こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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親の想い。

2010-04-22 22:45:47 | 訪問看護、緩和ケア
今日ニュースで「自殺未遂をして、人工呼吸器を付けている息子を、母親が殺した。」事件の判決があったそうです。
職場で自殺未遂をした息子は、人工呼吸器を付けほぼ脳死状態でしたが、自殺未遂のため保険が適応されず、全額自費負担で1日10万、1か月で500万円かかると言われたそうです。
幼い子供を抱えた息子の妻が、「私が呼吸器をはずします!」と泣いている姿を見て、「母親の責任で私がやらなければならない。」と決意し、その日息子との思い出の写真を胸に、包丁を隠し持って病院を訪れ、胸を刺して殺しました。
その時、母親には息子の「母さん、頼む。」と言う言葉が聞こえたそうです。

法廷で、嫁は「義母がやらなければ、私がやっていました。どうか母を自由にして下さい。」と懇願したそうです。
検察官が母親に「ほかに方法がなかったんですか?」と聞くと母は「あったら教えてください。」と言ったそうです。

検察官は、きっとこの質問を一生後悔するのではないでしょうか・・・?

執行猶予の判決に、15kgも痩せた母は、何度も「ありがとうございました。」と頭を下げたそうです。
陪審員も、ともに苦悩した裁判だったようです。


どれほど息子を愛していたか、こんなニュースの断片を聴いただけでも、胸が苦しくなるほどわかります。

こんな、悲しい報道を何回聞いたでしょうか?

愛する家族を、殺さなければならない。
考えたくもないことだけれど、この社会の中で法や規則から外れてしまえば、現実に起こってくることですよね。

親は、命がけで子供を守りもしますが、親の責任で見送らなければならない事もあるんですよね・・・。


以前担当していた、障害をもつ娘さんのお母さんがよく言っていました。

「この子より先に私は死ねない。この子を見送るのが私の役目なんです。私がいない世界にこの子を置いていくわけにはいかないんです。」

娘さんは30歳と言う短い命を、お母さんがずっと頬ずりしながら終えましたが、その後1年ほどそのお母さんは抑うつ状態になってしまいました。
周りのフォローもあって、今では元気に過ごされていますが、先に見送る覚悟をしながらも、失った後の喪失感は耐えがたいものだったのでしょう。

まして、その苦しみを救うために自分で手をかけてしまったら、生涯立ち直ることは難しかったかもしれません。(いっそ一緒に死にたいと、何ども言っていましたから・・・)

ただ、状況は違っても、ギリギリまで追い込まれながらも、ふんばっている人達も多くいるはずです。
出来ることなら、何かのサインをキャッチして、なんとか手を差し伸べることができればいいと思います。
こんな悲しい報道は、もう聞きたくありません。