1年半振りの熊本出張です。
前回は前日が丸々空いており、次の日の集合時間も遅めでしたので色々と乗り回しましたが、今回はあまり時間の猶予がありません。
それでも、前回延岡で食べたメヒカリの唐揚げがどうしても食べたくて、今回も延岡を経由するルートをあれこれ模索しました。
本当は久大本線を経て熊本入りしたかったのですが、延岡での滞在時間が1時間を切る強行スケジュールになるため諦め、まだ乗ったことが無い肥薩線の吉松~八代間を乗る旅程に留めました。
午前中に仕事を済まし、新大阪駅1309発、のぞみ23号で一路九州を目指します。
ほんの10分前に『さくら』が走っており、指定席ならばこちらの方が2&2シートで快適だったのですが、残念なことにギリギリ間に合いませんでした。
23Aの自由席は2割程の乗車率で、3列シートながらもゆったりと過ごすことが出来ました。3号車で一服し、仕事のメールなどを片付け、新大阪駅で購入した「仙台黒毛和牛弁当」を食べました。
1500円とかなりお高いお弁当です。ホテルや百貨店の食肉偽装が多数露呈する中、この様なネーミングもどうしても疑いの目で見てしまいますが、どうなんでしょうか。
味噌漬けのお肉はこれはこれで美味しいものでしたが、それよりも付け合わせの漬物が美味しかったです。あまりに美味しくて、ネットで調べてみますと、これらは福島の「りょうぜん漬け」、山形の「赤かぶの酢漬け」、秋田の「いぶりがっこ)」という、東北を代表する漬物であることがわかりました。疑ってかかりましたが、結構拘っているようです。
食後もメールや電話対応に追われ、あっという間に小倉到着となりました。
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小倉で下車するのは初めてだと思います。
ホームの端で乗ってきた23Aを撮影しました。対向に『さくら』が入線してきたのでこちらも撮影します。新幹線にはあまり興味がありませんが、このN700-7000か8000だかの陶磁器のようなカラーリングは、往年の『ユーロライナー』を彷彿させ、好きなものです。最近、この様な色目の車をよく見るようになりました。一体何なのでしょうか、こちらも気になります。
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小倉で在来線ホームに降り立ちます。九州の面白いところは、車両が奇抜なデザインやカラーリングであるのと対象的に、駅が昔ながらの国鉄チックである事だと思います。この小倉駅のホームも、まだまだ国鉄テイストが残っていると感じるのは、昨今、何処も彼処もスラブ軌道の高架駅ばかりになっているからかも知れません。
博多方面への快速発車の後、乗車する『ソニック33号』が入線してきました。
小倉駅で進行方向が変わりますので、発車後はさぞバタバタしているのかと思いましたが、とてもスムーズな乗降でした。おそらく、小倉到着前に乗務員が座席の転換を行っていたのでしょう。
自由席は3割に満たない乗車率で発車しました。あっという間に時速130kmまで到達し、爽快に駆け抜けていきます。さすが『ソニック(音速)』の名を名乗るだけの俊足ぶりです。
ただ、モーター音は静かなのですが、経年劣化からか、乗務員室ドアや椅子からガタガタ音がしていたのが残念でした。ハイカラな883系も、気が付けばデビューから18年が経っています。
車内販売が来たので目をやると、ハイボールが売られており、これを購入しました。私が乗務していた頃はハイボールなど積んでいませんでしたが、時代の流れでしょうか。小倉駅で購入した『うにめし』と共に883系を満喫します。
『うにめし』はウニの炊き込みご飯と、筑前煮などのおかず、ウニのアルコール漬けが入っています。私はこのウニのアルコール漬けが大好きで、アルミホイルにこびりついたウニを舌でねぶりながらハイボールを流し込みました。美味しいお弁当ですが、先ほどの食事から2時間も経っていない事を忘れており、完食はなりませんでした。
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883系に乗るのは2回目です。とは言え、前回は大分から別府までの僅か10分程でしたので、じっくり乗るのは初めてです。
ヘッドレストがユニークなデザインで、何だかワクワクしてしまいますが、ひとつ残念なのは、肘掛け部分から出てくるサイドテーブルです。ヘッドレストに合わせて丸い形のものなのですが、あまりに小さくて飲み物ひとつくらいしか置くことが出来ません。例えば681系のサイドテーブルは、濃いグレーの無塗装で無機質なちゃっちいものですが、お弁当くらいは置くことができます。
サイドテーブルは、椅子を回転させたときに活躍するもので、その様なグループ旅行であれば、尚更面積を広くとった方が良かったと思います。
また、運転室直後の座席が使用する固定式のテーブルも、いささかデザイン優先で使い勝手が悪そうな気がします。
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7号車を満喫し終わり、せっかくなので5号車の1000番代に乗り移りました。こちらは出来て5年の車です。車内は一転、落ち着いた高級感がある雰囲気に包まれています。先ほどケチをつけたサイドテーブルですが、こちらは木目調の大きなものが取り付けられており、肘掛けの中からだすタイプでした。
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何よりもデッキのレイアウトに驚きました。パッとみるととても電車の車内とは思えない、ホテルの一角のようなデザインです。ちょうど、別府付近の海岸線を走行している時でしたので、海と空が大きな窓に映り込んできて、まったく窮屈感を感じさせない、広々とした空間が広がっていました。よくぞこんなトイレの配置を良く思い付くものだと感心しきりです。
ゴミ箱も遊び心あるデザインで、電車について回る『無機質』というイメージを吹き飛ばしてくれます。
ただ、これも一つだけケチを付けるならば、トイレはとても狭く、バリアフリーの観点からはいただけないものだと思います。
1つの列車で2種類の車内を楽しんだところで、終着の大分に着きました。
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大分駅は前回訪れた時も既に高架になっていましたので、驚きはしないのですが、やはりとても綺麗な駅だとあらためて感じます。
降り立った向かいには、これから乗る『にちりん』21号が停車中で、便利な同一ホーム乗り換えとなっています。
ホームにはガラス張りの喫煙ルームもあり、ありがたいことです。また、喫煙ルームがグリーン車側に設定されているのも良いサービスだと思います。
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ちょうど一服し終わった頃に、にちりん発車の時刻となりました。車両は787系です。『つばめ』として走行していた全盛期は乗った事が無いのですが、今、こうして都落ちした短い編成であっても、外観も車内も存在感十分のデザインです。絨毯敷きの床にヒョウ柄のモケットは重厚感があります。間接照明もあいまって、とてもリラックスできる空間だと思います。いつも比較してしまうのですが、681系や287系など、JR西日本の新型特急は蛍光灯がギラギラしていて、椅子や壁や床やとあちこち安っぽくて、モーター音がうるさくて、とにかく好きになれません。デザインやサービス、そういった物理的で無い価値を大事にしない会社という事なのでしょう。
心地よい空間に抱かれ、うとうとして居るうちに、目的地の延岡に着きました。
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延岡に立ち寄ったのは、前回訪れてたまたま入った居酒屋で食べた『メヒカリ』という深海魚の唐揚げが逸品で、大阪で食べられるお店を探したものの見つからず、どうしてもまた食べたい衝動に駆られたのと、南延岡駅で駅員をしている旧友に会うためです。
延岡駅前の居酒屋『喜多八』さんにお邪魔し、お目当てのメヒカリと、延岡の地酒『千徳』をいただきます。旧友との会話も弾み、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。本当は酔いに任せて延岡のホテルで眠るのが良かったのですが、ここで宿泊すると、別府回りでも吉松周りでも熊本での集合時間に間に合わなくなってしまうので、ヘベレケの状態で最終の『にちりん』25号に乗車し、宮崎で宿泊する事にしました。
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『ソニック』『つばめ』と来て、ここからは『ハイパーサルーン』こと783系がやって来ました。この列車は延岡で10分停車し、交換待ちをするのが所定な様ですが、直前で鹿と接触したらしく、25分遅れで入線、15分遅れで発車しました。
『ハイパーサルーン』は当然、最後尾のハイデッカー室に座ります。JRグループ最初の新型車両としても有名な783系ですが、座席の形状など、国鉄の雰囲気を残している箇所も見られます。前面展望が可能なので、子供さんにも人気が高いそうです。
少し酔いも冷めてきた頃、今夜の宿泊地、宮崎に到着しました。
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ホテルでの滞在時間は5時間程で、始発の特急『きりしま』1号で都城を目指します。車両はまたもハイパーサルーンで、またもハイデッカーに乗りました。宮崎発車時は、15名程度の乗車でした。
コンビニで買ったサンドイッチを食べ、今日の仕事の準備などをして過ごします。
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都城では、45分間の接続です。
吉都線の普通列車が到着し、大勢の高校生が下車してきました。半分程が鹿児島方面への列車に乗り換え、後は階段を下って行きます。やがて宮崎方面への特急が入線し、発車。その10分後に同方向へ普通列車が入線し、発車と、駅が一気に活気付きます。
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ひとしきり列車が発車し、再び静寂に包まれた都城駅。かつての構内ヤードには、太陽光パネルがズラリと並んでいました。私の乗る吉都線は、キハ40の単行です。乗客8名で都城を発車しました。
ボックスシートに体を休め、小一時間睡眠し、目覚めると小林駅でした。『吉都線100周年』のノボリや看板で賑やかです。
ここから25パーミルの勾配を駆け上がります。ここはよくSLの名撮影地として登場する区間です。SLでなくとも、このキハ40でもゆっくりと、大きく唸りながら踏みしめるように坂を登ります。
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えびの駅で高校生が下車し、乗客は私一人になりました。少々心細いものです。しかし、次の京町温泉で3名が乗車してきて、貸切区間は一駅となりました。
列車は定刻に吉松に着きました。前回訪れた時は日曜日で、特急『はやとの風』と観光列車『いさぶろう・しんぺい」の接続時間だったので、ホーム上はなかな賑やかでしたが、今日はひっそりとしています。
私が乗ってきた隼人行きは21分の停車。ここで、向かいのホームに止まっている人吉行きに乗り換えます。
人吉行きは、私ともう一名の、乗客2名で吉松を発車しました。
2000年に急行『えびの』が廃止され、人吉~吉松間の廃止が検討された時期がありましたが、こうして実際に乗ってみると、深刻な問題である事がわかります。観光列車『いさぶろう・しんぺい」がどれほど乗客を運んでいるかわかりませんが、末永く好乗車率を維持して欲しいと思います。
やがて、観光列車の目玉である雄大な景色が右手に広がってきました。いわゆる『矢岳越え』です。列車のエンジンが山間に轟音を響かせて急勾配に挑む姿と対象的に、眼下に広がる加久藤盆地と奥に連なる霧島連山が織り成す大自然の絶景が目に飛び込み、しばし言葉を失わせます。
スイッチバック駅は二駅あり、ループ線があり、鉄道ファンなら飽きる事の無い区間です。ワンマン運転ゆえ、運転手はスイッチバックする度に運転台を変わらなければならないのは大変そうですが、その動作もファンからすれば興味深いものです。
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坂を下り終わったと思うが早いか、終着の人吉に滑り込みました。
途中から1名乗車してきたので、乗客は3名でした。
この列車の人吉到着を待って、吉松行き『いさぶろう・しんぺい」が発車して行きました。チラッとしか見ていませんが、あまりお客さんは多くないようでした。
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人吉では6分の乗り換えで、特急『九州横断特急』に乗ります。
これは前回、大分から立野まで乗りました。その時は前面被りつきで大満喫したのですが、今日は既に先客がいました。乗車率は2割程度といったところでしょうか。
同じ肥薩線でありながら、今までの山岳路線が嘘のように、平坦な球磨川沿いをキハ185系が駆け抜けます。
今日は2両編成で、乗車率は3割程度でした。
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車内販売の放送では搭載しているお弁当の内容を丁寧に解説していました。
ワゴンが来たのでもう一度内容を聞き、「人吉旅情弁当」を購入しました。
地元の食材にこだわったということですが、蓋を開けるといきなり甘露煮となった鮎がこちらを睨みつける、ダイナミックな弁当でした。
球磨川の流れを眺めながら、国鉄型気動車に揺られ弁当を食う。なんとも贅沢な時間です。
願わくばこのまま阿蘇の方まで行きたいところですが、楽しい時間もここまで、目的地の熊本に到着しました。
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熊本ではほとんどの乗客が下車しましたが、数名は通しで豊肥本線に向かうようです。また、下車した乗客と同数程度の乗車がありました。
熊本駅在来線は高架工事の真っ最中で、仮設ホームや仮設連絡通路が複雑に配置されています。「離れ小島」のような状況のホームもあります。
バスターミナルや庁舎の移転など、かなり大規模なプロジェクトのようですが、かつて「はやぶさ」や「なは」が発着していた頃の面影が完全に無くなってしまうというのは寂しいものです。
仕事が終わり、夕食まで1時間強の時間があったので、ホテルの前、辛島町電停から路面電車に乗りました。
頻繁に走っていますが、単行運転の列車はどれもかなりの乗車率で。連接車体の列車は余裕がありました。
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市電に乗り、水前寺駅通で下車します。
それまで豊肥線との乗り換えは不便だったそうですが、2010年に豊肥線の高架工事が完成し、市電と豊肥線・新水前寺駅は直結されて大変便利な駅になりました。1面1線の高架駅に向かいますと、家路を急ぐ学生やサラリーマンでかなりの混雑です。
ICカード対応の改札もありました。
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ここからひと駅戻って、水前寺駅に行きます。
かつては485系やハイパーサルーンが電源車を従えたディーゼル機関車に牽かれて乗り入れていた水前寺駅ですが、今では1面2線のすっきりとした構内になっていて、特急始発駅の面影はありませんでした。
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ここから再び「九州横断特急」に乗車し、熊本へ戻ります。
熊本駅の電停も、大変綺麗で乗り換えに便利な作りでした。
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帰路は新玉名駅から「つばめ」で博多へ行き、「のぞみ」で大阪へ帰りました。
800系は初めて乗りましたので、いろいろ楽しみたかったのですが、帰路は団体行動ですので趣味活動は控えめです。
博多駅で「焼麦弁当」を買い、旅の締めくくりとしました。
1年半前の旅程と似た線区を辿りましたが、「ソニック」や矢岳越えなど、新しい体験も出来ました。