滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

内陸風力のメッカ、ラインランドプファルツ州へ!

2013-07-23 09:36:35 | 再生可能エネルギー

暑中お見舞い申し上げます。こちらも毎日30度以上の真夏日が続いています。
今日はドイツへの旅の土産話です。10日ほど前、ドイツ北部での視察通訳の帰りに、2年ぶりに内陸風車のメッカであるラインランド・プファルツ州を夫と共に訪れました。Juwi社の訪問が目的です。

マインツ駅からカーシェアリングを利用して、車で30分~60分程度離れた田舎を走りました。2年前と比べて、またぐっとエネルギーシフトが進んだ印象を受けました。風車の数、大きさが違います。あちこちの自治体が、ものすごい勢いでエネルギー自立し、さらには輸出地帯になっていることが伺われました。ここまでくると、どんな住民でも、シフト後のエネルギーランドスケープが想像できます。スイスで2050年に想定している風力発電量が、この地域では既に生産されています。



一帯はなだらかな丘陵地帯で、標高の低い場所にはブドウ畑が(ワイン造りが盛んです)、高い場所には森林が広がります。風況の良い丘の上に、風車パークがぱらぱらと見られます。もちろん、しっかりと居住地から距離をとっています。特に、最近の高さ百数十メートルもある風車たちは、スマートで、すっきりとしており、ゆっくりと回転していました。

Juwi社の本社周辺でも、周辺自治体連合と同社が協力して建てた新しい風車が増えていました。22基の風車は、これらの自治体が消費するよりも多くの電力を作っているそうです。 またマインツから同社に向かう高速道路A63沿いには、最新のタワーシステムATS(アドバンストタワーシステム)によるカラフルなタワーの風車も見えました。内陸部で150mまでの高いタワーを作るために、省コスト・効率的な施工を可能にした鉄・コンクリートのハイブリッドタワーシステムです。



再生可能発電設備のディベロッパーであるJuwi社は、2年前の取材時よりも社員が300人増えて1800人になっていました。当時には工事中だった木造3階建てのオフィス増築や、追加のソーラーカーポートも、完成していました。新しい食堂とメインエントランスのある建物は、木の香りに満ちた、快適エコ&パッシブの素晴らしい木造建築です。大きな池のある近自然の庭園のデザインもなかなかで、休暇に来ているような、リラックスした雰囲気が漂っています。なんとも羨ましい仕事環境です。






 大きくなった食堂レストラン「ユビタリティ」(Juwiとバイタリティを掛けている)では、地産池消の食材による季節の料理がリーズナブルな価格で出されており、お勧めです。食材のほとんどはオーガニックだそうです。地元のワイン農家から直接仕入れているブドウジュースもありました。この食堂、一週間に一度は菜食の日がある他、2つの日替わりメニューのうち必ず一つは菜食です。職員に環境やエネルギーへの負荷の大きな肉のない食事を、楽しみながら学んでもらっているのです。私が訪れた日のべジメニューは、煮込み野菜と豆腐の串焼き、オリーブペーストソースの丼で美味でした。




宿泊した隣村のワイン農家の民宿でも、現在、畑の中に風車を自力で建設中でした。風車パークのある畑に立つと、空から沢山のひばりの声が降ってきます。スイスでは稀少になった鳥類も観察できました。せっかくここまで訪れたので、夕方にはJuwi社の発祥の地とも言えるシュネーベルガーホフという集落を訪れました。創始者の1人である(といっても現在44歳ですが)マティアス・ヴィッレンバッハーさんの生まれ育った農家のある村で、彼が1996年に初めの風車を建てた場所です。その後、ヴィッレンバッハ―さんとユングさんの作った会社Juwiは、これまでに800基の風車を建てています。



山の上にある集落の裏の、さらに小高い畑の中に6基の風車が立っています。初めの風車は2010年にリパワリングされ、エネルコン社のE-126という出力7.5MWの巨大風車に建て替えられました。タワーの高さは130mで、一基でなんと6500世帯分の電気を作っています。ちょっと太った感じのこの風車は、当初の風車の20倍の電気を作るそうです。この丘にある6基で、4万人分の電気を生産しているということですから、こういう村が増えれば都市部や工業地帯の供給も可能です。



人口も面積もスイスの半分に相当するドイツのラインランドプファルツ州は、2030年までに年間収支で100%再生可能な電力の供給を政策目標に掲げています。2011年の風力の割合は13%ですが(2012年には設置出力は12.7%増えてます)、2020年までに生産量を5倍に増やすために、そのために州の面積の2%程度を使う予定です。多くのケースでは、風車の数を増やさなくても、モダンな大型風車へのリパワリングで生産量を増やすことができるそうです。同州には既に1243基(1923MW)の風車が稼働しており、毎年100基以上の風車が実現されています。ドイツ内陸部の州の人々が、遠く離れた海から何百キロメートルもの送電線で引っ張ってくる洋上風車は要らない、と主張する訳が、ここに来れば納得できます。



マインツからベルンに帰るドイツの特急電車の中で、ドイツ鉄道の広報誌をめくっていたら、Juwi社の8ページの広告が挟み込まれていました。風車への市民ファンドの広告です。同社は今年だけでも120基の風車を建設する予定だそうですが、そういった国内のパイプラインプロジェクトに必要な資金を募るファンドです。一口2500ユーロからで、利率は1年貸し4.5%、2年で5.5%、3年以上で6.5%というものです。ドイツ在住の人しか出資できないのですが。

そして広告の最後のページには、Juwiの創始者の1人であるマティアス・ヴィレンバッハーさんが6月末に刊行した単行本の広告が大きく出ていました。ドイツのエネルギーシフトの今と未来を実践者の視点から語った本です。私も読みましたが、ものすごく面白い、日本の皆さんにも読んでほしい本です。今、ドイツのベストセラーになっているそうです。

本の紹介サイト: http://www.mein-unmoralisches-angebot.de/



ニュース

● 7月末、村上敦さんが日本で講演します
ドイツ在住のジャーナリストの村上敦さんが日本で講演会を行います。下記日程については一般聴講が可能です。近くにお住まいの方は、是非、お寄り下さい。
★2013年7月27日(土) 久留米市・久留米大学御井学舎・学生会館3F
10~12時 講演:ドイツの森林政策について(講演のみの参加費は500円)
13~17時 座談会:ドイツの環境・エネルギー政策に関する大質問会(全日参加費は3000円、学生1000円)
★2013年7月29日(月) 岐阜市・岐阜駅じゅうろくプラザ 13:30~17時 シンポジウム:人口減少時代の都市政策(参加費無料)
★2013年7月31日(水) 八戸市・八戸工業高等専門学校・講義楝3F 17:20~19:30 エネルギーフォーラム:地域エネルギーの住まいと暮らしで地域を活性化するために(参加費無料)
詳細のチラシは下記HPからダウンロードできます。http://www.murakamiatsushi.net/

●10月のMITセミナー参加者募集中
10月6~12日にかけて、MIT Energy Vision社では、地域のエネルギー自立をテーマとした、中欧視察セミナーを開催します。今回は、地域の再生可能エネルギー事業の主体となる様々な企業を訪ねます。今回ご紹介したJuwi社を初めとして、フライブルク、ソーラーコンプレックス、ヴィルポーツリード、ミュンヘンを巡ります。早めにお申し込み下さい! プログラムは下記からダウンロードできます。
 http://www.mit-energy-vision.com/fileadmin/content/MIT-japanisch/Seminar/MITSeminar201310F.pdf

●スイス:サンクトガレン大学が作ったエネルギーシフトの楽しいヴィデオ
複合的なテーマであるエネルギーシフトを、分かり易く紹介した楽しいヴィデオ。スイスでの話がメインになっている。(6分32秒、ドイツ語版と英語版)
http://www.youtube.com/watch?v=mq7qmiRBK3A&list=PLbuayHrXca4IswkVusLanUS1Hk-OQio37&index=5
出典:Swisse Eoleニュースレター

●スイス:エコツーリズムの模範、スイスのユースホステル、CO2を17.3%削減
スイスのユースホステル協会に参加しているユースホステルたちは、模範的な気候保全対策を実施してきた。それにより、2008年から2012年の間にCO2排出量を平均17.3%減らしている。目標は8.5%の削減であったが、2012年には41.3%も削減した。幅広い対策が実施されているが、多くの建物の新築や改修では、ミネルギーやミネルギー・P基準を採用している。また、熱源に地域暖房やヒートポンプ、木質バイオマスや太陽熱温水器を利用しているホステルも多い。ホテル業界では、太陽熱温水器は5年で投資が回収できる。あるいは冷蔵施設からの排熱を回収して利用する例も多い。水の消費量については、節水ノズルの徹底利用により12年間で22.3%減らした。宿泊時に生じるCO2を一泊30ラッペンでオフセットすることができるサービスも提供しており、宿泊客の60%がこのオフセットサービスを利用している。スイスのユースホステルは、近年、ホテル顔負けの施設クオリティの充実化を図っている。コンフォートと省エネを両立させている良い例だ。スイスユースホステルは、産業エネルギー機関と、2020年までの削減目標協定を結んでいる。これにより国のCO2税が免除される。
出典:産業エネルギー機関EnAWプレスリリース

●スイス:ドイツ語圏スイスにも風力適性地は沢山ある
これまでスイスでは、風力が豊かな地域と言えば西スイスのユラ山脈地方だと考えられてきた。しかし、近年の厳密な立地調査により、ドイツ語圏のスイスにも風力の豊富な適正地があることが分かっている。グレンヒェン(ソロトゥルン州)、ヘミスホーフェン(シャフハウゼン州)、ヒンターライン(グラウビュンデン州)等の15~20か所で、年生産量400GWh分の風力プロジェクトが、現在事前調査中である。適した利用地域のマスタープランは、ソロトゥルン州、アールガウ州、シャフハウゼン州およびベルン州の一部の地域で終了している。バーゼル田園州、ルツェルン州、トゥールガウ州、アッペンツェル両州、グラールス州、グラウビュンデン州でも、現在ポテンシャル調査中で、立地基準を策定中だ。またエネルギー庁の依頼により、5か所の風車パーク予定地で地域住民の受容度の学術的調査が行われた。うち3か所はドイツ語圏である。この調査によると、調査された風力パークについて、地域を超えた受容度は87%、地域内での受容度は平均75%となっており、市民の風力への好感が表れている。調査からは、受容度にとって重用な側面が、自治体の住民投票結果、地域で有名な事業主体であること、幅広い市民に恩恵のある住民出資であることが示された。また、951人へのアンケート調査への結果、12%は全ての風力プロジェクトの選択肢を否定し、反対に42%は全ての風力プロジェクトを肯定した。
出典:Suisse-Eoleプレスリリース

●世界的には斜陽産業の原発、世界核産業ステータスリポート
2013 7月11日に発表された世界核産業ステータスリポート2013によると、世界的に原子力産業は後退している。世界的な電力生産に占める原発の割合は、90年代の初頭には17%に達していたが、それが2012年度は10%に減った。原発電力の67%を生産している5つの国である、米国、仏、独、韓、ロシアではいづれも前年度よりも発電量が減った。原発の数は、過去10年間で34基が運転開始したのに対して、53基が廃炉になっている。投資情報会社のスタンダード&プアーズは、過去5年間に15の原発を評価したが、うち10基を評価を切り下げた。評価を上げたのは1基のみである。原発建設会社のArevaの株価は過去5年間で88%下がり、世界最大の運営会社であるフランスのEDFの株価は同時期に85%下がった。 2000年来、世界では266GWの風力、99GWの太陽光発電設備が設置されたが、原発の設置は9GWに留まる。  „World Nuclear Industry Status Report 2013“は下記のリンクからダウンロードできる。
http://www.worldnuclearreport.org/
出典:スイスエネルギー財団SESプレスリリース

●スイス:WWFが企業の電力未来度を調査、8企業が優良社
スイスの電力の60%を消費する産業・サービス業。電力未来の鍵となる分野として、WWFはスイスの50大企業(売上、雇用数)にアンケート調査を行い、電力未来への貢献度を、5分野でのパフォーマンスに分けて評価した。5分野とは、電力消費量の推移、節電目標、今日の電力の質、電力の質の目標、高効率化マネジメントである。50社中23社が回答した。この回答に基づき、企業は「先導組」、「追っかけ組み」、「後出組み」、「不透明」に分けられた。「先導組」には、スイスの生協CoopとMigros、スイス国鉄、スイス郵便局、スイスコム、保険会社のスイスリー、UBS、チューリッヒ州銀行の8社が入った。これらの企業では効率的な電力消費マネジメントが行われており、継続的に電力消費が減っている。また野心的な節電目標や再生可能エネルギー目標を掲げている。「後出組」には、ネスレ、ロンザ、エミー、電力大手のアクスポ等が挙げられている。これらの企業では、データ収集や電力消費のマネジメントが不十分であったり、電力消費が伸びていたり、節電目標や再生可能エネルギー増産目標を持っていない。本来ならば顧客を省エネに導くべき、大手電力アクスポがこのカテゴリーに入っているのは興味深い。
参照:WWFプレスリリース

 ●スイス:節電コンペに19億の助成金
エネルギー庁が毎年開催している省エネプロジェクト公募が第四回目を迎えた。産業・サービス業分野での節電プロジェクトやプログラムを公募し、その中から最もコスト対効果の優れたもの(kWhあたりの節電コストが低いもの)に助成金を出す制度だ。今年は35プロジェクト、23プログラムへの、計1903万フラン(約19億円)の助成が決まった。一例を挙げると、プロジェクト分野では街灯と企業照明の更新と最良化、温水機の更新、ポンプやモーターの高効率化、排熱のORC利用等である。プログラム分野では、LED照明推進や交換、循環ポンプや電気ボイラーの交換、高効率な産業用冷却器の助成、産業用電磁調理台の促進、洗濯工場での省エネ、木材産業でのモーター交換、エレベータの高効率化、農業における牛乳保冷時の熱回収等である。節電コストは、1kWhあたり節電プロジェクトで平均4.1ラッペン、節電プログラムで`平均3.2ラッペン。
出典:BFEエネルギー庁プレスリリース

●スイス:チューリッヒ州電力がスマートメーターを広域導入
スイスの大手電力供給会社では初めて、チューリッヒ州電力(EKZ)が、全面的にスマートメータを導入する。徐々に導入することにより、将来のスマートグリッド化に備え、それにより政府のエネルギー戦略2050をサポートする。同社は、過去2年間に渡り、ディエティコン町の1000の顧客にスマートメーターを試験導入してきた末に、今回、全面的な導入を決定した。スマートメータと需要調整スイッチにより、将来的には系統安定のために、ヒートポンプの作動や電気自動車の充電などが自動的に行われるようになる。新築およびメータ交換が必要な建物で、次の2年間で5万個のスマートメータが設置される予定だ。当初は通常のメータと同様な方法で使われるが、一区画全体に普及した時点で、デジタル利用・遠隔監視が始まる。チューリッヒ州電力の顧客の全てのメーターが交換されるまでに、15~20年はかかる。
出典:EKZプレスリリース

 ●スイス:トゥールガウ州、行政の建物に太陽光発電、275万フランの予算確保
トゥールガウ州の内閣は、州行政の建物に太陽光発電を設置していくことを決定し、第一期工事のために275万フラン(約2.7億円)の予算を確保した。州内閣の委託した調査によると、州が所有する、あるいは賃貸する建物には、太陽光発電に適した屋根面が10万㎡あることが分かった。この屋根面に太陽光発電を設置すると、年4400MWhの収穫が得られる。それは州行政の事務所が消費する電力量の44%に相当する。このポテンシャルを段階的に最大限に活用していくために、州内閣は2015年の予算に太陽光発電用の予算275万フランを盛り込んだ。それにより、2017年までには1000MWhが収穫できるという。第1期の太陽光発電には、固定価格買い取り制度を利用する予定。ゆっくりとだが、着実に前進はしている。
出典:トゥールガウ州プレスリリース

●スイス:2012年のCO2削減目標、到達せず~CO2税額の値上げへ
スイス環境省の統計結果によると、スイスは2012年、CO2削減目標を達成できなかった。そのため、来年度よりCO2税の税額が1tあたり36スイスフランから、60フランに値上げされる。CO2税からの税収の1部は、建物の省エネ改修助成資金に使われているが、そのための資金が来年より2.6億フラン(約260億円)に増える。残りの4.8億フランは、企業と住民に平等に還付される。
国の環境省の統計結果によると、スイスは化石熱源分野からのCO2排出量は1990年比で82.5%だった。目標は79%だったので、達成できなかった。このため、熱源分野に課せられているCO2税が値上げされることになった。灯油1リットルあたり16ラッペン(16円)が課せられる。
また、国のCO2法では2008年から2012年の平均において、熱源分野で-15%、交通分野で-8%、総合して-10%のCO2削減を目指している。交通分野からのCO2排出量については、外国からの排出権購入を適用しても、目標値を達成できず、-6.6%に留まる。両分野での部分目標は達成していないが、総合的には10%の削減は達成できるという。
京都議定書の目標が達成できているか否かは、2014年にならないと分からない。ただし排出権購入と森林削減効果を入れなければ達成はできないことは明確になっている。
出典:BAFU環境省プレスリリース

●スイス:エネルギーシフト祭りが原子力村に潰される事件
原発を運転する大手電力会社が、長期運転のための安全工事に投資を決断し、50~60年運転への一歩を踏み出そうとしている。これらの企業たちは、グリーンピースをはじめとする環境団体や市民団体が秋に開催を計画していたエネルギーシフト祭りを、閉鎖に追い込んだ。祭りが予定されていたのは、スイスにおける脱原発運動の歴史的な場所であるカイザーアウグスト旧原発建設予定地。1975年に反対市民が長期間占拠して、最終的にはプロジェクトは頓挫した。その用地での開催には、担当行政からの許可が得られ、土地賃借人との利用契約も結ばれていた。しかし、土地所有者の大手電力が、開催一月前になって土地利用を拒否した。それにより、9月の議会でのエネルギー戦略2050の決議を前に予定されていた、デモや祭りの催行が不可能になる事態となった。毎年スイスでは脱原発デモが行われ、数千人~数万人の市民が参加してきたが、そのデモに代わり、今年は前向きな「エネルギーシフト祭り」が準備されていた。直前になっての拒否は、意図的な弾圧であり、大手電力のエネルギーシフトを拒否する宣言ともいえるだろう。
参照:グリーンピーススイス・プレスリリース

●スイス:ビール湖底にセシウム堆積、2000年に原発からの排水が原因
7月14日付のSonntagszeitung新聞によると、ジュネーブ大学の地質学研究者グループが、ビール湖底に多くのセシウムが堆積していることを、偶然に発見した。ボーリング結果によると、同堆堆積層は、2000年の層にあり、チェルノブイリの年の堆積物の5分1に相当するkgあたり41ベケレルのセシウム137が含まれている。ビール湖には、ミューレベルク原発の冷却水や排水が流されているため、ミューレベルク原発原因説が予想された。14日と15日の朝の新聞では、運転会社のベルン電力も連邦核安全監督局は当初、原因不明だとしていた。しかし15日に同監督局は、2000年にミューレベルク原発での放射性廃棄物を最終処分するための加工処理過程で生じた汚染水が厳密な原因であることを発表した。新聞各紙には、あくまでも「法規の基準値以下」であり、ビール湖を飲料水源としているビール市民にとっても「健康には影響がない」という「専門家」の気休めのコメントも掲載された。ミューレベルク原発は、通常の運転時にも、スイスにある他の原発よりも排気や水中への放射能の排出量が多いことで知られている。連邦核安全監督局は、ミューレベルク原発の水中への放射性物質の排出量を低減するための目標値を設定したが、同原発の昨年度の排出量はそれを3倍上回った。
参照:Sonntagszeitung、Der Bund誌

●ドイツ:6MWのパワートゥガス設備が稼働へ
将来の余剰電力を蓄電する方法として期待されているパワー・トゥ・ガス。再生可能エネルギーからの余剰電力と水、CO2を原料に人工メタンを作る技術である。作られたガスは、ガス管網に貯蔵され、コージェネや熱、自動車に使うことができる。ニーダーザクセン州ヴェルテにあるアウディ社の敷地に、6月末、6MWという初の産業規模でのパワートゥガス設備が稼働した。開発、製作を手掛けたのは、Stuttgartを本拠とするEtogas有限会社(前Solar Fuel社)である。同設備は、平均で一年300万㎥の人造メタンガスを生産する予定だ。2013年秋までに試験運転が終了する。パワートゥガスを進めていく上で、余剰電力をガスとしてガス網に蓄電する場合、これを電力の最終消費者として扱わず、そのガスを使うコージェネや自動車を再生可能エネルギーの最終消費者と認める等の、法的な枠組みの整備がまだ必要であるという。
出典:Etogas有限会社プレスリリース

●ドイツ:高すぎるオフショア風力、ポテンシャル巨大な陸上風力
ドイツの環境庁の学術調査によると、多くの風力エキスパートが長年指摘した通り、オフショア風力はエネルギーシフトのコストを高くするだけでなく、不必要であることが示された。対して、陸上風車にはこれまで考えられていた以上の大きなポテンシャルがあることが分かった。陸上風車だけでも、現実的な適正地のポテンシャル的には1200GWの出力で、2900TWhの生産量が可能であり、これはドイツの年間消費量の5倍にあたる。もちろん、これらのポテンシャルの全てを使う必要はなく、その一部を利用するだけでエネルギー自立に貢献できる。
出典: Sonnenseite 2013、BWE

●ドイツ:バイエルンのオーデンヴァルドに市民風車パーク
市民出資の再生可能エネルギー設備の建設において、ドイツでは大手に成長したグリーンシティエナジー社。同社は、バイエルン州のオーデンヴァルドに市民風車パークを建設するために、風力ファンドを設けて、6か月の間に440人からの市民出資により自己資金分の681万ユーロ(約8.9億円)を集めた。ファンドへの出資者募集は予定していたよりも早く終了した。総投資額2670万ユーロにより、5基のNordex N117の風車が建設される。高さ140mのハイブリッドタワーの施工は既に終わっており、パークは10月から運転開始する。 年1万世帯(約3万人)分の電力を生産していく予定だ。同社がミルテンベルクに計画している12MWの市民風車パークについても、順調に資金が集まっている。
出典:グリーンシティエナジー社プレスリリース

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