滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

ソーラーコンプレックス社ニュースレター➁ (夏号)

2020-09-21 17:40:37 | 再生可能エネルギー

 今日はソーラーコンプレックス社のニュースレター➁(夏号)の日本語翻訳版を掲載します。
同社は、2000年に南ドイツのボーデン湖地域で、市民出資により設立された再エネ専門のエネルギー会社です。
本号からは、自家消費用の太陽光、750kW(入札制度枠外)野立てソーラー、太陽熱+木質バイオの地域熱供給、という同社の直近の事業トレンドを読み取ることができます。

Bilder : www.solarcomplex.de

原文:http://48787.seu1.cleverreach.com/m/7553796/

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ソーラーコンプレックス
 : ニュースレター 2/2020 (夏号)




こんにちは

 

 産業革命前の大気中のCO2濃度は、約280ppm(パーツ・パー・ミリオン)でした。私たちが2000年にソーラーコンプレックス社を設立した時には360ppmで、今年の5月にはこの値は418ppm以上となっています。CO2濃度は致命的な結果と共に増加を続け、地球の輻射収支を変え、気温を上昇させています。ここでは排出量と濃度の違いについて説明することにしましょう。

 

 「排出」は、毎年新たに大気中に放出されるもので、主に化石エネルギーの燃焼により生じます。排出が行われ続ける限り、濃度が安定することはありません。というのも既に放出された温暖化ガスは長い間(例えば100年以上)大気中に残るからです。濃度を何らかのレベル(何でも良いので)に安定させるためには、排出量をほぼゼロに減らす必要があります。追加の排出がなくなってはじめて、濃度は一定となるのです。その時点をできる限りすぐに達成しなければなりません。

 

 そのような意味でコロナ禍中にCO2排出量が明らかに減った、というニュースは必ずしも良い知らせとは言えません。というのもCO2排出量が減っても、濃度は高まり続けるからです。それから特に、コロナ禍後に昔のレベルに戻ってしまう大きな危険があるからです。そのため経済的な復興は、すべての分野(電気、交通、暖房)におけるエネルギー供給の徹底した転換と組み合わて行われなければなりません。

 

 これまでの平均気温の上昇は世界平均では~1度ですが、私たちの地域(プレアルプス地帯)では既に~2度に及んでおり、人間的な時間軸では取り戻すことができません。1.5度への制限は夢想的ですが、世界平均で2度への制限(私たちの地域では3~4度)はまだ可能です。そのためには排出量を素早く、徹底して削減しなければなりません。2050年までにゼロエミッションへ導くような、一種の非常ブレーキです。化石エネルギーは完全に代替されねばなりません。

 

 そのために私たちは尽力しています。このニュースレターでは、地域におけるエネルギー大転換を目指す私たちの取り組みの進捗状況をご報告します。

 

お勧めのヴィデオ:弊社についての15分のヴィデオにて、最近のプロジェクトと2019年の決算についてご紹介しています。

 

感謝とソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

 

フロリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー

 

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ソーラー増設戦略

 弊社は2020年の増設目標を7MWに引き上げましたが、それも上回る予定です。

 その背景には最近、大型の屋根置き設備の依頼も受けるようになったという理由があります。例えばエンゲン市のアルセーフ社と、リプティンゲン市のボーデン湖上水供給のタンクの上に設置した各750kWの設備など。大きな歩幅では素早く前進することができます。現在、ソーラー増設戦略は全力で前進中です。

www.solaroffensive.info  

 

建設中や計画中の750kWソーラーパーク

  今年、弊社では既に5つのソーラーパークを建設しました。ランゲンリート村(シンゲン近郊)とデンキンゲン村における既存のソーラーパークの拡張と、イルスホーフェン村での新設の後に、シュトッカッハ市の高速道路沿いの設備の工事が始まりました。その後には、モース村(ゴミ埋め立て地)とミューリンゲン村のパークが続きます。その他、アルテンシュタイク都市エネルギー公社からの依頼も受注し、これらのプロジェクトの合間に実現します。

www.solaroffensive.info  

 

ハウゼン・イン・タール村の熱供給網

 NRS社(ソーラーコンプレックス社とシグマリンゲン市のシュタットヴェルケの合資会社)による三つ目の熱供給網は、2020年内に竣工します。農家ヴォルホフにあるバイオガス設備からの排熱の供給や、ピーク時用ボイラーのある熱供給センターは運転を開始しました。

ハウゼン・イン・タール村の熱供給網のヴィデオ

 

シュルッフセー村の熱供給網

 弊社にとって最大規模であるシュルッフセー村の熱供給網は、これまでに180軒の接続希望者を獲得し、2020年に計画通りに竣工します。

 3000㎡の太陽熱温水器のフィールドは発注済みで、間もなく施工されます。建設許認可のタイミング次第です。

シュルッフセー村の熱供給網 

 

ホイゼルン村の熱供給網

 シュルッフセー村に隣接するホイゼルン村で、弊社の設備郡に加わる新しい熱供給網を実現したいと考えています。

 夏は太陽熱で、冬は木質バイオマスというコンセプトは同じです。建物所有者の方々は大きな興味を示されています。コロナ禍の中で、熱価格に関する二回目の公開説明会を開催するために、行政の規制緩和を待っているところです。

自治体ホイゼルンへ

 

ユングナウ村の熱供給網

 弊社はNRS社のための活動も行っています。現在、弊社ではユングナウ村で木質バイオマスと太陽熱をベースとした熱供給網を計画しています。建物所有者は高い関心を示しています。年7月19日に熱価格に関する第二回公共説明会が行われ、その後プロジェクトの「熱いフェーズ」が始まります。

www. Jungnau.de



転送歓迎

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ソーラーコンプレックス社のニュースレター日本語版は、ミット・エナジー・ヴィジョン社との協力により実現されています。

 

 

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