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滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

スイスの省エネ改修助成制度は10ヵ年計画

2010-02-11 00:07:29 | 建築

スイスの建設業界は昨年も今年も不景気知らず、職人は猫の手も借りたいほどだという声を良く耳にします。理由は、現在金利が低いこともありますが、省エネ改修助成政策の効果が大きいようです。スイスの省エネ改修補助制度は、過去3年間にも力が入れられてきましたが、2010年より一新。シンプルになり、レベルアップして再スタートしました。助成期間は2019年まで、10年間という継続性が頼もしいです。その補助額と概要は全国一様に以下の通りです。


① 建物省エネ改修助成制度 

開口部  
ガラスU値 0.7W/㎡KあるいはMinergie®モジュール認証を受けた製品
開口部面積1㎡あたり70フラン(約6300円)

外気および地下2m以内に接する屋根・外壁・床 
U値 0.2W/㎡KあるいはMinergie®モジュール認証を受けた製品
断熱材1㎡あたり40フラン(約3600円)

無暖房空間に接する外壁・天井・床、地下2m以下に接する外壁と床 
U値 0.25W/㎡KあるいはMinergie®モジュール認証を受けた製品
断熱材1㎡あたり15フラン(約1350円) 

費用の30%が補助額の目安で、対象は住宅に限らず暖房している建物全般。外壁・窓・屋根のうちの、1部位でも助成対象になります。ただし日本のように1つの窓だけ、とか一面の壁だけの改修は対象にならなりません。

②2010年から新しくなった点

2009年までの制度と比べて比べて変わった点がいくつかあります。まず、昨年までは改修後U値が0.23でも補助金がでましたが、今年からは0.20以下が条件になりました。それから、以前は外壁と窓など2部位以上を同時改修することが補助条件でしたが、現在の制度では部分改修でも補助が出ます。これは省エネ改修への投資と税控除効果を数年に分散させたい、という施主の希望を反映させています。

また財源とその規模も変わりました。建物省エネ助成プログラムには、国の灯油へのCO2税の収入の一部から年180億円が、それに加えて州から72~90億円が出資。合計すると計252~270億円になります。そのうち、上記の省エネ改修の補助に用いられるのは、国からの120億円。残りの国からの60億円や州の72~90億円は、下記の州ごとの建物省エネ助成プログラムに用いられます。
(註:CO2税は灯油100ℓあたり9フラン(800円)のCO2税が課税されている。)

この建物省エネ改修助成制度により、州と国はCO2排出量を年220万トン削減することを目指しています。これは計算すると、現在のスイスのCO2排出量の約4~5%程度です。(そんなものかと思いましたが。)もちろん建物分野では、省エネ改修以外にも、断熱の規制基準強化や熱源交換により、これ以上のCO2削減が実施されていくでしょう。

③州ごとの建物省エネ助成プログラム

 さて、上記の省エネ改修助成制度は国が全額を出資しているもので、それ加えて、州ごとに建物の省エネ助成プログラムがあります(統一した方が良いと思いますが、そこは何分、地方分権スイスのこだわりで・・)。その助成メニューには、建物の総合的な省エネ改修やMinergie®改修・新築、再生可能熱源の導入やエネルギー証明書作成などが含まれています。州ごとの助成メニューについては、国と州は半々を出資しています。例えば、トゥールガウ州では、省エネ改修について次のような助成を追加で行っています。

エネルギー性能証明に基く総合改修へのボーナス 
スイスの建物エネルギー性能証明は、躯体の断熱性能と、家電・設備・熱源を含む一次エネルギー消費量の2項目について、A~Gクラスに分けて表示するもの。総合改修後にエネルギー証明書の効率クラスがC以上(新築の規制基準並の断熱性能)を達成すると、上記助成に追加のボーナスが出る。

一世帯・二世帯住宅    5000フラン       (45万円)
3世帯以上の集合住宅  2500フラン/世帯    (22.5万円)
非住宅建築         10フラン/ 暖房面積㎡ (900円)


●総合改修によるMinergie®やMinergie-P®へのボーナス
ミネルギーはスイスの任意認証で、より高度な省エネ基準。ミネルギー改修には高額な補助金がでるため、通常の建物省エネプログラムの助成金と合わせてはもらえない。熱回収付き換気を条件とするMinergie®改修の数は多くなく、現在1260棟。技術的にも難易度の高いMinergie‐P®改修は、まだ23棟しかない。

Minergie® 基準への改修
一世帯・二世帯住宅   25000フラン (225万円)
3世帯以上の集合住宅 15000フラン(135万円)+一世帯につき6000フラン(54万円)
非住宅建築         15000フラン(135万円)+暖房面積一㎡につき30フラン(2700円) 

Minergie-P®基準への改修
一世帯・二世帯住宅   37000フラン (333万円)
3世帯以上の集合住宅 35000フラン(315万円)+一世帯につき6000フラン(54万円)
非住宅建築         35000フラン(315万円)+暖房面積一㎡につき30フラン(2700円)
 

④施主を導く「エネルギー性能証明のアドバイス報告書」

また、国と州は、市民に省エネ改修を考えるにあたり、まずは「建物エネルギー性能証明・アドバイス報告書版」を作成することを推薦しています。エネルギー性能証明に付属するこの報告書は、施主に成功する、効率の良い省エネ改修の総合計画を具体的にアドバイスします。内容は、建物の躯体・設備の現状認識、エネルギー性能評価、改修対策とその効果、対策別の省エネ効果とコスト表示、補助金利用の情報、実施計画(対策の優先順位、組み合わせ、推薦事項)などです。作成は、州から認定を受けた中立のアドバイザーが行います。

ほとんどの施主は、何年かに分けて段階的に省エネ改修を実施していきますから、初めに総合計画を持つことが欠かせません。そのため、トゥールガウ州では施主に対して、アドバイス報告書の作成に補助を出しています。 金額的には報告書付き証明書の3分2もの価格を補助。州が中立の専門家によるアドバイス報告書をいかに重要とみなしているかがわかります。

アドバイス報告書付きの建物エネルギー性能証明への助成
一世帯・二世帯住宅   1000フラン(9万円)
集合住宅・三世帯住宅  1500フラン(13.5万円)
非住宅建築         2000フラン(18万円) 


⑤改修にも熱エネルギーの規制基準がある

 助成の話とは関係がありませんが、これらの助成制度の前提にあるのが、改修時の熱エネルギー消費量の規制基準です。新築だけでなく、改修でも規制基準があります。改修の建設許可を得るためには、熱計算により規制基準をクリアしていることを証明するか、あるいは改修部分のU値を守ることが義務付けられています。

総合改修時の熱エネルギー消費量の規制基準は、新築の規制基準+25%とされています。新築の規制基準は住宅ですと、暖房給湯熱需要量が48kWh/㎡年(SIA 380/1の計算手法)です。

また改修時のU値規制値は、外気および2m以内の地下に触れる部分では、外壁・床・屋根・天井が0.25、窓・ドア1.3(窓の前にラジエーターがある場合は1.0)です。このレベルの省エネ改修は改修の際の義務であるため、助成の対象にはなりません。だったら30%の補助が出るU値0.20の改修にしよう、と思いますよね。


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住宅版エコポイント制度、これでいいのか?

2010-02-03 00:14:21 | 建築
先日、機会があって、日本の住宅版エコポイント制度によるエコリフォーム助成について調べたところ、これでいいのか?、と大きな疑問を感じました。国による省エネ改修助成制度の第一歩として前向きに捉えることもできるかもしれませんが、産業振興の視点に偏りすぎたばら撒き、と捉えられてもおかしくありません。

何に疑問を感じたかというと、まず外壁・屋根・床の断熱改修の助成の条件が、「断熱材○立方メートル以上を使用」という大雑把なものであること。例えば、外壁にA1~Cクラスの断熱材を施す場合、最低6立方メートル以上の断熱材を使用することが条件で、それにより10万ポイントが発行される、とあります。あれほど気候地帯にこだわる日本人が、九州も北海道も同じ最低使用量の条件。表面積の大きな家も小さな家も、同じ最低使用量。さらに断熱に最低限の投資しかしない人でも、最適な断熱のために大きな投資をする人でも、助成額は同じです。

例えば東北地方の家で、外壁の表面積が100㎡なら、6cmという(東京ですら)慰み程度の断熱強化でも、大きな快適性と省エネルギー性をもたらす20cm以上の断熱強化でも、同じポイント発行数です(後者には別な補助金がつくのかもしれなませんが・・)。制度を簡易化するためでしょうか。本来は外壁・屋根・床についても、気候地帯別にU値により断熱性能を条件付けし、そのレベルに断熱改修した面積(㎡)毎に補助金を出すべきではないでしょうか。ちなみに東北や北海道に気候の近いスイスの場合、2010年度の断熱改修助成の条件となる外壁・屋根・床のU値は0.2以下です。

窓については、気候地帯別の次世代省エネ基準に順ずることが条件になっていますが、その基準自体が、窓製品の国際的な技術発展(と価格低下)から省みて、非常にレベルが低いと思います。次世代省エネ基準に応じた開口部の性能は、北海道や東北(1~2地域)ではU値が2.33以下になっています。対してスイスで新築・改修において義務化された開口部の最低性能はU値1.0~1.3以下です。窓改修の助成の条件では、ガラスのU値が0.7以下です。気候がより温暖で、日射の豊富な東京でも次世代省エネ基準の窓の断熱性能(U値4.65以下)が悪すぎることは変わりません。窓の寿命が25年であることを考えると、消費者があまりにも守られていないと思います。これはエコポイントの問題というよりも、次世代省エネ基準の問題ですが・・。

新築へのエコポイントも同様に、制度というよりも、条件になる基準に問題があると思います。条件は「省エネ法のトップランナー基準(次世代省エネ基準+高効率設備)」とされており、それに30万ポイントが発行される、とあります。一戸建てに対する補助額としては少ないですが、その条件となるレベルも低いです。そもそも、このレベルの躯体の建物に助成を行うことが必要なのか、と問わなくてはいけないと思います。この10年間で建物の省エネ技術は飛躍的に進歩したのにも関わらず、次世代省エネ基準の躯体の断熱性能は10年以来変わっていません。10年間も任意基準として推奨してきたのだから、高効率設備も含めて、そろそろ義務化すべきです。そうして、「次世代」よりも数倍に省エネ性能の高い建物や再生可能エネルギー設備への交換にのみ、補助金を集中する方が、施策のコスト対省エネ効果がずっと高まるのではないでしょうか。

今、断熱改修をした躯体の部位は、少なくとも次の20年は改修されない(スイスの場合は次の25~50年)と思われます。そう考える時に、今助成されている改修・新築の断熱性能は、その間のエネルギー価格の変化や温暖化対策の中で、住宅の価値を保ち、施主にある程度の経済性の範囲で快適な生活を保証できるものになっているでしょうか?10年後には、再び断熱強化しなくてはならないような、中途半端なものではないでしょうか?そして 2020年までにCO2排出量を確実に25%削減するための役立つツールの1つになっているのでしょうか。

住宅版エコポイント制度を見ていたら、それよりも先に「省エネ法のトップランナー基準」を義務化すると同時に、日本が目指すべき建物の新築・改修のオフィシャルな省エネルギー基準を新に定義しなおすことが、至急に行われなくてはならないのではないか、と思いました。

次回は2010年から内容を改めてスタートした、スイスの10年間の省エネ改修助成プログラムや、州の省エネ建築や設備への助成の概要を紹介します。

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断熱材のシェアについてなど

2009-12-14 04:25:33 | 建築
講演会で多かったもう一つの質問が、私にとっては不思議だったのですが、スイスではどんな種類の断熱材が使われているか、というもの。私が訪ねて行った環境建築たちの場合、ロックウール、グラスウール、セルロースが一番頻繁に見るかな、という感覚がありましたが、数字で断熱材市場のシェアは見たことがありませんでした。

そこで、ヴィキペディアで調べたところ、ドイツでの自然系断熱材の市場シェアは5%とあります。スイスのバウビオロギー協会の資料でも同様な数字が紹介されていました。ドイツでの自然系断熱材の種類は、シェアが多い順に、セルロース→木質繊維ボード→軽ボード→麻とハンフ→羊毛となっていました。で、残りの95%は、ミネラルウール系(ロックウール、グラスウール)が過半を占め、それ以外が石油系(スチロポール、ポリウレタンなど)だそうです。

先日ベルンで開催された住宅建設メッセで、スイスで25年の歴史を誇るセルロース断熱材の最大手Isofloc社のスタンドに立ち寄り質問したところ、スイスではセルロースのシェアが7%に増加しつつあるということ。スイスでは、ドイツよりも少しだけ、自然系断熱材のシェアは多いようです。また、初期にあったというセルロースの沈下の問題は、長い繊維を保つような製造方法によってしっかりと解消されているそうです。同社のHPではセルロースを用いた様々な分野の建物事例が見られます。 http://isofloc.ch/de-ch-referenzen.phtml

それから、リサイクルコンクリートについての質問もありました。
ミネルギー・エコ基準では、コンクリートを利用する際にはリサイクル材を用いることが条件となっているからです。例えば、持続可能な建設を目指すチューリッヒ市の建設局ではリサイクルコンクリートを積極的に利用しており、将来的にはすべての新築で使っていくといいます。

チューリヒ市建設局の資料によると、リサイクルコンクリートは、建物を解体する際に専門業者が、コンクリートを分別し、それを玉砕したものを、新たなコンクリートに自然の砂利の代わりに使用します。今日ではバージンのコンクリートと代わらない品質で、構造体にも使える品質のリサイクルコンクリートが製造されています。

砂利の埋蔵量は有限でスイスではあと10~15年、と同資料にはあります。そのため、チューリッヒ市が近年建設した小学校「ビルヒ」やミネルギーの市営団地「ヴェルデ・ヴィース」では、コンクリートの大半にリサイクルコンクリートを用いています。

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親戚が省エネ改修した古民家を見せてもらいました

2009-11-30 00:52:49 | 建築

昨日、夫の従兄弟と兄弟の集いに行って来ました。
集いの場はいつも、中央スイスのシュビーツにある、夫の祖父母が1931年ごろに移築した古い農家で、ここ数十年は従兄弟たちがバカンスハウスとして使ってきた「蜂蜜の丘の家」です。

しかし、この家、3~4年ぶりに着いてみると、なんだかすっきりと若返っているのです。太陽熱温水器もついているし。どうしたのかしら、と尋ねてみると、この1.5年ほどをかけて、従兄弟一家が、かなりの部分をセルフビルドしながら、省エネ改修を行ったのだそうです。そのお披露目が本日のサプライズだというのです。

皆でフォンデューをつついて満腹になった後、待ちかねた西側住居のお披露目。
もともと納屋と畜舎だった家の西半分を、息子たちの住宅として総改修しています。全ての屋根面、ファザードについては西・南・北を断熱改修しています。
東半分の小さなバカンス住居と東ファザードはこれから改修していくようです。

改修では、既存の木構造を活かしながら、屋根、外壁に40㎝の断熱材(セルロース)を施しています。窓は木製断熱サッシの三重ガラス。室内は明るく、素晴らしい景色を大きな窓が切り取っています。室内の雰囲気は、下の写真をご覧下さい。

目標はミネルギーP基準の家だったそうですが、熱回収型の機械換気を入れないことを選んだので、これを必用とするミネルギーの認証は受けていないそうです。でも、改修後にサーモグラフィ写真を撮って、断熱性能をチェックするといった凝り様です。

給湯と暖房はソーラー+薪で、100%再生可能エネルギーで行っています。
まず給湯は9枚のソーラー温水器で基本的にまかないます。そして暖房は、居間にある蓄熱暖炉(薪)で行っています。蓄熱暖炉はスイスの農家の伝統的な暖房装置で、東側の住居にはまだ古いものが現役で使われています。

一日一度薪をくべると、暖炉の蓄熱体に熱が貯えられ、長時間にわたり暖炉全体から熱を放射します。さらにこの家で使われているシステムでは、蓄熱暖炉の熱でお湯を温め、それで一階の床暖房や2階の温水ラジエータを温める仕組みになっています。冬にソーラーでお湯が足りなくなった場合にも、蓄熱暖炉から給湯タンクを温められるそうです。

西側住居の住面積は156㎡で、現在少し贅沢ですが3人で住んでいます。この家を暖房するのに、一年で薪の消費量が僅かに2~3㎥といいますから、エネルギーの効率は良いと言えるでしょう。

これまで少し陰気な感じのあった古びた農家が、開放的で明るく、快適で、気持ちの良い住空間に生まれ変わっているのを見て感激しました。
この建物、あと100年はここに建ち続けるだろうと想いました。

そして、一家のこの建物と場所への深い愛情を感じたのでした。
「蜂蜜の丘の家」をここまでに育てた従兄弟一家に拍手!の土曜日でした。


生まれ変わった「蜂蜜の丘の家」の写真


南東ファザード。建物は100年ほど前に移築された農家。
南、西、北ファザード、屋根が断熱改修された。
西側に住居が1つ、東側に休暇用住居が1つ入る。
西側半分はもともと畜舎、納屋だった。もともと一階部分が石造り、上部は木造。


(左)西ファザード。建物の元々の特徴を大事にしながら、新しい顔を与えた。 
  日除けとして簡単な雨戸が西ファザードには付けられている。 
(右)東南側。大きなテラスを新設。屋根には9枚のソーラー温水器。
給湯と暖房用のお湯をまかなう。 


全面改修された西側住居の一階。開放的で明るい居間・キッチン。
もと畜舎だった部分。


絶景を見せる大きな窓は、断熱三層窓。もちろん開きます。


西の窓からの眺め。


家の心臓は、居間の蓄熱式薪暖炉。
暖炉の構造体に熱が貯えられ、ゆっくりじんわり熱を放射する。
焚きつけは一日一回。昨晩焚いたのに、翌日の午後まで暖かかい。
ここからソーラータンクの温度が足りない時は、熱を蓄熱タンクに回す。
また右側のベンチや一階の床面には、暖炉で暖められた温水が回されている。
そういう操作をこなすのが右の制御装置。


西側住居の2階へ。無垢の木の温かさがとってもきもち良い空間。
右は寝室。2階は温水ラジエータで熱分配。


(左)外壁は、もともとの木造軸組みを残しながら、厚さ40㎝のセルロース断熱材を吹き込んだ。壁の厚さが分かる。
(右)書斎スペース。無垢のカラマツ床材を、自分たちの手で亜麻油で仕上た。


2階のテラスは幅2.5m。スイス人の大好きな屋外の部屋。


西側住居の三階、屋根裏空間。


屋根も古い梁を活かしながら、40㎝のセルロースで断熱強化。


機械室には1200リットルのソーラータンクが2本。コスト的にもバランスの良いお湯のストックを持つことで、陽射しの乏しい季節でも給湯用水をソーラーで確保。
この日はタンク内のお湯50度、パネルから戻ってくるお湯が70度。
配管の断熱はこれからとか。


薪の消費量は一年で2~3㎥程度。それで156㎡を暖房、給湯補助。


まだ改修中の東側住居。昔の農家の内部が良く残っています。
こちらはバカンスに親戚が使う。


昔ながらの蓄熱暖炉。タイルの張られている壁とベンチ全体が蓄熱体になっている。右の黒い部分が薪をくべる場所で、同時に調理台にもなっている。
暖かいベンチは、皆が肩を寄せ合い、語り合う格好の場所。
この壁の反対側が西側住居の蓄熱暖炉になっている。


北側から見た「蜂蜜の丘の家」。周囲は果樹と牧草地。


「蜂蜜の丘の家」の前の散歩道。ミューテン山を眺める。


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ベルンの住宅建築&エネルギーメッセに行ってきました

2009-11-28 06:26:50 | 建築

今週末はベルンで「住宅建設&エネルギーメッセ」が開催されています。
昨日、初日を駆け足でしたが訪問しました。

小さいながら、一般の人にも専門の人にも見ごたえのある充実した展示で、とにかく、各スタンドで議論が盛り上がってました。
沢山の若者(学生や職人、設計者)が、とても真剣に質問したり、見学したりしていたのが印象的でした。

展示は構造関連と設備関連に大きく分けられ、前者は窓・断熱材・設計会社や木造会社、気密用材会社など。後者は主に熱源と換気です。ミネルギー連盟やパッシブハウス振興会も大きなスタンドを出しています。

今年は特に、省エネ建築の分野、まだまだ、どんどん発展している、と肌で感じました。各種断熱材のメーカが展示する外壁の構造例が、軒並みU値0.15W以下になっていました。これは08-09年度の規制基準とミネルギー基準の底上げの効果でしょう。

それから少ない壁厚で高度な断熱性能を達成できるコンパクト断熱材の展示も2年前よりぐっと増えた感じです。スペースシャトルに使われている熱橋を作らない素材の間柱を使った新しい高断熱構造も見ました。

やはり省エネ改修ブームで、サッシへの需要が高まっているからでしょう。窓・ドアメーカたちの展示も非常に力が入っていました。
下記に会場の印象を伝える写真を貼り付けます。

 

 










今週末、もうひとつ気になるイベント(?)があります。
国民投票です。自治体、州、国のレベルでの投票があります。
気になっているのはノイエンブルグ州のエネルギー法改訂に関する投票です。

同州の議会は今年の春に、全ての建物にエネルギー性能証明書を義務付け、さらにその中で最も性能の低い建物への省エネ改修を義務付けを決定しました。改修を義務付けられたお施主さんには手厚い助成が施されるということです。狙いは賃貸住宅の省エネ改修を進めることにあると思われます。

今週末の投票で、この省エネ改修の義務づけが決まるか、興味のあるところです。
省エネ改修の義務付けは、ベルン州の議会も実施する方向で検討が進んでいます。


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