SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

「オタクデリック」について

2005年09月03日 | Weblog
 カイカイキキ所属のアーティストのひとり青島千穂は、スーパーフラットを「脳内ビジュアル」という言葉で捉えている。そして自身参加したパルコギャラリーでの『スーパーフラット』展について、「目がチカチカして頭がクルクルパーになってきます」とその印象を述べている。

 サイケデリック(Psychedelic)という言葉は、アメリカの思想家ティモシィ・リアリーが、ギリシア語の「精神(psyche)」と「目に見えること(delos)」とを組み合わせて作った造語であるとされる。

 かつてのイエロー・マジック・オーケストラが「テクノデリック(Technodelic) 」であったのならば、村上隆のスーパーフラットはまず「オタクデリック(Otakudelic)」であったと言ってよいだろう。オタク的精神(otakche)を欧米人にも見える(delos)ようにトランスレイト(翻訳)することが村上隆の任務であったのだ。それは確かに「目がチカチカして頭がクルクルパーに」なるトランス体験である。そして欧米人はそのような言語的経験を超えた視覚的錯乱体験をいまでも東洋の神秘として受け取る。
 
 ところでマリファナやLSDなどのドラッグに依存した60年代西海岸のサイケデリック文化に対し、90年代日本のオタク文化は何か別種のドラッグに依存している。それはたとえば「萌え」とよばれる知覚吸収タイプのドラッグだ。LSDは密売人から買うほかないが、しかし「萌え」はどこでも買うことができる。少し気が滅入ったら「萌え」を一発やっておけばしばらくの間は「現実」を忘れることができるというわけだが、この新種のドラッグはまだ欧米にはあまり出回ってはいないようである。

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