天空の土木作業

鉄道模型レイアウトの制作記録

房総半島 列車とバス

2015-08-29 | 日記
会議を兼ねた旅行総会にご招待いただき、安房鴨川へ行きました。

サイトで検索しますと、浜松町か東京八重洲口から高速バス「アクシー号」に乗るのがスタンダードとあります。確かに一時間毎に設定されていますし料金も安いです。まあしかしそこは電車を使いたいのが鉄心。房総半島へは車で行くことばかりで、前回鉄道を利用したときは約15年前、行きは255系で帰りは183系でした。

品川の宿を出て東京駅へ、そこから京葉線ホームに向かいます。この永遠に続くかのような、ドラゴンクエストのダンジョンを歩くような乗り換えは毎度ウンザリします。私が京葉線沿線に行くのは舞浜か幕張に行くときくらいのものですが、この乗り換えを嫌って八丁堀乗り換え、またはバスでのアクセスを選択してしまいます。しかし『わかしお』は八丁堀にも新木場にも停まりません。止むを得ず長い連絡通路を歩くのです。

しかし、昔に比べるとお店の数も増えて、それらを眺めながら歩いていればいつしかたどり着いていました。蕎麦屋もあったので朝食を頂きます。ドラゴンクエストのダンジョンに例えるなら、隠し部屋で宝箱を開けたような感覚でしょうか。売店では昼食用のお弁当も購入しました。



深い深い京葉地下ホームに到着すると、既に特急『わかしお7号』は入線していました。5両編成の E257系500番台を二本繋いだ10両編成。後ろの編成は上総一ノ宮で切り離します。185系の新特急であるならば、自由席•指定席の配置は編成毎に決まっているものですが、この列車は基本編成の後ろ2両と付属編成の前1両が指定席という構成でした。指定席が固まって配置されているので、自由席利用者にもわかりやすいと思います。
この様に柔軟な編成が組めるようになった要因としては、喫煙車がないので設備に差がなくなった事と、LED表示により簡単に属性を変更できるようになったことがあると思います。

直ぐに発車の時刻となりましたので、あれこれ見る間もなく先頭車に乗り込みました。
夏休みの一週間前ですが、夏の房総半島という事で日帰り海水浴客での混雑も予想してみましたが、日曜日の下りということもあってか車内はよく空いていて、一割程度の乗車率でした。指定席も同様です。
客層は観光目的、または地元に帰られるような方がほとんどで、さすがにビジネス利用はなさそうでした。

八丁堀、新木場を通過し、高架に入ってさらに速度を上げて快走します。やはりどちらかには停車してもらえれば便利なのにと残念に思います。
そもそも、房総特急は1982年の特急『成田エクスプレス』運行開始に合わせて総武線を追われ、京葉線経由に改められましたが、この時点で県庁所在地の千葉駅を経由しないという、当時の報道に言葉を借りれば『県民の利便性を無視した』特急となりました。スジには限界がありますので、じゃあ総武快速列車が削減されるほうが多くの県民にとってマイナスなのではないかという意見もありますが、千葉県南部の意識というのはそのようなものもあるのでしょう。そうであるならば、乗り換えを考慮した停車駅増はあっても良いと思います。

海浜幕張では数名の乗車があっただけで先を急ぎ、蘇我でまとまった乗車がありました。この多くが、もし千葉駅経由であれば千葉から乗車したはずの乗客なのだと思います。千葉駅と南房総の間にも頻繁に高速バスが走っていますから、大変歯がゆいものを感じます。

 

大網、茂原とパラパラ下車があり、東京からちょうど一時間で上総一ノ宮に到着。まとまった下車がありました。ここで後ろの編成を切り離します。ホームの終端には灰皿が設置されていて、解放作業の間にゆっくりと一服することが出来ました。
灰皿の近くでは海水浴にいく出で立ちの若者が数名、次の普通列車を待っていました。髪型や服装はチャンチャラですが、車で移動せず鉄道を利用するなんて古風な若者です。話しを盗み聞きしますと御宿までいく様子。この特急の停車駅でもありますが、そこは特急料金を節約しているようです。

身軽になった『わかしお』。初めて乗るE257系500番台を見て回ります。
さっぱりした外見と違い、デッキやトイレはカラフルで、九州特急の車内のような賑やかさがあります。無機質な西日本の特急車両とはずいぶんと違います。各設備が少しずらして配置されているので、広く感じます。いい車内だなと感じました。

 

勝浦を出て東京駅で買っていた崎陽軒のしゅうまい弁当を食べました。単線ののんびりとしたローカル特急で食べる駅弁は格別です。崎陽軒のしゅうまい弁当は、何故か良く買ってしまいます。決して美味しいものとは思いませんが、おかずのバランスが良いのでしょうか、雰囲気がいいのでしょうか。食べてみると何の感動も無いのですが、不思議とまた買ってしまいます。依存性物質でも入っているのでしょうか。
テーブルを出した時に気付いたのですが、ドリンクホルダーが別についていました。よくあるのがひじ掛けに付いているタイプですが、飲み物をこぼしてしまいそうで使いにくい感じがありました。こちらは安心して使えます。ただし、回転させてボックスにしたときは、当然使用することができません。

 

弁当を食べ終わり、会議資料の最終確認を終えた頃、列車は終着駅安房鴨川に到着しました。スカ色の115系がうようよいた構内も、今では209系ばかりで
す。海水浴客でごった返していたであろう駅舎も、静かなものでした。ただ、旅館のバスが駅前に並び、運転手がペナントを持って出迎える光景は、昔の特急停車駅の面影を残しています。2時間があっという間の外房線の旅でした。



帰路はそのまま羽田空港に向かう事もあり、バスを利用する事にしました。安房鴨川から東京駅を経由して浜松町バスターミナルに向かう『アクシー号』で木更津金田バスターミナルに行き、そこから羽田空港行き高速バスに乗り換える旅程です。
検索サイトを利用しますと、安房鴨川〜羽田空港ではほとんどがこのルートを推奨してきます。金田バスターミナルでの乗り換え時間にもよりますが、『わかしお』利用より一時間も早く着く場合もあります。値段も安いです。

これ程にまでバスネットワークが充実し、利用客をJRから奪い取ったのには、アクアラインの値下げが大きく関係しています。私も何度か車でアクアラインを利用しましたが、気軽に通行できるため、列車ではなく車を選択してしまします。
ただし、これは県の補助金が大量に投入されての値下げであって、経済効果やいろんなものをまとめて考えれば投資に対する返りがあるのかもしれませんが、ずっと続く保証はありませんし、もしも通行料金が元に戻った場合、当然バスも値上げしなければならないでしょうから、輸送体系も大きく変わるのではないかと思います。



一度も高速道路に乗ることなく、金谷バスターミナルに到着しました。
大きな駐車場が併設されています。1日止めても数百円。月極定期もあるようで、パークアンドライドが根付いています。
房総地区の各地からやってきたバスがひっきりなしに東京や羽田空港を目指します。1時間に10本以上設定されている時間帯もあり、大変便利です。
また、私のように東京行きに乗って羽田空港へ、またはその逆を行く乗客も待合室にチラホラいました。
ただ、やはりバスですので数分の時間誤差は付き物のようで、私が乗る空港行きも10分遅れて到着しました。この辺りの案内がないのはバス初心者にとって心細いものです。
こうして、外房特急の現実を体感できた旅行となりました。

数週間後、またまた房総半島は館山に出張で行くことになりました。
せっかく外房線に乗ったのですから、次は内房線に乗ることにします。
しかし「さざなみ」は3月のダイヤ改正で大ナタが振るわれ、下り5本、上り3本と大激減。仕事に間に合いませんので、仕方なく普通列車で向かいました。
新小岩で終電まで飲んで木更津に取った宿に向かいます。内房線直通は早々と店じまいされていて、千葉での乗り換えを余儀なくされます。ここでグリーン車に乗って木更津まで行けたら最高なのですが、残念です。言い方を変えますと、それくらいの距離・時間であればE217系の快速で十分だと思います。
千葉からは京葉線を走るE233系10両編成でした。てっきり209系の6+4が来るかと思っていたので面食らいました。こんな運用もあるんですね。
木更津は久しぶりに降り立ちましたが、駅前は悲しい地方都市でした。



翌朝、ホテルで朝食を済ませて駅に向かいます。朝食はバイキングでしたが、居合わせた高校ラグビー部の合宿と重なってしまい、料理が出てきてもすぐにお皿が空になる熾烈な競争下での朝食となりました。
バスターミナルには東京方面、羽田空港方面、千葉方面へのバスが列を成しています。どれも結構な頻度の運転本数があります。房総地区がバス王国なのを痛感させられます。

 

かつてキハ35がのんびりしていた久留里線の車庫も、いまでは形式もわからない綺麗な気動車に置き換えられていました。
鴨川から乗ったバスは久留里線沿線をなめるようにして運行されていましたので、その影響は大きいと思います。

 

朝ラッシュの時間帯でしたので、上りは次々に発車していきます。
総武線経由のE217系快速逗子行き、京葉線経由のE233系東京行き、209系4+6の10両編成千葉行きと、多種多様な列車が発車していく様は見ていて楽しかったです。
私は209系でのんびり内房線を南下します。固いボックスシートで珈琲を飲みながらののんびりした時間を過ごしました。

帰路はやはり高速バスです。この日は朝まで飲んでましたので、バスでの記憶はありません。東京駅から新幹線に乗りましたが、品川駅の記憶すらありませんので大変な爆睡でした。

海水浴客で賑わっていた夏の外房線・内房線。アクアラインの開通と料金の改定、そして高速バスの拡充によって苦戦を強いられる両線の現状を大いに思い知らされた、2回の旅程でした。