私が所属するクラブでは毎年、この季節になると日帰り旅行をするのが恒例になっています。
今年は四国から12系を購入したことで話題の若桜鉄道へ行ってきました。
18切符を使用して若桜鉄道に行こうとすると、智頭急行を使用しない限り到着が遅くなってしまうので、少々早い出発になりますが、山陰線まわりで行くことにしました。
守口市駅を5時11分に発車する、始発の普通列車に乗車します。
この列車、この時間は2番目の大阪方面普通となる、停泊中の編成が4番線にいるため、普通ながら普段は優等列車しか使用しない3番線に発着することで有名です。こうすることで、あまり使用しないポイントレールのサビ取りを行っているようです。
大阪駅5時55分発、福知山行きに乗りました。
福知山線は、ひと昔前には6時台からしか列車がありませんでしたが、今ではこの様な早い時間にありますし、尼崎からはもっと早い時間にも設定されています。
113系に揺られていたのも昔話し。今回乗車したのは、223系6000番台です。
揺れは少なく、静かでいい車なのですが、窓側の座席はひじかけが無いので、長時間の乗車はしんどいものです。
列車は4両編成ですが、さすがにお盆休みの入り口とあって、オール明けとみられる若い人が多く、また、18切符利用と思われる方もちらほらいて、立ち客がでる乗車数でした。
宝塚・三田で下車はありましたが、それ相当に乗ってくる人もいて、賑やかな車内のまま、福知山に到着しました。
福知山からは2両編成の豊岡行きに乗車します。
京都始発の福知山行き到着を待っての発車。大阪からと京都からの乗客が合わさり、かなりの立客が出ています。
時刻表を見ると、このスジは米子まで乗り換えが少なく、スムーズに行けることがわかりました。
18切符利用者にとっては、格好のスジだったのです。
豊岡からいよいよ気動車の旅が始まります。
次の城崎温泉でまあまあ下車がありましたが、依然立客も多くいる状態です。
この日は臨時快速「山陰海岸ジオライナー」の運転があり、その到着を待つ為に城崎温泉で20分近く停車しました。
売店に行くと、駅蕎麦と駅弁は既に営業をしていない旨の張り紙があり、後で確かめると時刻表からも駅弁マークは消えていました。山陰線は、京都から鳥取の間、和田山駅にしか駅弁マークはありませんでした。
私が乗務していた頃は、篠山口に駅弁の立ち売りがいて、福知山の幕の内、浜坂のカニ寿しを車内で販売していましたので、寂しい感じがします。
駅の売店で、加悦地方で作られているという焼き鯖寿しを買い、車内で食べました。
「山陰海岸ジオライナー」は、この時間帯にも関わらず、半数以上の乗車で到着しました。これは健闘していると思います。
その到着を待ってこちらが発車。この列車も賑やかなまま、終着浜坂に到着しました。
浜坂でキハ47系からキハ121系に乗り換えます。
キハ121系は単行、通勤列車の様な乗車率です。18切符利用者も多いのでしょう。
運転席後ろに立っていましたが、前方の景色を満喫していると、あっというまに鳥取につきました。
レイアウト製作意欲を高めるローカル線の景色は飽きる事がありません。
鳥取では米子行き快速が停車中で、この列車からも多くの人が乗り継ぎました。
私たちはここから若桜方面に向かいます。直通の若桜行きに乗車しました。
車内であべ鳥取堂のカニ寿しを食べます。100食以上食べたであろうカニ寿しの味は、やはり酸味が効いていました。
郡家駅で乗務員が交代し、若桜鉄道の車掌が検札にきました。
ここでフリー切符を購入したのですが、12系やC12の写真が入った4種類のデザインがあり、どれにしようかと悩んでしまいます。
途中の隼駅に、北陸鉄道からやってきたED30と、12系が止まっていました。
何故に電気機関車を搬入したのかわかりませんが、地方新聞によりますと、若桜鉄道が除雪の機械を北陸のメーカーから購入した際に、一緒に持ってきたそうです。余計に良く判からなくなりました。
四国の12系と北陸の電気機関車が、山陰の地で連結されている光景は、全くもって妙なものです。
隼駅はスズキのバイク「隼」の愛好家が集う「聖地」といても有名です。
年に一度、集会があるそうですが、去年は600台の「隼」が隼駅に集まったそうです。
駅舎では鉄道部品の販売が行われているそうで、こちらも興味があります。
平坦な路線を走行していましたが、やがて勾配が続くようになり、それを登り切ったところで終着駅の若桜に到着しました。
構内にはもちろん12系が並んでいて、お目当てのC12周辺には、既にたくさんの子供たちが集まっていました。
若桜鉄道では月に1回、第一日曜日にC12のデモ走行を行っていますが、この日はお盆休みという事で、月の真ん中にも関わらずイベントが行われていました。知らなかったのでとてもラッキーでした。
このC12‐167は、圧縮空気によって走行していますが、木くずを燃やしてちゃんと煙も吐いています。
係りの人に聞くと、ボイラーは痛みが激しく、ちゃんと本線を走行するには1億円以上が掛かるそうです。
車検に1億3000万円、その他の経費を見積もると、全体で5億円が必要だそうで、本線走行にはまだまだ高いハードルがあるようです。
イベントはC12を載せた転車台を子供たちで回転させ、貨車を連結してそれに乗車して走行し、最後にC12に乗車して警笛を鳴らすというものです。なかなか盛り上がっていました。
貨車のト1を何気なく見ていると、表記に「須坂」とありました。長野電鉄からやってきたみたいです。
北陸鉄道・JR四国、そして長野電鉄。本当によく判らないラインナップです。
C12が入換して連結するのかと見ていましたが、係りの人が押していました。
しかし、ブレーキはちゃんと走行中の貨車に飛び乗って、足でブレーキテコを踏んでいました。
これを体験できるイベントもぜひ取り入れていただきたいと思います。
楽しい時間は1時間ほどで終わり、みな三々五々帰って行きました。
駅に残った人が5名くらいしかいなかったので、ほとんどの家族連れは車で来ているようです。
それでも、このイベントに参加するには「入構券」300円と、貨車乗車券200円が必要で、僅かでも収益になるならいいでしょうし、SLを身近に体感できるイベントとして、末永くやって頂きたいと思います。
私たちも若桜を後にし、郡家へ。ここからは智頭急行の車両で智頭へ向かいます。
予定を変更し、智頭から智頭急行線で佐用まで抜けて姫新線で戻ることにしました。
智頭急行線の普通列車に乗るのは開通後以来かと思います。
綺麗な路盤を高速で走行する、そのローカルムードある車窓に似つかわしくない雰囲気は独特なものがあります。
大原で下り「スーパーはくと」と岡山行き「スーパーいなば」を先に通しました。どちらも指定席は満席でした。
作用から姫新線に乗ります。姫新線は高速化事業が行われ、2010年の3月に完成しました。
事業の内容はPC枕木化、カントの改良、最高時速の引き上げと新車投入などです。
さらに増発を行った結果でしょうか、乗客は着実に伸びているようです。
確かに、快適なキハ122、127系が高速かつパターンダイヤで走行する姫新線は、キハ47系列がのんびり走っていた頃に比べ飛躍的に近代化され、乗客も多く感じました。
「ローカル線」とひと括りにして諦めるよりも、事業として伸ばせる部分を効率良く改修するこの一連の試みは、大変良い事だったと思います。
ただ、輸送力に応じた結果、播磨新宮で系統が寸断され、播磨新宮以北は単行、以南は2両で運転されているのですが、播磨新宮以北の利用客はほとんどが姫路を起点とした旅客で、長距離利用もそれなりにあるのですから、系統分離ではなく増解結で対応する等のサービス強化もあって欲しいと感じました。
キハ127系は高架化された姫路駅に到着しました。
かつてはホームの端の方からガラガラとキハ47系列が発着していたのが嘘のような、近代的な光景です。
列車も駅も変わってしましましたが、姫路で変わらないのは「まねきのえき蕎麦」
これを食べて、今回の旅の締めくくりとしました。
1日の旅程でしたが、様々な気動車とSLを満喫できた、大変楽しい旅となりました。