芸術を解せない者は美術館の設計に携わるべきではない―「金沢21世紀美術館」を訪れるたびそう思い返す。この美術館は美術館建築物として世界的に高い評価を受けているとされる。だが私たちはこの美術館が、すでに設計以前の段階で「ろくでもない建築物」になるであることを予測していた。というのも妹島和世とともに設計を担当したのが西沢立衛という男だったからだ。実はこの西沢という男は、私たちが以前運営していたアート系のチャットによく顔を出していたのである(そこで彼は「にし」というハンドルを用いていた)。しばらくして私たちはこの男が建築士であり、金沢にできる新しい美術館の設計に参加したいとの意向があることを知らされていた。私たちは不安を感じた。もしこれほど美術について無知蒙昧な男が美術館など設計したらトンデモナイことになる。だがその不安は現実のものとなったのである。建築について詳しくない私たちから観ても「金沢21世紀美術館」の設計デザインはあらゆる意味で「最悪」であり、そのコンセプトは「無意味」かつ「陳腐」である。何もいいところが無いのだ。その無知さに腹が立ってチャットから「にし」を追い出した日のことを思い出す。どうして美術館側は私たちがやったようにしなかったのか。たぶん気付かなかったのだろう。そして今も気付いていないのだ。なにしろ今度はルーヴルの別館「ルーブル・ランス」を設計するというのだから驚く。世も末だ。もうお終いだ。ちなみに写真右がその男「にし」である。やはり芸術無知蒙昧がその顔に滲み出している。