天空の土木作業

鉄道模型レイアウトの制作記録

台湾 在来線

2019-05-16 | 日記
台湾3日目
昨夜はかなり飲みましたので、起きられないと覚悟してましたが、鉄道への執念は恐ろしいもので、ギリギリに起きることが出来ました。タクシーを飛ばして駅に向かいます。
時間がかなりタイトでしたので、とにもかくにも切符を購入し、車内へ。飛び乗って直ぐにドアが閉まりました。危なかったです。着席してからは爆睡。起きればそこは終点の左営(ズォーイン)でした。
駅に到着する手前で在来線のヤードを見ますと、客車や気動車が出発の準備を整えています。期待が膨らみます。
とても綺麗で多きな左営駅。立派です。在来線は新左営駅と名前が変わります。
ここの場合は同じ場所で名前が異なりますが、注意しなければいけないのが同じ名前で場所が全く違う駅です。
昨日利用した嘉義(チャーイ)駅は、在来線と新幹線ではバスで30分くらいかかるほど離れており、間違えると大変なことになります。台中市内に在来線の台中駅がありますが、新幹線の駅はそこから3駅南下した新烏日(シンウーリー)駅にあり、ここは在来線と新幹線の駅名が違うけと「台中」は別の場所にあるという、もう一つややこしいことになっています。

 

駅を出て敷地外でタバコをふかし、在来線の窓口で本日の行程を見せます。行程の最後に予定していた玉里(ユーリー)から台北への特急「普悠馬(プーユーマー)」号は、既に満席でした。
台湾を代表する特急普悠馬号。指定席が取れないことでも有名らしいですが、まさか1名すら無理とは思いませんでした。しかし、このルートを変えるわけにはいきませんので、後続の特急をとりあえず押さえておきます。行き当たりばったりこの上ありません。
切符が出てきた時点で発車5分前。食べ物を買う時間もなく、とにかく煙草をもう一本吸ってホームに降ります。そこに、いきなり荷物車を2両連結した客車列車の姿が飛び込んで来ました
マニ50を彷彿させる青い荷物車。興奮して撮影すると、ジリリリリと古めかしい発車ベルが長めに鳴り響き、車体の見た目とは対照的な自動ドアのエアの音がして戸閉め。ガクンっと客車ならではの振動をたて、旅が始まりました。
新左栄0839発、潮州(チャオツウ)行きの「莒光(ジューグアンハオ)」号です。莒光号は日本でいうところの急行列車のような存在です。
レトロな客車列車に似合わず、いきなり地下区間に進入し、近代的な地下駅を通過していきます。最初の停車駅、高雄も近代的な2面4線の地下駅です。

  

暫く地下区間が続きます。やがて地上に出まして、駅に到着しましたが、ここは時刻表では通過になっていた九曲堂駅でした。。やはり最新の情報は最低限持っておかないと不安なものです。
列車は農村とも郊外ともつかないような風景をトコトコと走ります。高架区間に入り、ピントン駅に到着。こちらも2面4線の綺麗な駅です。このコントラストが妙ですね。
落ち着いた所で車内を探検しましょう。トイレはステンレス製で、和式・男子用が対にあります。この辺りは日本らしいですね。シートやカーテンの感じも、明るい14系座席車の様相。いいもんです。これが昼行というのもまたそそります。しかし、デッキの扉は自動ですし、デッキ扉の上部に電光案内板もありまして、設備のギャップにも驚かされます。編成の中には車椅子対応トイレもありました。こちらは様式、きちんとしている印象です。
この501列車は早朝の0529に彰化(ジャンファ)を出発した長距離列車です。4時間走り続けた客車も、いよいよラストスパートです。
終着に近づくにつれ、だんだんと客数は少なくなっていきます。おばちゃんが掃除をしだした頃、0932に終着の潮州駅に着きました。昼行客車急行、最高に満喫しました。

 

潮州駅も高架3面6線の近代的な駅ですが、規模の割には田舎なので持て余している感じです。蛍光灯が少なく、暗い感じでした。コンコースに降りますと、たくさんの自転車があり、ライダーが押してあるいています。荷物車に積んでいたのでしょうか、日本海モトトレールを彷彿させてくれます。
駅前は閑散としたもので、特に見て歩く所も無さそうでしたので、駅に戻り、窓口で先ほど満席だった普悠馬号の指定席をオーダーしましたが、やはり満席でした。ネットで調べると、1,5倍の料金を払えば立席で乗せてくれるようなので、それは割りきることにしました。
ホームにあがり、近郊型電車を見ます。車内には自転車置き場がありました。自転車を乗せるのは日常のことなのかもしれません。
駅の待ち時間にも客車特急や気動車特急が次々に発着してきて飽きさせません。やがて、私の乗る「自強」号台東行き371列車がやってきました。この列車で途中の枋寮(ファンリャオ)まで行きます。

 
 

日立製作所のDR3000系を先頭とした9両編成です。私が指定された席に行きますと、若者が着席していました。目が合うが早いか、すぐに若者は違う席に移りました。これは合法で、指定されていない乗客は空いている席に座って良いのです。
例えが正解か解りませんが、台湾において普悠瑪や太魯閣号は日本でいうスーパーあずさや昔のスーパー雷鳥みたいな位置付けで、一般的な『自強号』は汎用特急ような存在です。前者は形式が決まっているものの、自強号は気動車、客車、電車とバラエティーに富み、行き先、走行区間も多種多様です。ですから、この列車の雰囲気は急行『丹後』や往年の東北急行のような感じかも知れません。オールモノクラスの大衆列車なのです。

 

デッキには冷水気がありますし、その辺りも往年の国鉄急行網時代を彷彿させてくれます。ディーゼルエンジンの振動が余りも心地良いです。
この列車は朝の0643に台中駅を発車し、終点の台東には1202に到着するロングラン列車です。実は、新左営からこの列車に乗れば乗り換えなしで済みましたし、新幹線ももう少し後の列車で十分間に合ったのですが、少しでも多くの種別・列車に乗りたかったので1本前の莒光号に乗った次第です。うらうら満喫しているうちに、枋寮駅に到着しました。

 
 

ヤードには、今から乗る客車列車がスタンバイしています。時間が有りましたので、改札口を出ますと、様々なツアーから客車列車を待つ人々の行列が、その改札時間を待っていました。俄然、期待が膨らみます。
しかし、空腹を満たすのも大事です。駅前食堂で食事したかったのですが、まあまあ席が埋まっていて断念しました。暫く歩くとコンビニがありましたので、そこでお弁当を買います。鶏肉がメインの、オーソドックスながらも美味しそうなお弁当です。
タバコをふかし、改札を通りますと、駅員が急げと言ってきます。発車までまだ10分あるのに、大袈裟です。ホームに上がりますと、そこには東北特急『はつかり』を彷彿させるブルーの客車が鎮座しています。素晴らしい!美しい!
駆け足で先頭に向かい、ディーゼル機関車を先頭にした全景を撮影します。やがて、ファインダーに迫ってくる客車列車。あれ?発車してるっ?!まだ発車時刻前なのに?!
ちょっとパニックになりながらも、無情にも列車は走り去ってしまいました。呆然と立ち尽くす私。いやいや、これはおかしいと駅員に詰め寄ると、何となんと、私の持っている時刻表から改正されていて、5分繰り上がっている時刻表をみせられました。

 

失意、無念、そして己の不甲斐なさ。がっくりと肩を落とし、改札を出てベンチで弁当をむさぼりました。
さて、これからどうしましょうか。時刻表を眺めていますと電話ぎ入り、夕方の会合が早まることになりました。危ない危ない。当初の予定で客車に乗っていますと絶対間に合わなかったので、それだけは助かりました。改めて時刻表を繰り直し、東回りで時間の許す限り在来線で帰ることにしました。

 

再び乗る気動車の自強号。指定された席に行きますと、先客が着席していました。声を描けるとすぐ移動してくれました。これはルール上正しくて、座席指定を受けていない旅客は指定された旅客が来ない限り、座り続けて良いのです。腰を下ろし、気を取り直して次の旅のスタートです。
先ほどコンビニの弁当を食べましたが、隣の女性が弁当を買ったので私も釣られて買いました。ただ、隣の女性の弁当に書かれていない『素』というシールが貼られていて、売り子もこれでいいかと訪ねてきます。訳もわからずノープロブレムと答えましたが、その差がわかりました。隣の女性は豚肉メインのお弁当。私の『素』は、僧侶向きの野菜弁当でした。ただ、十分に美味しかったです。

 

旧形客車に乗れなかったショックはデカいですが、まあこうしてのんびり異国のディーゼル特急に乗れるというのも幸せなものです。時刻表を繰ってみますと、この列車で終点の彰化まで行き、山線に乗り換えて台中から新幹線に乗れば間に合いそうでしたので、じっくりとディーゼル特急を満喫していきます。
台湾の特急網は多種ではありませんが多様です。運転区間にとてもバリエーションがあります。日本は系統分離が進んでいて、かつてに比べて乗り換えてを余儀なくされるケースが増えましたが、台湾は主要都市を跨ぐ列車がまだまだあり、様々なニーズに応えられていると思います。例えるなら、踊り子なら大宮始発、あずさなら千葉始発、はまかぜやはくとなら米原や名古屋始発にして、都市圏を跨いでいる感じです。

 

車窓に目を移しますと、嘉義で阿里山鉄道の線路が見えました。看板が至るところにあり、観光に力を入れているのがわかります。昨日は近くにあるダムの観光でしたが、阿里山鉄道でも良かったなと今になって後悔します。
本来ならなかった3時間余りの気動車特急の旅もいよいよ終わり、執着の彰化に到着です。ここから山線で新幹線の台中駅、在来線の新鳥日駅に向かいます。
直ぐの接続で普悠馬号がありましたが、相も変わらず満席。普通列車は新幹線にはギリギリの接続です。ここは安牌を選び、タクシーに乗ることにしました。異国の片田舎であろうと、スマホの経路案内を見ながら乗ってましたら安心なもんです。

 

余裕をもって駅に着きましたので、見学します。在来線のホームを、ほんの数十メートル、新幹線側に移す工事の真っ最中でした。たったこれだけの為に、素晴らしい取り組みだと思いますが、ちょっともったいない気もします。
構内に戻りますと、日本企業の飲食店が半数以上あります。日本の新幹線構内のような感じです。そんな中に、鉄道グッズの専門店がありました!
日本のそれと同じように、文房具や食器、鞄や靴下などたくさんあります。鉄道模型コーナーも充実しています。台湾新幹線がKATOから発売されているのは知っていましたが、ショーケースには見てきたほとんどの車種が陳列されていて、ラインナップの多さに驚かされます。もう二、三日台湾の鉄道に乗っていたら買ってしまっていたでしょう。危ない危ない。

 

思いもかけずグッズショップを見つけてしまい、時間はあっという間に過ぎてしまいました。ここからは5本目となる台湾新幹線。もう、勝手知ったるものです。これが最後の台湾新幹線になりますので、またビジネスシートにしました。
台北に戻り、ミシュラン2つ星のフレンチを頂いて、最後の夜も夜市に繰り出します。三万円くらいのフルコースのあとに300円くらいの汁そばを食らう、このコントラストが最高ですね。体力の限界まで食べて飲みました。

 

最終日、当初は支線を2つほど乗る計画でしたが、スケジュールが色々変更になり、皆さんと団体行動となりました。途中、千と千尋の神隠しの舞台ではと噂された(ジブリも宮崎駿さんも、公式に否定されています)有名な観光地、九份(カウフン)を訪れましま。鉱山好きの私にはたまらない居住区の造り。軍艦島や神岡鉱山を思い起こさせます。来て良かったです。
その後は台北101ビルに行き、有名な飲茶屋さんで小籠包を満喫。個人で行くと120分待ちもザラな人気店だけに、とても美味しかったです。ここで一時間の自由時間になりましたので、乗れる限り都市交通にに乗ることにしました。

 

先ずは台北101駅から淡水信義線にのり、2駅先の大安駅に向かいます。近代的な地下鉄です。ここから文湖線に乗り換えます。こちらは新交通システム、ビルの合間をスマートに走ります。
個々が丸みを帯びた車両で、わかりにくい例えかもしれませんが明延の一円電車を大型にしたような印象です。また2駅乗って南京復興駅で松山新店線に乗り換えます。再び地下鉄です。
全てかどうかわかりませんが、台湾の地下鉄車両は長いです。台北のbarで高架線路を行く列車を見ているときから、これは21メートル以上あるなーと思っていましたが、23.5メートル車なんだそうです。
時間が迫ってきたので松山新店線は一駅目の松江南京駅で降り、中和新蘆線に乗り換えます。階段を登って降りて通路を小走りに移動して、汗ばんできました。さらに2駅、東門駅で最初の淡水信義線に乗り換えますが、そんな疲れが出てきたところにこの駅は表参道駅や大国町駅と同じく、同一ホーム対面乗り換えができ、とても嬉しかったです。ぐるっと小さく1周して、再び101に戻りました。

 

空港の中で、最後に肉麺を頂きます。もうお腹もはち切れそうですが、最後と思うと入るものです。大満喫の台湾4日間。締めくくりは エバー航空180便の機内食。これも大量の白ワインで流し込み、食べて飲んで鉄しまくりの旅行は終わりました。しかし、普快車に乗れませんでしたし、阿里山鉄道にも乗りたい願望も生まれました。また必ず来たい、そんな台湾でした。