天空の土木作業

鉄道模型レイアウトの制作記録

「サフィール踊り子」 相模線205系500番台

2021-12-30 | 日記
東京出張、久々に一泊します。夜はディズニーリゾートに来ている友人と合流するため、新浦安に宿を取りました。これがなかなかのトレインビュー。車種は少ないですが、たまに特急も来ますので楽しいです。
翌朝はホームで特急の通過を見ることも出来ました。

 

二日目は町田市で行われる研修会に向かいます。この町田という行き先をみて研修会への参加を決めた、という訳ではありませんが、引退する205系に一度乗ってみたかったので、どうせならと絡めることにしました。そうなると欲が止まらず、あれこれ乗りながら浦安から町田を目指します。
まず、乗ってみたかった『サフィール踊り子』で西を目指します。この列車に乗るためには様々な予習が必要でした。食堂車を利用するには『サフィールPay』というサイトで注文と決済が必要なようで、説明に従い言われるがままに打ち込みました。

 

ホームに上がると、既に入線していました。平日にも関わらず、座席車はほぼ満席で、個室車はあまり乗ってない印象です。一番先頭の『プレミアムグリーン車』、1964年に151系『パーラーカー』が東海道線から引退して以来の、座席1+1配置車両になりましょうか。車内に入っての撮影はお止めくださいとの放送がありましたので、デッキ扉が開いたときにチラッと眺めただけですが、豪華さ、特別感が溢れかえっています。そうでなくてもこの列車は全車グリーン車、特別が過ぎます。全車グリーン車という編成が東海道線を走るのは、14系『サロンエクスプレス東京』を使用した特急『サロンエクスプレス踊り子』以来かと思います。えらいものを東日本は誕生させました。

  

東京駅を出発し、私が着席する最後尾車へと移動します。デッキ、トイレや水回りも清潔感があっていいですね。ホテルの一角を感じさせる、個室車を通ります。通路ですが天窓が開放的です。私があちこち繁々と眺めていると、初老のグループがシャッターを押して欲しいと尋ねてこられたので、私もお願いして個室を撮影させて頂きました。良い意味で昭和の応接間、といったイメージを持ちましたが、とても上質な雰囲気です。こんな非現実的な空間に入れば、誰しもがハッピーな感覚に陥ります。家族や友人たちと、こんな個室でワイワイ食事してみたいものです。

 

4号車のカフェテリアは準備の真っ只中で、ここは後でじっくり観察するとして行き過ぎようとしましたが、車両プレートに『サシE261』とあって驚きました。国内の新製食堂車といえば、九州の『つばめ』に連結されたサハシ787、『カシオペア』のマシE26形を除いてはクルーズトレインくらいかなと思っていましたので、令和の時代に『シ』を体感できるとは思ってもみませんでしたし、東日本の本気度も見えてきます。
嗚呼、特別な車に乗ってるんだなぁという付加価値余韻を体に染み渡らせて、グリーン車の座席に身を沈めました。

 

まわりはいわゆるフルムーン需要でほぼ満席です。旅行会社のツアーもあるみたいですが、各々駅弁を広げてのんびり車窓を眺める様などは、かつて熱海がハネムーンの聖地として定まっていたころを思い起こさせるといえば言い過ぎかもしれませんし、今70代の方々からすれば新婚旅行といえば宮崎行きの『ことぶき号』に乗った方もいらっしゃいますでしょうか。そういえば『ことぶき号』もサフィールと同じくオールロザですね。しかしながら、長い月日を経てこうしてご夫婦で思いでの地を巡り渡るなんてめちゃくちゃロマンチックですし、憧れます。皆さん思い思いに、西を目指されているのでしょう。
最後尾の車両に着席し、サフィールのシートを満喫します。いつまででも乗っていたい、くつろげるシートです。フットレストを上げたり、シートを倒して遊んでるうちに、もう食堂車の予約時間になりました。
いくつか予約できる時間帯があるようですが、早い時間しか空きがありませんでしたので、横浜駅到着前に着席しました。Web予約していたメニューがパスタとニョッキでしたので、 複数利用と思われたようで、4人がけのボックスシートに案内されました。一人なのでカウンターでもいいですよといいましたが、この時間帯は空いているとのことでゆったり使わせて頂きました。

 

そういえば、デビュー当時は『ヌードルバー』として走り出したと記憶していますが、今年の4月から形態を変えられたようです。ラーメンを食べるより、今のメニューのほうがサフィールには似合っていると思います。
まずいただいたのは『静岡産3種のキノコとトリュフ塩のラグー』、白ワインを合わせます。生のキノコを食べるんですね、麺がモッチモチで美味しかったです。次に『じゃがいもニョッキのトマトソース』、これは別に静岡や伊豆に因んだものではないようですが、私がニョッキに目がないもので注文しました。伊豆の海を見ながらグラスを傾けるってのが人気の利用法なのでしょうが、普段の街中を非日常空間から眺めるのもオツなものです。
Webサイトを見ていますと、このメニューを監修されている本多哲也シェフが渡りガニのカレーについて思い入れを書いていましたので、無性に食べたくなりました。スタッフの方に、カウンターでもいいので今からでも食べられないか聞いてみたところ、この席で提供可能とのことで、赤ワインと共にお願いしました。渡りガニは殻ごとバリバリ頂きます。これも実に美味しいです。しかし、年配の方の利用が多いなか、そういう方々にはちょっと食べにくいのかなとも思いました。二本目のワインも飲みきって、大満足で席を立ちます。実に三人前を平らげてしまいました。あらかじめスマホでオーダーしていたおやつを受け取り、ご機嫌で自席に戻ります。



購入したおやつは、さすがにお腹いっぱいで後日自宅で食べましたが、どれも伊豆や静岡に由縁のあるものだそうで、『しおかつおスナック』はしっかり出汁の味がついていてビールにぴったり。『伊豆柑橘ラスク』はほろ苦いピールがアクセントになっていて、あとを引く美味しさです。
自席にて食堂車で購入したコーヒーと焼菓子をいただいているうちに、あっという間に下車駅の伊東に着いてしまいました。いつかまた、次は是非個室で終点までたっぷり乗りたいと思わせる、素晴らしい特急でした。

 

ここで折り返して本来の目的地、町田市へ向かいます。ユニークなポスターが上りホームを教えてくれていました。いいセンスですね。『サフィール』の後を追って『リゾート21』がやってきました。いつの間にか、ド派手なカラーリングになっています。登場時の左右で異なるあの配色がカッコいいと思いますが、登場から36年経っても伊豆急の顔として走っているのは嬉しいです。
続いて上りホームには、元東急車が入ってきました。モーター車に運転台をくっつけたり、車内にトイレやクロスシートを付けたりと、見た目以上に大改造をしているこの編成。これも一度、乗ってみたいです。伊豆急線だけで、楽しみが膨れ上がりましたね。

 

次に乗るのはE257系です。『あずさ』『かいじ』から華麗な転身をしました。このあたりはJR東日本は本当に上手ですね。熱海で連結、解放を行う運用のある『踊り子』にはもってこいの車両です。
カラーリングが変わって印象も大きく変わりました。車内も青が基調となり、別の車に乗っているようです。所どころにベテラン車両の貫禄というか、くたびれたところはありますが、コンセントをシートに設置してくれていたり、十分な車内サービスだと思います。



車掌さんがやってきて、検札かなと思えばアンケートでした。往路の『サフィール』でもあったようですが、私が食堂車にいるうちに終わっていたようです。車内でのアンケートは昔からありますが、紙と鉛筆が常でしたのに、今ではQRコードを見せられて各々のスマホで回答するんですね。『サフィール』の食堂車予約でも感じましたが、スマホがないと食事も買い物も楽しめない世の中になってきています。あらかじめ「予習」をしてから旅行しないと、最大限のサービスを受けることができないという訳ですが、もし、このシステムを知らずに乗車してせっかくの旅行でガッカリするような人がたくさんいらっしゃれば悲しいです。様々な人が利用する鉄道だからこそ、そのあたりの救済措置は考えていて頂きたいと思います。
小田原で降りるつもりがウトウトしてしまい、大船で飛び降りました。急いで精算し、時刻を確認します。相模線の乗車時間を少なくすれば何とかなりそうです。さすがにサフィールで飲み過ぎました。

 

折り返して茅ヶ崎へ。いよいよ乗り納めとなる205系500番台に乗車です。列車は既に入線していて、記念のヘッドマークがついており、10名ほどの方が撮影していました。
車内に入りますと、懐かしい205系のシートが並びます。前面の印象が随分違いますが、走行音、乗り心地もやはり205系です。単線区間を走行する205系、というのは関西では奈良線での実績がありますが、それ以外であまり乗った記憶がありませんので、新鮮です。
この500番台、かつてグリーンマックスからキットが発売されました。買おうかどうしようか物凄く悩んだ思い出があります。結局買えなかったのですが、4両編成で単線で楽しめますから、模型にはもってこいの編成だと思います。
行き違い時間に写真を撮影したりして、最後の205系500番台を記録します。相模線は学生時代に全線乗り通しているはずですが、全く記録も思い出もありません。もう少し乗りたいところでしたが、踊り子号を乗り過ごしたこともあり、厚木駅で下車しました。2007年の春改正で使用が停止された旧ホームがそのまま残っていて不思議な雰囲気です。何だか別世界へ連れて行ってくれる列車が密かに発着しているような、時が止まっているかのようなホームです。構内踏切を廃止するだけのために新たにホームを新設したのでしょうか、このあたりJR東日本は大胆です。

 

その後は小田急に乗り換えて目的地に向かい、用事を済ませて小田急『EXE』で新宿へ向かいました。
車内では大船駅で大急ぎで購入した大船軒の「湘南チョイス」というお弁当を広げます。お酒のアテにぴったりのおかず、押し寿司が詰めあわされていて、とても美味しかったです。
『EXE』で弁当に舌包みを打ちながら、サフィール踊り子、踊り子、そして205系500番台のことを思い返します。どの列車ももっと長く乗りたいと思える、充実した旅程となりました。