北極海に浮かぶ絶海の孤島ヤンマイエン(Jan Mayen)島。この島の名を知るものはよほどの極地通以外いないであろう。
グリーンランドの東450KM、アイスランドの北550KM、ノルウェー本土からは1000KM西に位置する(北緯71度 西経8度)。島は山がちであり、最高峰は北部にある標高2277Mのビレンバーグ(Beerenberg)山だ。
島にはノルウェー唯一の活火山があり、地表は氷河に覆われており、地峡で二つの部分に分けられている。
気候は8月が平均5.4度、一番寒い月で平均-5.1度。北極圏にしてはマイルドな気候だ。Svalbard諸島よりは降水量は多い。しかしノルウェー本土に比べるとずっと少ない。霧が多く、曇がちである。嵐も頻繁にある。
ワタシは残念ながらここを訪れたことはない。というか普通の旅行者には島への訪問は極めて難しい。
ホテルもレストランも売店も旅行者に必要なものはなにもない。ここに来るには特別な上陸許可証が必要だ。ここに来る公共交通手段もない。港もないので船で来ても砂浜に上陸するしかない。飛行場(ただの滑走路?未舗装)はあるらしく、軍の飛行機が年数回飛来する。
ヨットで私的にここを訪れる人はいるらしい。軍関係者や研究者を含めて毎年200~500人が訪れるということだ。しかし普通来れる時期は6月末から8月いっぱいに限られるだろう。その他の時期は嵐が頻発するし、冬から春にかけては流氷の問題もある。
こんな超僻地にも人は常時住んでいる。軍関係者と気象専門家だ。郵便局もあってTシャツなどの土産物も販売しているらしい。
インフォメーション
http://www.jan-mayen.no/
EcoExpeditionsのJan Mayen島へのツアーも載っている。ロフォーテン発で2週間の旅程。3000ユーロ。
Jan Mayen島。2007年9月に撮影された。
ところで余談だがノルウェーが南極地方にも領土を持っているということをご存知だろうか?一年中氷河に閉ざされている無人島、Bouvet島のことである。
南アの喜望峰(Cape of Good Hope)の1600KM南西、南緯54度、東経3度に位置し、厳密に言えば南極圏ではないが世界で最も辺境にある島の一つとしてその名を知られている。島では猛烈な強風が吹き荒れ、樹木は育たない。ペンギンやゾウアザラシが生息している。
ここを訪れた旅行者は果たしてどれぐらいいるのだろうか?無人島で、ここにたどり着く交通機関はない。船で近づこうにも港もない。島全体は自然保護区になっていて、上陸許可はまず取れない(誰も監視してないだろうが)。ホテルもレストランも売店も郵便局もなにもない。水道、電気もなく電話線も当然来てない。
1979年9月22日、こことMarion Island(南ア領。南緯47度、東経38度)との間で核爆発らしきものが衛星より探知された。南アによる核実験だと言われている。
Bouvet島。2004年9月に撮影された。