隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0364.ママのクリスマス

2003年03月27日 | 安楽椅子探偵
ママのクリスマス
MOM MEETS HER MAKER
読了日 2003/03/27
著 者 ジェームス・ヤッフェ
James Yaffe
訳 者 神納照子
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 322
発行日 1999/01/08
ISBN 4-488-10316-2

 

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楽椅子探偵”ママ”シリーズの長編第2作。読む順序が前後したので、前回語り手で登場した、ロジャーがデイヴの助手となった経緯が本書でわかる。
クリスマスを目の前にして、アン・スウェンソンの公選弁護人事務所に依頼人の一家が訪れた。マイヤー夫妻と息子のロジャーである。
彼等の隣にあるキャンディー牧師の協会が遊園地にでもなったかの如く、大音量のクリスマス・ソングを流し始めたので、抗議に行ったロジャーと牧師が言い争いになり、牧師は銃を取り出した。
ロジャーと牧師はつかみ合いになり、銃が暴発した。幸い弾は当たらず怪我はなかったが、キャンディーの妻が警察に通報、ロジャーはキャンディーの申し立てで不法侵入と、治安妨害の罪で逮捕されたと言うのだ。そして、キャンディー牧師が銃で殺された。

今回から。ストーリーの進め具合に、少し変わった趣向を凝らしている。プロローグで、ママが神に向かって告白をするのだが、息子のデイヴに話した事件解明の推理は、事件の真相をすべて明らかにしたのではないという告白なのである。
そして、その続きはエピローグに移るのである。それは、一件落着の後で、もう一つの真実が明かされるということを冒頭で示していることになるのだが、そういうことが分かった上でも、面白さは少しも損なわれていないところがすごいと思わせる。
このシリーズを読むと、よきアメリカ人の母親像と、親子関係や、家族関係、さらには近隣との交際等々、その典型が細やかに描写されて、興味深い。

 

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