THE ARCTIC - オーロラの地を旅する

北欧北極圏、アイスランド、グリーンランドの旅行情報

ロシア入国

2015-09-18 | 北極圏旅行2015秋
9月18日

朝7時半起床。
空はどんよりと曇っている。
今日はいよいよロシア入国の日だ。
朝、宿の主人にそのことを話すと、ロシアへ行くのかと驚かれた。すぐ隣の車で数時間の国なのに、普通気軽にロシアに行くことはないことを伺わせた。
彼もムルマンスクへは行ったことがないらしい。
特に今、ウクライナの問題があるからだろうか。あえてロシアに行こうとする物好きはいないのかもしれない。
チーズなどフィンランドからの輸入もストップしている。
この宿には、ロシア人の客も多いらしく、たくさん買い物をしていくらしい。
ロシアのほうが物価が安いのにと言うと、確かに安いが質が悪いので買いに来るんだと言う。
「ロシアへの旅行は確かに面白いと思う。
ロシアに入ると道が悪くなって、雨が降ると大変だ。
持ち物には気をつけなさい。
ロシアは、まったくEUとは違う世界なんだ。幸運を祈る‥‥」
チェックアウトは12時なので、それまでに食事を済ませ、荷物をまとめ部屋を掃除する。



レセプションに行くと、今度は宿の奥さんに出会った。
ロシアに行くと言うと、同様に驚かれた。
奥さんは、ロシア語を3年間勉強したらしく、ロシアのカレリア地方や、サンクトペテルブルク、モスクワにも行ったことがあると言う。
「ロシア人は親切だけど、悪い人もいる。まあそれはどこも同じだけど。
荷物には気をつけなさい。」
主人と同じことを言った。
「昨日オーロラ見た?」
奥さんがいきなり聞いてきた。
「昨日夜中12時頃に、出たらしいよ。」
ガーーン‥‥
頭を強打されたかのように、めまいに襲われた‥‥
昨日はがんばって0時まで起きていたのだが‥‥
空の隅々までちゃんと確認したはずだが‥‥
なんでも、私の隣の部屋のスペイン人が言ってたらしい。
確かに、あんな星空だったら、さぞかし美しいオーロラが見れたに違いない‥‥

★教訓★

予報に反して夜晴れた場合、コーヒーでも飲んで出来るだけ長く待つこと‥‥

しばらく宿のレセプションで暇を潰そうと思っていたが、雨の予報なので、雨が本格的になる前に宿を去ることにした。
バスステーションまで1.5キロ、無料で借りれる自転車に乗っていくわけにもいかないので、バックパックを背負って歩き始める。
少しぱらぱらと降り出してきた‥‥
バスステーションにバックパックを置かせてもらい、スーパーに寄ったりして時間を潰そうと思い、街歩きをする。
しかし特にやることもないので、早めに戻り、残りの時間をターミナルのカフェで本でも読みながら過ごすことにした。
バスステーションは、英語で「Bus Station」とも書いていず、カフェにしか見えない。
最初、荷物を置きに来たときすでにいたロシア語をしゃべる女性2人組がまだいる。たぶん同じバスに乗るのだろう。

コーヒーとパンで2.8ユーロ‥‥ 



15時45分、カフェにいた人がみな席を立った。外を見るがまだバスはない。かなり雨も降っている。
15時50分過ぎ、小型バスが到着。旧ソ連の国でよく見かける、マルシュルートカだ。
運転手が助手席を入れても14人しか乗れない。
しかし乗客はたった3人…
ほぼ定刻に出発、まもなく国境に着いた。
バスを降りて、雨の中出入国審査の建物に入る。フィンランド側の審査官は、なんで日本人がいるんだ?と、物珍しそうに私を見つめ、慣れない日本のパスポートをめくりながら、印を押してくれた。
さて、問題のロシア側だ。
バスでロシア側国境に着くと、バスを降りて、建物に入る。我々より先に並ぶ人はいない。先にロシア人2人が入国し、私の番になった。
同じく審査官は、不意に日本人が現れたので、戸惑いの表情を見せ、トランシーバーで、なにやら言葉を発した。すると、外にいた若い審査官が入って来た。
二人で色々喋りながら、ひたすら私のパスポートのページを透かしている。パスポートの写真と私の顔を何度も何度も何度も見比べ、なにやらどうすべきか迷っているようだ。
「ロシア語わかるか?」
と、ロシア語で言った。
少しならわかる、と言うと面倒なことになりそうなので、わからないフリをする。
私は単なる、ロシア語もわからないツーリストなんだ。怪しい者じゃない。私を入国させたってなんの問題もない…
しかし、ロシアの入国審査官は英語もしゃべらんのか?
「どこへ行くんだ?」
またロシア語で言った。
「ムルマンスク」
即答してしまった‥‥
また、色々ページをめくり、若い審査官と会話をかわし、少しためらいながら、ようやく印を押した。
「スパシーバ!」
建物内に、意外にもきれいなトイレが中にあったので、お借りしてバスに乗り込んだ。
すぐバスはキオスクに寄る。







ガソリンはフィンランドに比べ破格に安い。



チョコレートの値段など見ると、フィンランドの半額くらいか…



ヘラジカとうさぎの缶詰?



最初、少しバスがガタガタするな、という程度の揺れだったが、しばらく行くとかなりのガタガタ道となった。宿の主人の言う通りだか、これは雨が降らなくても同じじゃないのか…
こんな道走ってたんじゃ、車の消耗も激しいだろうな。

ひたすら森の中を走る。
風景は基本的にフィンランド側とあまり変わらないが、トナカイはまだ見かけない。あと地面を白っぽい植物が一面に覆っていたりするが、雨の中バスの中からじゃどんな植物なのかよくわからない。
ロシア側のラップランドは、鉱山や核の汚染がひどいイメージがあるか、見たところ美しい森がずっと広がっている。

ソビエトな団地群を通る。フィンランドの心地良さそうな住まいとのギャップが激しい。
他の旧ソ連での旅行の経験から、案外中に入ると内装は綺麗にしてあって居心地はいいと思われるが、それにしても外観はブレジネフ時代からそのままなのでは?雨が降っているせいもあって、見る側をも陰鬱な気分にさせる光景だ。

ムルマンスクに近づいてきたのか、さらに巨大な団地群が目に入った。色んな店が見受けられる。信号ももちろんある。交通量も比較にならない。いままでこの旅行で訪れた町とは、規模がまるで違う。
フィンランド時間で9時20分、ムルマンスクの駅に到着。予定より30分早い。思ったより街灯が明るいので、少し不安がとれた。徒歩で宿へ向かう。
プリントした地図と住所を確認して宿のところにたどり着いたが、ホテルらしきものはない。
もはや、潰れてなくなったのか?1ヶ月前に予約したのだぞ。
こんな陰鬱な都市で、この時間に他の宿探しはキツい。
周りをぐるっとしたが見当たらない。
小雨の中、こんな時間に犬を連れて散歩しているおばさんがいたので聞いてみる。なんとおばさんは宿のことを知っていて、説明してくれる。Thank God! 宿は存在したのだ!
私が一生懸命おばさんのロシア語を理解しようと努力していると、おばさんは、じゃあ行こう、と連れて行ってくれることになった。
おばさんに連れられたのは、さっきここじゃないな、と思って通り過ぎたエステだった。おばさんはベルを鳴らした。女性が出て来たので、尋ねると探していたホテルだった…
受付嬢は英語をしゃべらない。そばにいた従業員の男性がつたない英語で館内を説明してくれた。どうやらエステ兼ホテルの営業らしい。
徒歩1分のところにО'КЕЙ(OK?)という巨大なスーパーがある。そこで夜食調達といくか…
ATMもあったのでルーブルをゲットしようと思い、カードをインサートすると、金額が大き過ぎて下ろせないときた。3000ルーブルなんで5千円ほどなんだが。
しかし、このスーパーはクレジットカードで買い物できるので、夜食を買い込む。
レジで支払いを済まそうとすると、ビールは売れない、というではないか。どうやら夜遅くは販売しないようだ。
宿で改めて確認すると、アルコールは夜9時から朝の11時まで販売しないのだそうだ。
私が残念がって部屋に戻り、荷物の整理をしてると、ドアをノックする音がする。
ドアを開けると男性が立っていた。私にコニャックの小瓶を渡し、これでも飲んでくれ、とウインクしドアを閉めた。
「おおっ、ボルショエスパシーバ!」



シャワーを浴びてコニャックとサンドイッチで夜食をとり、今日はオーロラもないし、もう遅いから寝るか…

今日の宿

Gloria Mini Hotel

Agodaで予約してシャワートイレ共同のシングルが1泊1300ルーブル。
ムルマンスクの駅やバス停からでも歩いて20分弱。
内装はとてもきれいで、暖房も暑いぐらい。WIFI可。
この宿の入っている建物自体はボロい感じ。「Мини-отель Глория」とロシア語で表記している。