天空の土木作業

鉄道模型レイアウトの制作記録

カシオペア

2016-01-24 | 日記
いよいよ廃止へのカウントダウンが日に日に叫ばれてきたカシオペア。1度も乗ったことがありませんでしたので、ダメモトでマルスを扱える友人にお願いしておりましたら、彼のマメな努力のお陰でひと部屋確保していただけました。本当に感謝、感謝です!

ありがたく、間もなく3歳になる息子と7ヵ月の赤ちゃんも連れて、家族四人で乗車することにしました。放ったらかしの家族への償いを兼ねておりますので、自分の鉄分補給は最小限にした旅程です。

東京まではのぞみでの移動です。運賃が掛からない幼児と乳児を連れての移動ですので、自由席の3列シートに乗車しました。幸い、常にある程度空席がある乗車率でしたので、3列使わせてもらいましたが、指定席だと自由度が少なくなりますので、いい選択だったかなと思います。いくら2歳でも二時間半膝の上に乗せるのは酷なものです。かといって、自由席をボックスで占領するほど厚かましくもなれません。



東京に着きますと、入場券を買って東日本の新幹線ホームに向かいました。いつも遊んでいるプラレールの実物を見せてやるためです。
私が『2階建ての大きな新幹線が来たぞ』と言うと、息子は『E1系マックス!』と叫んでいました。2歳児の方が上手なようです。他にも『E7系かがやき!』『はやてと連結のつばさ!』と、乗り物DVDで得た知識を披露していました。親の知らないところで成長してるもんだなと感心いたします。

上野まで移動して老舗洋食屋や和菓子屋、上野動物園と回って観光します。既にカシオペアは入線している時刻で、推進回送を見たかったのですが、この辺りは家族運用の性質上、諦めました。
専門店や売店でしこたま食料・飲料を買い込み、いざカシオペアに乗車します。ホームでは沢山の人が写真を撮っていました。カシオペアの食堂車付近にも沢山の人が集まっています。グッズでも購入しているのでしょうか。
私たちの部屋は11号車の下階です。最前部へ歩いて行きますと、機関車のまわりにも沢山の人が写真撮影を行っていました。



部屋に入り、荷物を納めたあたりで、寝台特急カシオペアは16時20分定刻に、上野駅を滑らかに発車しました。
発車して程なく放送が入ります。その中で、シャワーカードの説明がありたした。しまった!上野駅で売店車両に群がっていたのはグッズ販売なんかではなく、シャワーカードを買い求める列だったことに気付きました。慌てて3号車に買いに向かいましたが、時既に遅く売り切れていました。

失意のうちに11号車へ戻ります。部屋で肌着を脱いでいますと、車掌がドアをノックしてきました。私は『ちょっと待って下さいね』と返しますが、次の瞬間『失礼します』とドアを開けてきました。安心してください、履いてませんよ。『着替えてるので後にしてください』と言うが早いか『失礼しました!』と退散していきましたが、まあもう少し気配りいただきたかったです。
続いてウェルカムドリンクを持ってきた姉ちゃん。これがまあ愛想のないマニュアル通りの言葉しか話さないテンプレート人間で、笑顔もなく日本食堂らしい姉ちゃんでした。

カシオペアの料金はひと部屋35000くらいでしょうか。当然、乗客はカシオペア自体に乗ることを目的にして乗り込んで来るわけです。迎えるほうにその自覚がどれだけあるのか、これは、私が車販会社にいたから大いに疑問であり、また、35000円の室料を頂戴するだけの水準には全く達していないと思います。
ここ暫く出張の多い日が続いていましたので、私はあらゆるホテルに宿泊しました。カシオペアは二人部屋ですから、割ってひとり17500円だとしましょう。品川プリンスタワーでしたら最上階のラウンジを利用できる料金です。早稲田リーガロイヤルなら25㎡の部屋に泊まれます。新高輪プリンスなら夕食も付いてきます。カシオペアの室料は、それだけの価格なのです。それにも関わらず、作業を淡々とこなすだけの乗務員、そしてシャワーなし。『列車という制約があるから仕方ない』という意見は、一般常識とはあまりにもかけ離れており、そりゃないよ!と嘆き節のひとつも唄いたくなります。
シャワー室の定員は30名ほどだそうで、ツインの定員は158名。よって、満席の場合は2割程の乗客しかシャワーを利用できない計算です。一昔前のブルートレインとは明らかに利用目的が違うカシオペアにあって、これはあまりにも怠慢な設定であると感じます。



と、ひとしきり不満をぶちまけた後は満喫することにいたしましょう。妻が事前にいろいろと準備をしていたらしく、床にクッション材を敷いて、子供たちは転げ回ったり楽しく過ごしてくれています。停車した駅のホームには帰宅する学生やサラリーマンの姿があり、日常と非日常の狭間にステンレスボディが光る光景がなんとも奇妙です。

チャイムとともに車内販売が来たことをしるすプレートが光ります。これは面白い設備ですね。私が乗務していた寝台特急日本海は解放寝台ばかりでしたが、乗務晩年になって個室が連結されるようになりました。どう売り声を張り上げたら良いものかと思案した記憶がありますが、これならお客様にもシンプルに伝わるなと思います。



やがてディナーの時間になりました。当初、懐石しか取れなかったそうですが、やはり友人の粘りにより3回転目のディナーにありつくことができました。あらためて感謝です。
二人テーブルを4人で使う覚悟は出来ていましたが、運良く4人がけテーブルに案内されました。キャンセルでも出たのでしょうか。
東京の会社にいる70代の女性パートが、夏にツアーでカシオペアに乗ったときには、お弁当が配られてそれを部屋で食べたと言っていました。『昔に乗った津軽号とは比べられない快適さよ~』なんて言っていましたが、これまたエライ比較対象を持ち出してきたものです。
シャワー室同様に、何人が食堂車を利用できるか調べますと、先程の158人にスイートの16人を足した174人中、28人×3回転で84人ですから、半分程度ということになります。この割合もどうなんでしょうか。私は少ないように感じます。
皆がみな食堂車でディナーを食べたいと思っていないのは、パートのおばちゃんの楽しそうな体験記を聞いて感じましたが、できれば乗車する全ての人にいい思い出を持って頂きたいものです。



料理は値段を考えなければとても美味しかったです。残念だったのはワインリスト。せっかくのフレンチコースなのですから、もう少しワインの種類は考えていただきたかったです。
ディナータイムが終わると、食堂車はパブタイムが始まります。引き続きパブタイムでお酒を飲もうかと思っていましたが、通路に出ますとパブタイムを待つ長蛇の列が出来ていました!部屋に帰ると放送があり、パブタイムを開始するけど現在は満席であるという内容でした。食堂車を利用できなかった人が押しかけているのか、2回目の食堂車利用に来ているのかわかりませんが、皆さん退屈する時間帯なのでいらっしゃっているのでしょう。

ひとしきり落ち着いて、隣の12号車、サロンカーに行ってきました。電源車をサロンカーにするというアイデア、考えた人は凄いですね。素晴らしいチョイスだと思います。検査や故障時には普通の電源車が連結され、ラウンジカー自体がなくなるそうで、これはこれで大変なサービスダウンになるのでしょうが、その時は何らかの対応があるのでしょうか。
ちなみに、帰路は新千歳空港から飛行機で帰るのですが、空港のラウンジは改装工事で使用できなくなっていました。そこで、空港で利用できる1000円のクーポン券を配布されたのです。つまり、運賃にラウンジを利用することを前提としたJALの配慮です。さすがのサービス水準だと感じました。後でネットで調べてみましたが、代替サービスは特に無いようですね。



ラウンジカ―では記念撮影大会が行われていて、私も写真を撮ったり撮っていただいたり、また、他のお客さんといろいろお話をさせて頂いたりと、和やかな雰囲気を楽しみました。息子は最前部のシートが気に入ったようで、運転手気分を楽しんでいます。車販ノートみたいな自由帳がおいてまして、皆さんの思い思いの自由記述があり、興味深く拝見しました。ラウンジ入り口の売店スペースも常にお客さんがいる状態で、グッズや飲み物を買っていました。夜も更けてきたので残りの時間を部屋でアルコールを嗜みながら楽しみます。下段ですが騒音も揺れもさほど感じることはありませんでした。

翌朝、函館到着前に目覚めます。機関車交換を見に行きました。多くの人が詰めかけて、DD51の連結を撮影していました。部屋には北海道新聞が届けられます。新聞屋にとってありがたいサービスです。



食堂車営業の放送が流れましたが、これも、満席でさらに列があるということなので、買い込んでいたパンを食べ、売店で受け取っていたチケットを珈琲に交換してゆっくりと過ごしました。再びラウンジカ―に行き、DD51の力走と北海道の雄大な景色を楽しみます。ここへきて、このような列車がなくなることに寂しさを覚えるようになってきました。
息子の散歩もかねて、ラストオーダーギリギリで食堂車に行きますと、なんとお客さんゼロ。せかっくなので洋食モーニングを食べました。皆さん、くいっぱぐれがないように序盤に集中したのでしょうか。

個室の寝台を座席に変えて、あとは札幌までのんびり過ごしました。もう二度と乗ることは出来ないカシオペア。そして、春になれば寝台夜行列車自体が「サンライズ」のみになり、この様に旅情を楽しむ列車は時刻表から消えてしまいます。もちろん、そんな実感はないのですが、これが最後だと自分自身に言い聞かせ、五感全てでカシオペアを記憶に焼き付けました。列車は30分遅れて、札幌に到着です。



札幌で観光し、駅近くのホテルで1泊しました。夜、「はまなす」に乗って南千歳まで往復しようとしていましたが、子供の寝つきが悪く、断念しました。あと数ヶ月でなくなる最後の夜行急行を乗り逃がす、鉄道マニア失格の行動ですが、家族同伴だとなかなか思い通りに行きません。
翌日、新千歳空港までの移動は、やはり次の改正でなくなる「スーパーカムイ」からの「エアポート」を選びました。721系に比べて1両少ない5両編成のために混雑が激しいのと、旭川から遅れてやってくることが多く、ダイヤの乱れが発生しやすいことからの運用分離なのだそうです。
札幌には年に2度くらい来ていますが、ゴルフが絡めばタクシーで空港へ行きますし、小樽で昼食を取って戻るときは直通する721系に乗ることが多いので、スーパーカムイからエアポートになる列車に乗ったことはありませんでした。789系に乗ったことがなかったので楽しみにしていたのですが、785系がやってきました。



この列車も雪の影響で7分遅れての到着。列車は札幌で5分の停車時間がありますが、ドアの数も少なく、乗り込む人は多く、椅子はひっくり返さなくてはならず、結局8分遅れで発車していきました。私たちはuシートを取っていましたが、周りの乗客は韓国人観光客ばかりで、進行方向が変わることを上手く説明できず、発車してから皆さん納得してシート回転をしてくれました。これは運用分離した方が無難だなと感じました。
新千歳空港に着いて撮影します。ちょうど、新幹線函館延長の広告と列車が並びました。新幹線が延長される日、785系は空港に来なくなるのですから皮肉なツーショットです。新幹線が札幌まで来る頃には、どの様な変化が起こっているのでしょうか。



家族旅行でしたので、鉄分補給は思うように出来なかったこともありましたが、無事にカシオペアに乗ることができ、とてもいい思い出となりました。