいね。」そういうと、「○○さん、また伺いますね。お元気でいらしてください。」と、低めの声でゆっくり話しかけました。
患者さんは「はい。わざわざどうもありがとうございました。」と、しっかりお返事をくれました。

そして、「筆談になってしまう。」ということに対しては、書く事の大切さもお話してくれました。

認知症もあるということで「書いて伝えることもいいことですよ。ご本人が、何を希望しているのか、何を訴えたいのかを、ちゃんと書いてもらう。そして、それを一緒に確認して行動する。大切なことを忘れないために、やってみてくださいね。」

毎回、しのぶ先生の診察はとても優しくて、患者さんに対していつも真摯に向き合っています。

単発で、二度と会わない患者さんかもしれないのに、本当に思いを感じます。

いつも同じスタンス。

この往診で、元気をもらう患者さんはたくさんいらっしゃいます。
一度診てもらってからは、元気をもらうためにご家族が頑張って通院されていた方もいました。

そんな患者さんの一人が、昨年末亡くなったことを伝えました。
先生にとっても、とても心象に残っている患者さんでありましたし、特にお嫁さんの献身的な介護を思い出して、「あのお嫁さんは、絶対に幸せになる人。きっといいことがある!」って言っていました。
こんなふうに感じるられる感性が、私たちと一緒なのもすごく嬉しくて、やっぱりしのぶ先生は大好きです。

耳鼻科というと、あまり命に直接関係はないように思われがちですが、実は耳の中にもお別れのサインはあるのだと、しのぶ先生との往診で知りました。
年をとり、死期が近づくと耳垢はたまらなくなってくるそうです。
とても綺麗な外耳道。
その色は真っ白で血の気がなく、代謝も低いために耳垢はたまらず、痩せていくのだそうです。

以前も往診のあと「お別れ、お近いわね。」と言っていた患者さんが、やはり数日後にすっと逝かれました。
体のいろんな部分で、小さなお別れのメッセージがあるのだと思うけれど、耳の中っていうのが、なんともわかりにくいところからのメッセージですよね。(^_^;)


その先生の木村信至バンド ツアーファイナルが3月16日関内ホールであります。
「ちゃんと泣けばよかった」は、「主治医の見つかる診療所」のエンディングテーマ曲でもあります。(すごく小さくしか聞こえないけど(^_^;))

お近くのかたは、一度ライブを見てください。
その日から、大ファンになると思います。
私はもちろん、大ファンの娘と息子と一緒にいってきます。